勇気って何だろう

私は仕事の昼休みを車の中で過ごしている。今日も少しだけ昼寝した。私はやれやれとドアを開けると、隣には今流行りのバンタイプの車がどっしりと壁の様に目の前にそびえ立っていた。

その車の窓ガラスには濃い黒のスモークシートが貼てあり、何気にその窓を見ると鏡の様に自分の姿が映っていた。なぜか今日は気分がいい。思わず鼻歌まじりで自分の髪を整えていた。襟は曲がってないかを確認。身だしなみはOK。

そこでこんなことを空想した。

実はその隣の車には、シートを倒して横になる人が居る。自分の姿が映る窓ガラス越しにその人の存在に気づいた。にも関わらず、地声でお気に入りの歌を熱唱しながら、気が付かないフリをして最後までやり通す自分。

これってある意味勇気？そう思ったら、ニヤリと微笑した。

なぜそう思ったのかと言うと、多分こうだ。

実は同僚が、この逆バージョンを経験したのを爆笑ネタとして聞かされたからだ。その話はこうだ。

以前その同僚は車のエンジンを切ってシートを倒し仮眠していた。すると少し開けた窓の隙間から「だから金貸せよ！」を連呼する知り合いの声が聴こえてきたという。

正に、出るに出られない状況。休み時間が終わる時刻も迫っている。

その同僚は「これは不味いことを聴いた」と思い、どうしようかあせったと言う。結局「あぁ～よく寝た」とあくびをしながら車から脱出したらしい。「あれ？居たの？」相手は驚くなかで、同僚は「いま起きたけど、何か？」と、とぼけてその場をやり過ごしたそうだ。

『悪意なき勇気』と名付けて置く。