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ナノインプリントテクノロジー


半導体の歴史

 今日において最先端の半導体では、数nm単位の微細化が実現されており、集積化の性能向上にあたり、半導体製造工程の中での前工程が重要とされております。特に、露光工程における使用光源の波長によって律速されているといっても過言ではありません。詳しい説明に関しては以下の記事に記載されております。

 現代の技術の延長でさらなる微細化や複雑な半導体ちっぽうの製造を低コストで実現するのが難しくなってきており、そこで従来の露光技術に代わるナノインプリントリソグラフィ(NIL)が低消費電力かつ低コストで微細化を実現できる技術として注目を浴びております。

ナノインプリント技術

 従来の露光技術が光で回路を焼き付けるのに対し、ナノインプリントリソグラフィは回路パターンを刻み込んだマスクをウエハー上に塗布されたレジストに押し当てる形で回路を生成します。
 ナノインプリントには、UV硬化性樹脂材料が接着剤として使用され、原型となるモールド(金型)を用意すれば一括加工が可能となります。 また、電子線露光や極端紫外線露光などを要しないため、初期コストが従来の露光機と比較して、低いことが特徴となります。

ナノインプリントリソグラフィの仕組み(出典:https://global.canon/ja/technology/nil-2023.html)

ナノインプリント半導体製造装置

 キヤノン社のFPA-1200NZ2Cでは、既存の最先端ロジック半導体製造レベルの5名のノードにあたる最小線幅14nmのパターン形成に成功しており、さらに、マスクを改良することで10nmレベルへの対応も期待されています。

FPA-1200N2C(出典:https://global.canon/ja/product/indtech/semicon/fpa1200nz2c.html)

 一方で量産化におけるハードルも気になるところです。ASML社のEUV露光装置でも量産フェーズに入るのに5年以上かかるとされています。ナノインプリントも量産までにどれくらい時間がかかるかが懸念されます。また、前後の工程との調整も気になるところです。例えば、パターン形成後の洗浄工程において、EUVでは上手くいってもナノインプリントで形成したパターンだと破損が生じるということも考えられます。

参考文献


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