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自己理解のステップ①:本当の自分を見つける第一歩!「人間の本質を理解する」
前回の記事「周りに流されない自分になる!自己理解の重要性と具体的な始め方」では、自己理解の重要性についてお伝えしました。
今回は、自己理解を深めるための最初のステップとして、「人間の本質」について考えていきます。
自己理解を深めるためには、まず人間とはどのような存在なのか、その基本的な構造や機能を理解することが重要です。
今回は、自己理解の土台となる4つの要素
「ホメオスタシス(恒常性維持)」
「マズローの欲求5段階説」
「RAS(網様体賦活系)」
「ABC理論」についてお話しします。
⒈ホメオスタシス:恒常性維持機能という名の心の壁
ホメオスタシスとは、心と体の状態を一定に保とうとする働きのことです。
◉体のホメオスタシスの例
・体温: 暑い時は汗をかき、寒い時は体を震わせることで、体温を一定に保ちます。
・血圧: 運動すると血圧が上がりますが、しばらくすると元の血圧に戻ります。
・血糖値: 食事によって血糖値が上がると、インスリンが分泌され、血糖値を下げます。
そして、ホメオスタシスは、私たちの心にも影響を与えています。
◉心のホメオスタシスの例
・現状維持バイアス:変化を恐れ、今の状態を維持しようとする心理状態。
・コンフォートゾーン:慣れた環境や行動パターンから抜け出そうとしない状態。
私は、過去に新たな業務に挑戦する機会があったとき、なかなか一歩を踏み出せずにいました。
その時「今の業務は慣れていて快適なのに、わざわざ新しいことを始めるのは不安だな」という気持ちが頭の中でグルグルと巡っていました。
これは、ホメオスタシスが働いている典型的な例です。
ホメオスタシスは、現状を維持しようとする働きなので、変化を恐れるのは人間として自然なことです。
しかし、現状を維持しようとする働きが強すぎると、変化を恐れるあまり、成長の機会を逃してしまう可能性があります。
自己理解を深めるためには、このホメオスタシスの存在を理解し、変化を恐れる自分を受け入れることが重要です。
⒉マズローの欲求5段階説:あなたの悩みはどのレベルの欲求から生まれている?
私たちが日々抱える悩みや行動の背景には、「どのような欲求が満たされていないのか?」という視点が隠れています。
心理学者アブラハム・マズローは、人間の欲求を5つの階層に分けた「欲求5段階説」を提唱しました。
この理論を知ることで、自分が今どの段階の欲求を満たそうとしているのか、そしてなぜ特定の悩みを抱えやすいのかが見えてきます。
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①生理的欲求(生きるための基本的な欲求)
「睡眠不足でイライラする」「お腹がすくと集中できない」など、最も本能的な欲求です。
例えば、忙しすぎて睡眠時間が削られると、些細なことでストレスを感じやすくなるのは、この欲求が満たされていないからかもしれません。
②安全の欲求(安心・安定を求める欲求)
「この仕事、ずっと続けられるだろうか?」「将来が不安…」という悩みは、安全の欲求が満たされていないサインです。収入や雇用の安定、健康面での安心感が不足すると、人は不安に陥りやすくなります。
③社会的欲求(他者とのつながりを求める欲求)
「職場で孤立している気がする」「友達ともっと深くつながりたい」と感じるときは、この欲求が関係しているかもしれません。
例えば、リモートワークが増え、人とのリアルな交流が減ると、無意識のうちに孤独感を抱きやすくなります。
④承認欲求(他者から認められたいという欲求)
「SNSのいいねの数が気になる」「上司から評価されないとやる気が出ない」といった気持ちは、承認欲求が影響しています。
特に、SNS時代の現代では「他者からの評価」に過度に依存しやすく、フォロワー数やリアクションが自己価値を左右するかのように感じてしまうことも。
この欲求を満たすには、他人の評価に頼るのではなく、「自分自身がどう思うか」に目を向けることが大切です。
⑤自己実現欲求(自分らしく生きたいという欲求)
「もっと自分のやりたいことをやりたい」「今の仕事は自分らしくない」と感じるなら、この欲求が強まっているのかもしれません。
自己実現の欲求が高まると、収入や評価よりも「本当に自分がやりたいこと」に意識が向くようになります。
しかし、この段階に進む前に、下位の欲求がある程度満たされていることが大切です。
私は他人の目が気になって仕方ありませんでしたが、これは主に社会的欲求と承認欲求が満たされていないことが原因であるといえます。
その他、例えばSNSでの評価を気にしすぎてしまうなら、それは承認欲求にフォーカスが向いている状態かもしれません。
仕事の安定性ばかりを気にしているなら、安全の欲求が不安定になっている可能性があります。
自分がどの欲求を満たそうとしているのかを理解すると、「なぜ今の悩みが生まれているのか?」が明確になります。
まずは、あなた自身の悩みがどの欲求階層に関係しているのかを考えてみましょう。抜け出すヒントが見つかるかもしれません。
⒊RAS(網様体賦活系):情報過多社会を生き抜くための意識の選択機能
私たちの脳は、目の前のすべての情報を処理しているわけではありません。
意識に上がる情報はほんの一部であり、それを取捨選択しているのが、RAS(網様体賦活系:Reticular Activating System)という仕組みです。
RASは、無数の情報の中から「自分にとって重要だ」と認識したものを選び取り、意識に上げる役割を果たします。
例えば、以下のような経験はないでしょうか?
・車を買い替えようとした途端、その車種ばかりが目に入るようになった。
・赤ちゃんが生まれた友人の話を聞いた後、街中でベビーカーを押す人が急に目につくようになった。
・上司に「最近ミスが多いね」と言われてから、自分の小さな失敗ばかり気になるようになった。
これは、あなたのRASが「今、この情報は重要だ」と判断し、無意識のうちにその情報を優先的にキャッチするようになったためです。
◉RASは思考の偏りも生み出す
RASの働きは有益な一方で、ネガティブな情報ばかりを拾ってしまうこともあります。
例えば、SNSで「自分より優れた人」の投稿ばかりが気になって、「自分はダメだ…」と思い込んでしまう。
これは、RASが「自分と他人を比較すること」にフォーカスしているからです。
また、「自分は人前で話すのが苦手だ」と思い込んでいる人は、プレゼンの成功体験よりも「声が震えた」「うまく話せなかった」といったうまくできなかったことばかりを記憶しやすくなります。
これは、RASが「話すことは苦手」という信念を補強する情報を優先的に拾ってしまうためです。
◉RASを意識的に活用する
それでは、このRASをポジティブに活用するにはどうすればいいのでしょうか?
ポイントは、「何に意識を向けるか」を自分で決めることです。
・「自分の成長につながること」に注目すると、学びや気づきを拾いやすくなる。
・「感謝できること」を意識すると、小さな幸せに気づけるようになる。
・「良い出来事」に注目すると、ポジティブな体験が増える。
自己理解を深めるためには、RASの働きを理解し、自分の興味や関心を意識的に選択させることが重要です。
⒋ABC理論:感情と行動のメカニズム
A:Activating Event(出来事)
出来事そのものを指します。客観的な事実であり、解釈や感情は含みません。
B:Belief(信念、考え方、解釈)
出来事に対する個人の解釈や考え方を指します。人によって異なり、感情や行動に影響を与えます。
C:Consequence(結果、感情、行動)
出来事と信念によって生じる結果、感情、行動を指します。
ABC理論は、出来事(A)が直接的に人間の感情や行動(C)を引き起こすのではなく、出来事に対する解釈や信念(B)が感情や行動に影響を与えるという考え方です。
例えば、
💠出来事:プレゼンテーション後、上司から厳しいフィードバックを受けた。
🔷解釈A:「失敗した。自分はダメな人間だ」
➡︎感情:落ち込む、自信を失う😞
🔶解釈B:「この方法ではうまくいかないことがわかった。次はもっと頑張ろう」
➡︎感情:前向きな気持ち😊
同じ出来事でも解釈によって感情や行動が変わることがわかります。
ABC理論を理解することで、自分の感情や行動の背後にある解釈に気づき、より建設的な解釈を選択することができるようになります。
⭐️まとめ
今回は、自己理解の土台となる4つの要素「ホメオスタシス」「マズローの欲求5段階説」「RAS(網様体賦活系)」「ABC理論」についてお話ししました。
これらの要素を理解することで、自分自身の考え方や行動のパターンを客観的に見つめ直すことができます。
ぜひ、今回の内容を参考に、自己理解を深めるための第一歩を踏み出してみてください。
そのために次のワークへの取り組みがおすすめです!
⭐️ワーク「RASの観察記録」
あなたのRASは、普段どんな情報を拾っているでしょうか?
📌「1週間、自分のRASがどんな情報を拾っているか記録してみましょう!」
①1日の終わりに、「今日はどんな言葉や出来事が特に印象に残っただろうか?」をメモする。
②それらが「ポジティブなもの」か「ネガティブなもの」かを考えてみる。
③1週間分の記録を振り返り、自分のRASがどのような情報を優先しているかを分析する。
📝ポイント
・気になる言葉、他人の反応、SNSの投稿、ニュースなど、日常で引っかかったものを自由に書いてOKです。
・「なぜこれが気になったのか?」を考えると、より深い気づきにつながります。
1週間後、あなたのRASがどんな傾向を持っているのかが見えてくるでしょう。
気づいたことをもとに、「本当にフォーカスしたいこと」に意識を向けていきましょう!
次回の記事では、「【ちょっと深掘り】ホメオスタシスは停滞を生み出す心の壁?それとも成長の羅針盤?」についてお話しします。
今日も最後までお読みいただきまして、本当にありがとうございます。
あなたがあなたらしく生きるヒントになりますように。