運を呼び込むとは
望むものを手に入れるためには,「努力」と「運」の両方が必要だとよく言われます。「成功するかどうかは90%が運」これは,松下幸之助氏が残した有名な言葉です。
しかし,運は「偶然やってくるもの」ではないと思います。運は「呼び込むもの」だからです。そして,運は,自分がネガティブなときに訪れることはありません。自信を失ってうなだれている人の頭上を運は通り過ぎていきます。「私なんてまだまだ…」とか「どうせ私なんて…」といった謙虚さは,運を遠ざけてしまいます。
自分が成功者だといっているわけではありませんが,大学の教員のポジションを得るためには,継続的な努力に加えて,運を呼び寄せる術が必要であったと今振り返って思います。若手研究者の頃,自分の専門性にフィットする公募が出た時にいつも思っていた2つのことがあります。「自分より優秀な人材は他にたくさんいる」と「応募してもきっと無理だろう」です。まさに,「私なんてまだまだ…」と「どうせ私なんて…」のマインドです。しかし,そこで諦めることはしなかった。いつも,心を込めて応募書類を準備し,送り続けていたのです。このあつかましさが,書類審査通過 → 二次面接と模擬授業 → 無事に採用という結果につながっていきました。最初に掴んだ運がまた次の運を呼び込むという連鎖が,より一層自分を高みに導いていってくれたように思います。(もちろん,採用につながらなかったケースも多々経験しています)
英語に,"Fake it until you make it (うまくいくまでは,うまくいっているふりをしなさい」という諺があって,好きな言葉の一つです。望むものを手に入れる方法は,たとえ自信がなかったとしても,自信があるようにふるまうこと。演じればいいんです。私は完璧だ。誰よりも優秀だというように。
「自分に才能がある,と作家が言ったら,その人には才能があるのです。
女性が私は綺麗だと思えば,その人は美しいのです」
小池一夫氏が著書『人生の結論』(p. 97) の中で書いておられたことです。このマインドセットはとても大切です。こんなふうに「心の状態を変換すること」が,運を呼び込み,望むものを手に入れることにつながるのではないでしょうか。