ブラジル南部 リオ・グランデ・ド・スル州 豪雨洪水 ポルト・アレグレ
ブラジル南部
ブラジル史上最悪の水害といわれている。どちらかといえばヨーロッパ系移民の割合が多いリオ・グランデ・ド・スル州。多くの人が家を失った。農地、牧場、交通網が泥水に流された。農業へのダメージが深刻であることが報道されている。
大小の水がめがつながっている地形があって、小さいほうの水がめに大量の川の水が流れ込んできた。容量を越えた水が川に逆流して被害を拡大している。そんな印象だ。
南米大陸。だいたい右半分がブラジル。首都はブラジリア ( Brasilia )。南部、下の方にリオ・グランデ・ド・スル州。州都はポルト・アレグレ ( Porto Alegre )。右の海は大西洋。
リオ・グランデ・ド・スル州は、南にウルグアイ、西にアルゼンチンと国境を接している。
リオ・グランデ・ド・スル州
州境を表示しているが、およその形はこんなもの。北海道の3.5倍の面積。右下に大きな汽水湖、パトス湖があり、その北部には小さなグアイバ湖がつながっている。ポルト・アレグレ市は小さなほうの水がめ、グアイバ湖に面している。
広域
衛星画像は2024年4月21日。洪水前の様子。右にポルト・アレグレ。グアイバ湖の一部が見える。上半分は高原、丘陵地帯、下半分は平野。東西に川が流れているのがわかるだろうか。ジャクイー川。
衛星画像は2024年5月6日。洪水後の様子。川の本流、支流の流れが大きくなっている。
4月下旬からの降水量はこの時期の5か月分に相当するという。洪水の被害は州内の自治体の8割に及んでいるそうだ。
水域を鮮明に表示するためにデータ処理を行った。まず洪水前の様子。
洪水後の様子。支流の様子もよくわかる。細かくみると、泥流の色の違いもわかる。
以下、衛星画像は被害状況を比較するために、それぞれ洪水後、洪水前を表示している。
ダム
ジャクイー川にはいくつかのダムがあるので周辺の状況を見てみよう。
まず上流のダム。洪水後。マーカー地点。ズームイン。
水しぶきが白い。ダムからの放流の様子がわかる。ダム湖はコントロールされている。
洪水前。水力発電所があるダムだ。
次に下流のダム。洪水後。マーカー地点。ズームイン。
完全に水没している。
洪水前の様子。
ポルト・アレグレ市周辺
ポルト・アレグレ市、ジャクイー川の河口、グアイバ湖の様子を見てみよう。右側が市街地。以下、洪水後+洪水前のセットで見ていただきたい。ズームイン。
河口の平地は農地として広く利用としてされている。また島になっている。
まず市内中心部。
ポルト・アレグレ市の平均海抜は10mほど。グアイバ湖の水位は一時的に5m以上に上昇したというからいくらか市内に浸水したのだろう。
5月2日、水が湖から市街地に逆流し始めた。4日になると家も車も何もかも水に浸かっていた、という。
高層ビル街、湾岸エリアにも浸水している。
公園、ショッピングモール、サッカースタジアム。
河口の住宅街、エルドラド・ド・スル地域。大部分の島も水没。ズームイン。
多目的スタジアム。サウガード・フィーリョ国際空港は水没して閉鎖中、再開は未定。ズームイン。
市の北部の住宅街、カノア地域。右下隅の飛行場は空軍基地。ズームイン。
5月11日も雨が降っている。地形的にも水はけが悪い所なので、なかなか水が引かないようだ。被害の全体状況がわかるまで時間がかかるかもしれない。
注記)
a.衛星画像は、欧州宇宙機関 ( European Space Agency : ESA ) が運用する COPERNICUS ブラウザからスクリーンショットしたものを使用しています。.
b.地図画像・参考衛星画像は、ESRI が運用する World Imagery Wayback からスクリーンショットしたものを使用しています。