イラン アゼド アルダカーン 沈黙の塔 チャクチャク カナート
イラン
イラン高原。砂漠や岩山のような山々に囲まれたヤズドの町では、昔から秘伝のレシピにもとづいてお菓子が作られてきた。ヤズドのお菓子は今やイランの名産品、イランの伝統菓子の代名詞となっている。もちろん、小生はまだ食べたことはないし、イランのお菓子といわれてもまったく想像すらつかないわけだが。
しかし、イランは確かピスタチオが採れるんじゃなかったっけ。なるほど調べてみると、ピスタチオの生産量は世界一位だ。ヤズドの周辺もピスタチオの産地のようだ。イラン人が大好きなヤズドのお菓子には、ピスタチオ、クルミ、アーモンドなどのナッツ類がふんだんに使われ、シナモン、カルダモンなどのスパイスを効かせ、サフラン、バラ水で香りづけしてあるらしい。んー、まだピンと来ないな。
中東の人々も甘いものには目がないと聞く。甘さ控えめのお菓子とかはありえないだろう。蜂蜜やら砂糖やらがたっぷりと入っているだろうし、高カロリー間違いなしのお菓子だな。焼き菓子の写真を見ると、色や形は素朴だけどつまんでみると止まらないという雰囲気がする。ピスタチオは気に入っているんだし、ナッツ好きの人間としてはいつか食べてみたいものだ。
イランが面しているのはペルシャ湾からアラビア海、上はカスピ海。陸地で隣接しているのは右はパキスタン、アフガニスタン、トルクメニスタン。左はアゼルバイジャン、アルメニア、トルコ、そしてイラク。
左斜めにザグロス山脈。首都テヘラン ( Tehran ) とカスピ海の間にはエルブールズ山脈。
このあたりがイラン高原。左上に古都イスファハーン ( Esfahan ) 。中央にヤズド ( Yazd ) 。 右下にケルマーン ( Kerman ) 。
中央下にヤズド。その左上にアルダカーン ( Ardakan ) 、メイボド ( Mey-bod ) 。
衛星画像は、2023年8月4日。左上からアルダカーン、メイボド、ヤズド。中央あたりにゾロアスター教の聖地や遺跡がある。
このあたりがどれくらい乾燥しているのか、植物の繁茂状況を見てみよう。画像を処理すると、町の農地や緑地のほかは植生がないことがわかる。そんな所だ。
ヤズド
標高は1200m。ヤズド州の州都。3000年ほどの歴史があり、ゾロアスター教の文化が色濃く残っている都市だ。今ではイスラム教が支配的だが、住民の1割くらいがゾロアスター教徒だという。ヤズドの歴史都市として世界遺産。ズームイン。
右の中央付近が旧市街。日干しレンガの建物でできている街並みとしては世界最大級だそうだ。左に空港。
参考衛星画像は、2022年3月23日。ズームイン。
この辺だね、旧市街は。
中央下にゾロアスター教の拝火神殿。中央上にはアミール・チャフマグ複合施設。
ゾロアスター教の拝火神殿。1500年以上、絶やさぬように聖なる火が燃やされている。
アミール・チャフマグ広場。イスラム教寺院とバザールの複合施設。
それはそうと、車がすごいな。人も多い。
沈黙の塔
郊外に、ゾロアスター教徒が鳥葬・風葬をとり行っていた施設が残されている。沈黙の塔と呼ばれている。鳥葬は1930年代に禁止された。ズームイン。
参考衛星画像は、2022年4月5日。
塔は小高い丘につくられている。画像を見ているだけでも沈黙だな。沈黙の塔はほかにも数か所残っている。
参考衛星画像は、2022年3月23日。ヤズド国際空港。
ターミナル付近。この絵は何だろう、遊び心かな。
アルダカーン
左にアルダカーンとメイボドの町。右中央にゾロアスター教の最大の聖地チャクチャク。右端にハラナクの廃墟。
上がアルダカーン、下がメイボド。
アルダカーン。中央ちょい上の旧市街がわかると思う。
参考衛星画像は、2022年4月11日。
旧市街を真っ二つに割っている大通りは近年につくられたもの。
土レンガの建物でつくられた旧市街。路地がわからないくらいだ。
チャクチャク
ゾロアスター教は古代ペルシャを発祥とする世界最古の宗教。ゾロアスターが宗祖。ゾロアスター教の最大の聖地チャクチャクは中央付近。右下にハラナク。ズームイン。
チャクチャクは中央付近。右端にハラナク。
チャクチャクは中央。山腹にある。
参考衛星画像は、2019年1月4日。ズームイン。
岩山の中腹に泉が湧き出るところがあり、洞穴に水がしたたり落ちるポタポタという音からチャクチャクと呼ばれるようになったらしい。毎年の儀式にはインドなどからもゾロアスター教徒が訪れる。最高神はアフラ・マズダ。
ハラナク古代住居跡
ゾロアスター教徒が暮らしていた1000年以上前の住居跡。
参考衛星画像は、2017年6月11日。ズームイン。
中央。
近くに住んでる人って、ゾロアスター教徒が多いのかな。
メイボド
メイボドもまた7世紀のイスラム化以前につくられた町だ。ペルシャ絨毯の産地。ズームイン。
参考衛星画像は、2022年4月11日。町を一望できる高台に、世界最古のレンガ造りの建物として知られるナーリーン城がある。
旧約聖書に登場するソロモン王。この城には、王の手下の悪魔が財宝を隠したところだという伝説がある、とその昔の歴史家は伝えているそうだ。
ペルシャ式カナート
近くの山々、山のふもとの地層に自然に貯えられた水を計画的に利用する術を心得ていた人々がいたんだな。彼らが連綿と造り、維持し続けてきたのがカナートだ。この大変な土木工事は紀元前から行われてきたという。カナートがなければオアシスは存在しなかったのだろう。
乾燥地帯でロスを少なくして水を遠くまで届けるために地下水路が掘られた。地上に見えている穴は、砂を取り除くための竪穴である。
参考衛星画像は、2019年9月15日。場所はメイボド近郊。鎖のようなラインが何本も伸びているのが見えるだろうか。ズームイン。
イランでつくられてきたのはペルシャ式カナートと呼ばれ、ヤズド周辺も含めたいくつかのカナートは世界遺産に登録されている。
注記)
a.衛星画像は、欧州宇宙機関 ( European Space Agency : ESA ) が運用する EO ブラウザからスクリーンショットしたものを使用しています。
b.地図画像・参考衛星画像は、Esri が運用する World Imagery Wayback からスクリーンショットしたものを使用しています。