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ふらり・ゆらり・下北沢 その1

14時07分。予定より仕事が早く終わり、退勤。
14時47分。人生初、下北沢、到着。


ずっと前から来てみたい場所だった。だってわたし、所謂『サブカルチャー』、大好きですもの。
でも学生時代に古着を着たいとは思わなかったからか、自分が『それ』なくせに『サブカル女子』にカッコワライをつけてしまう性分からか、ずっと素通りしてきた街。ううん、違う。今日の日のわたしのためにお預けしてた、とっておきの街。それが、下北沢。

カラフルなステッカーの沢山貼られた黒いギターケースを背負った一人の女子高生が、わたしの隣の自動改札機を通って行った。それだけで堪らなくどきどきしてしまった。


まず、必ず行くと決めていたとあるお店の場所を地図アプリで検索、確認。なんとなくの方向を掴んだら、スマホを仕舞って日傘を差して、いざ行かん。
数秒後、路地に密集した建物の影が殆ど途切れないことに気づき、余計な荷物だったなぁと、傘も同様に仕舞った。

ふらりふらりと、ゲームセンターやら古着屋やらにちょくちょく足を止めつつ歩いていると、『ナゾビル』の大きい表示に目が留まった。最近流行りのリアル脱出ゲームの楽しめるお店だ。
近づいてみると、『下北沢謎解き街歩き』という公演を発見した。フライヤーを手に取り眺める。めちゃくちゃ楽しそう。こういうの大好き。
フランスの宝探しゲーム、『シスト』をふと連想する。何かの本で見かけて、フランスにいつか行ったならやってみたいと思ったことを、思い出す。
ゲーム性のある街歩き、絶対楽しいよね。

でも、ここで、最初に設定した目的地と、喉の渇きを思い出した。
謎解きは、寄り道のお供にはちょっと重すぎるか。フライヤーを元の場所に戻した。
ゲーム性がなくたって、街歩きは楽しい。


その後も、graniph(Tシャツショップ。近所のショッピングモールに入っているけれど、一つの店舗になってるのは初めて見たかも)ではらぺこあおむしや11ぴきのねこのワンピースにときめいたり、
三叉灯(可愛らしい雑貨屋さん)で医療系雑貨生みたて卵屋さんの作品をぱらぱら捲ってみたり、
箱貸し屋素今歩(ハンドメイドアクセサリーが展示販売されてるレンタルボックスのお店)でイヤリングを見てみたり、エトセトラ。
散々歩き回って漸く見つけた、蔦の絡まった壁と小さな木の扉。
これだ!
ひとまずの目的地、博物ショップ兼カフェのダーウィンルームに到着した。


扉を開けると、別世界だった。使い古しの、陳腐な表現でしかないけれど、でもまさにそうなんだから仕方ない。
色とりどりの昆虫標本、本屋で見たこともない重そうな植物図鑑。
シマウマの剥製、フローライトの原石、アンモナイトの化石。
ミカヅキモのブローチや、『真珠の首飾りの女』の指人形なんていうのもあった。
あった物をこうして思い出しながら書き並べているだけでもわくわくしてくるけれど、扉ひとつで真夏日から隔離されたその空間に一歩足を踏み入れた瞬間のわくわくとは比べ物にならない。

ひとしきり並べてあるものを眺めて店の奥へ進んでいくと、小柄な女性の店員さんに出会えた。メニューを見せてもらい、ドリンクとクッキーのセットを注文して、適当な窓際の席に座る。
数分後に運ばれてきた濃い目のアイスティーは、セットのくるみのクッキーにとってもよく合った。

エッセイのようで、私小説のようで、日記のようで、どれでもあってどれでもないです。タグに困ります。
ダーウィンルームに足をお運びの際には、荷物を少なめにするのがおすすめかもしれません。店内での蟹歩きも推奨いたします。
その2へ続きます。

#エッセイ #私小説 #日記 #街歩き #下北沢 #ダーウィンルーム

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