エジプト カイロ 砂漠の新首都建設、完成間近か
エジプト
2015年から始まったエジプトの新首都建設。カイロから45キロ東の砂漠のど真ん中にその全容を現しつつある。新首都は人口650万人を想定してつくられており、600億ドルを超える建設費用が投じられている。
しかし、新年早々にプロジェクト関係者からは早くも「面積を2倍に拡張したい。新たな投資を計画している」旨の発言があった。背景にあるのは急激な人口増加である。財政懸念などの批判をよそに今後の成行きが注目されている。
アフリカ大陸の北東部。リビア、スーダンと陸続き。シナイ半島でパレスチナ・ガザ地区、イスラエルと隣接している。上の海は地中海、右の海は紅海。
ナイルデルタ、ナイル川の接続部分あたりが首都カイロ ( Cairo ) 。
中央が新首都の建設地点。右にスエズ運河。
衛星画像は2024年7月16日。ズームイン。
カイロ
カイロ首都圏の人口は2000万人。国連は2035年までに2900万人に達すると予想している。首都カイロへの人口流入は続き、都市機能がマヒするほどに過密になっている。
ちなみにエジプトの統計局によれば、エジプトの総人口は
2023年1月に1億439万人、
2024年1月に1億585万人、
という具合に増加している。
(参考:日本は1億2488万人。15年連続減少)
中央が新首都の立地点。スエズ運河も近い。
砂漠の衛星画像はメリハリがないのでデータ処理しよう。
以下は加工済の衛星画像。
左は昔からのカイロ、オールドカイロ。その右にはニューカイロ ( 以前紹介 ) 。中央に新首都建設地点。
近代的なインフラ、住宅、公園、商業施設は当然のこととして、最先端の情報技術を備えたスマートシティと宣伝されている。今のところ正式には新行政首都である。新首都の名称はまだ決まっていない。
このプロジェクトはアブデル・ファタハ・エル・シシ大統領が押し進めるエジプトビジョン2030の最大の開発目標とされている。
建設のあゆみ
砂漠に描いたラフスケッチのような状況から建設作業の進み具合を見ていこう。
2017年7月18日。幹線道路が先行している。j
2018年7月18日。
2019年7月18日。
2020年7月17日。
2021年7月17日。
2022年7月17日。
2023年7月17日。
2024年7月16日。
南北に分割して見てみよう。
北側。住宅、公園、ビジネス地区、政府機関。
南側。国防省、スポーツエリア。
新首都の構成
完成しつつある区画の様子を見てみよう。
政府・行政地区
大統領宮殿を中心とした政府中枢の拠点を上から見ていこう。
参考衛星画像は2023年2月10日。大統領宮殿と庭園。
迎賓館。
凱旋門。
オベリスク。高さ1000m?左右は政府機関。
エジプト最大のモスク。
住宅地区・グリーンパーク
学校と住宅の地区。長さ10キロのグリーンリバーパークはニューヨークのセントラルパークの2倍の広さ。右下は中央ビジネス地区。
参考衛星画像は2023年5月10日。
参考衛星画像は2023年2月10日。
中央庭園の緑地。
クリケットのスタジアムじゃないかな。
高層ビルが林立する中央ビジネス地区。多国籍企業の入居を予定。
アイコニックタワー。アフリカで最も高い70階建てのビル。393.8m?
オクタゴン
右下が8角形の複合施設、オクタゴン。国防省の本部。周辺は関係者の住宅。左上は軍の教育機関のエリア。
参考衛星画像は2023年2月10日。ズームイン。
オリンピックシティ
将来を見越して巨大スポーツエリアも併設されている。
参考衛星画像は2023年2月10日。9万3千人収容のスタジアムを含めてオリンピックのための施設をまとめている。
アウトドア競技の競技場か?
スキート射撃という射撃イベントの会場らしい。
公園、駐車場。
新首都国際空港
おそらく新首都専用の空港になるのだろう。まだ試験開港という段階で、名称は未定。カイロ国際空港とピラミッド近くのスフィンクス国際空港と合わせて3空港態勢になるようだ。
参考衛星画像は2023年5月1日。
各種交通インフラが整備されるが、「車がないと生活できない」
住宅価格が高すぎる。「富裕層のための街」
カイロではそんなふうに批判されている。たいていの人が関係ないと考えているそうだ。
注記)
a.衛星画像は、欧州宇宙機関 ( European Space Agency : ESA ) が運用する COPERNICUS ブラウザからスクリーンショットしたものを使用しています。
b.地図画像・参考衛星画像は、ESRI が運用する World Imagery Wayback からスクリーンショットしたものを使用しています。