モロッコ 異例の豪雨でサハラ砂漠に湖が復活、次はオアシスか?
モロッコ
9月に降った記録的な豪雨のあと、サハラ砂漠北西部にはあちこちに巨大な水たまり、湖が姿を現した。モロッコの南東部には年間降水量を上回る大雨が2日間で降ったといわれ、各地で数十年ぶりに洪水が発生したのだった。
その結果、数年おきに干上がる湖や、50年以上も涸れていた湖が水量を回復している。世界中に壊滅的な被害をもたらしている気候変動だが、ここサハラ砂漠の片隅では想定外の嬉しい事態になっている。今後このあたりの気候が変わることになるかもしれないと、予測を立てている気象の専門家もいる。
アフリカ大陸の北西部。海は大西洋。国の半分は海に面しているが、反対側はサハラ砂漠に接している。中央を横切っているのはアトラス山脈。砂漠の隣国はアルジェリア。
左上隅にマラケシュ ( Marrakesh ) 。アトラス山脈を越えてワルザザート。そこから下、国境線の近くにイリキ湖。右上にメルズーガの町。
モロッコ南東部
衛星画像は2024年10月9日。左上にワルザザート ( Ouarzazate ) 。その下、下端に、薄緑のイリキ湖。右上隅にメルズーガ ( Merzouga ) の町。
砂漠にコントラストをつけるデータ処理をしてみよう。代わりに川、湖などの水系は水色に変わって見える。
左上、ワルザザートの水色は貯水池だが、それ以外は豪雨でできた湖だ。
メルズーガ
メルズーガ湖もしくはダイエ・スリジュ塩湖。冬に雨が降らなかったら次の年は干上がってしまうような湖だ。バードウォッチも楽しめる、渡り鳥の中継地でもある。右は国境線。ズームイン。
隣にはシェビ砂丘がある。今回の豪雨によって砂漠の周囲に水たまりができた。
メリハリ用のデータ処理を行った。湖、水たまり。メルズーガの町。砂丘の様子もよくわかる。砂丘の高地と周辺地域との高低差は最大150m。
シェビ砂丘
シェビ砂丘は「砂漠のテーマパーク」と呼ばれるほど、砂漠らしい風景を詰め込んだ、観光客に人気の高い砂漠だ。周辺や内部には砂漠の民、ベルベル人も住んでおり、観光業に携わる集落やホテル、キャンプ場が数多く点在している。移動やレジャーはラクダでのトレッキング、4WDなど。
砂丘を南北に三分割して見てみよう。
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2-3 他の集落も見える。
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キャンプ場
参考衛星画像は2024年2月26日。メルズーガの付近を見てみよう。左は住宅地。防砂林。
左はホテルなど。右はベルベル人の住居やキャンプ場。
上と同じ場所のグーグルマップ。
イリキ湖
アトラス山脈から流れてくるドラア川の下流。ワルザザートの都市用水のために1971年にダムが建設され、それ以来干上がってしまった。幻の湖と呼ばれていた。5キロ×4キロほどの大きさ。ズームイン。
湿地の植物だろうか。周辺も含めてイリキ国立公園。モロッコ最大の国立公園で、湿地の再生が公園指定の目的だった。右はチガガ砂丘。
チガガ砂丘
メリハリ用データ処理を行った。周囲には特に集落は見当たらないが、右下隅の区域にキャンプ場などの宿泊施設がある。2分割してみよう。
砂丘の形状が独特だな。
キャンプ場
参考衛星画像は2024年4月3日。シェビ砂丘とくらべるとまだまだ人跡未踏のエリアがありそうな砂丘だ。ズームイン。
観光の車だろう、無数の轍が見える。
砂丘の入口。
気候変動というぐらいだから、来年の降雨地域は予測不可能、また変動するのかもしれない。でも、次も降ってくれたらいよいよオアシスが誕生かな?
注記)
a.衛星画像は、欧州宇宙機関 ( European Space Agency : ESA ) が運用する COPERNICUS ブラウザからスクリーンショットしたものを使用しています。
b.地図画像・参考衛星画像は、ESRI が運用する World Imagery Wayback からスクリーンショットしたものを使用しています。