2005年以降に確定した少年無期懲役囚 【前編】
2001年4月に少年法が改正されて18歳未満でも、重大性、処罰感情、社会秩序維持などを勘案しやむをえない場合には無期刑を宣告できるようになり2005年2月に船橋明大生強殺事件で法改正後にはじめて刑の緩和なし(少年法51条)の犯行時17歳の少年に無期が確定した節目の年。
これ以降で少年の無期確定事件が何件あるのか気になり、漂泊旦那様の『犯罪の世界を漂う』の無期懲役リストを参考にさせていただき確定順に簡素にまとめた。
数が多いので前編と後編に分けて記す
(一次情報の新聞は一審判決時のものを記載した)
①明石市ラーメン店店長強殺
2004年2月13日に勤め先のラーメン店に18歳の少年が牛刀を持って侵入し店長を殺害し100万円を奪った。2月26日に逮捕。
2005年2月2日に神戸地裁姫路支部で「身勝手で極限の非難に値する」と無期懲役判決。控訴せずに確定。
【読売05.2.2夕】
②鶴岡市職員強盗致死
2001年4月28日に専門学校生だった中国籍の19歳は他3人と共謀し山形県鶴岡市の市職員宅に侵入し妻を粘着テープで縛り包丁で刺して失血死させ長女にも怪我を負わせた。6月29日に逮捕された。
2004年1月26日に山形地裁で無期懲役判決
2004年11月11日 仙台高裁で控訴棄却
2005年8月5日 上告棄却
【読売山形04.1.27】
当初は成人として起訴されていたが中国政府の証明書から未成年と判明し一度公訴棄却された珍しいケース
③江戸川女性強殺
2001年2月1日東京都江戸川区でアパートから出てきた耳の不自由な女性に19歳の少年が襲いかかりナイフで滅多刺しにしたが金銭を所持していなかった。5月8日に本件で逮捕されたが計画的な犯行で別件の強盗致傷や大麻取締法でも起訴された。
2004年6月25日東京地裁で無期懲役判決。2006年5月16日に東京高裁で控訴棄却され上告せずに確定したと思われる。【読売04.6.26】
④大阪薬局店経営者強殺
2005年10月2日大阪府豊田林市の薬局で経営者が襲われて44万円が奪われた。経営者は自ら110番したがナイフで刺されており後に死亡した。犯人は以前働いていた19歳の少年で、同日にバイクで事故を起こした際に逃げられないと思い犯行を自供した。
殺害方法をインターネットで検索していた。
2006年7月6日 大阪地裁で無期懲役判決
控訴せずに確定したと思われる。
【読売06.7.6夕】
⑤河津町同級生スコップ強殺
2006年1月26日静岡県河津町で19歳の少年が暴力団員の知人から譲り受けた車の月々3万円の代金が払えなくなり調理師見習いの同級生に借金を申し入れたが断られてスコップで殴り、手で口を塞ぐなどして殺害し4万円を奪った。
車の代金で脅迫されていて追い詰められていたと主張したが身勝手な理由と2006年9月14日に静岡地裁沼津支部での無期懲役判決を控訴せずに確定した。
【読売静岡06.9.15】
⑥水戸市両親殺害
2004年11月23日深夜、水戸市にて19歳少年が2階で就寝中の父親を鉄アレイで何度も頭部を殴り殺害。別室で寝ていた母親も同様に殺害した。
自ら通報し翌日逮捕され当初は衝動的な犯行と言っていたが、両親や祖父から大学に行かなかった事を責められ「習い事をしろ」とうるさく日頃から言われていた事で殺意が芽生えた事が原因だった。
2006年12月18日に水戸地裁で未熟な精神を勘案しても身勝手な責任転嫁による犯行と無期懲役が言い渡され控訴せずに確定した。
【読売06.12.19】
⑦金沢市会社役員夫妻強殺
2004年9月13日に金沢市の会社役員宅の裏口の窓ガラスを割って17歳の少年が侵入しサバイバルナイフで夫婦を滅多刺しにして現金と財布を奪った。揉み合いの際に妻が通報していて駆けつけた警察官に裏口を出た所で取り押さえられた。運転免許取得費用ほしさの犯行だった。
少年は不登校でアスペルガー症候群で当時は心神耗弱と弁護側が主張したが鑑定書では人格障害は認められるが精神疾患は認められないとの鑑定結果。
2006年12月18日金沢地裁
極刑がやむをえない。死刑をもって処断するべき事案とし、18歳未満のために少年法51条により刑の緩和をし無期懲役が言い渡された。
弁護側が控訴したが2007年2月13日に本人が控訴を取り下げて確定した。
【読売石川06.12.19】
17歳による死刑相当の事件は以後発生していない。
⑧福島出会い系サイト強盗致死
2005年6月19日福島市で19歳の少年3人と会社員のS、17歳の少女と共謀して出会い系サイトで呼び出した男性に暴行を加えて殺害し現金や車を奪った。
共犯のSは事件の12日前に同様の手口で呼び出されて暴行されて91万円を奪われうえに脅されて犯行に加わっていた。少年らは翌日に逮捕された。
2006年4月21日福島地裁で3少年に無期懲役
2006年10月12日仙台高裁で控訴棄却
2007年2月19日上告棄却
17歳の少女は家裁移送になり被害者でもあり加害者のSは福島地裁で懲役8年、仙台高裁で懲役7年
3人の少年に無期懲役が下される大きな事件だがネット上でも話題に上がることは殆どない。
【朝日福島06.4.22】
⑨熊野市交際相手の母殺害
2008年6月23日に三重県熊野市の会社員女性が自宅で包丁で首を切られダンベルで頭を殴られて殺されてるのを26日に訪れた次女が発見し通報。翌日に三女の交際相手の18歳の少年が逮捕された。
三女とは23日、24日と外泊し25日は被害者宅に泊まったが三女は異変に気がつかなかった。
殺害し10万を奪った以外にも友人宅から15万円を盗んだりネットオークションで約5万円を詐欺で騙しとったりした。
2009年2月9日津地裁で無期懲役判決を控訴せずに確定したと思われる。【読売09.2.10】
⑩坂出市新聞配達員強殺
2006年11月1日早朝香川県坂出市の雑居ビルで新聞配達中の男性を顔を踏むなどして殺害し金品を奪った。
翌日に自ら出頭したのは18歳の少年で他にも余罪が多数あった。
「酒に酔っていた」「殺すつもりはなかった」と主張したが2008年3月11日高松地裁で「卑劣な犯行で、被告の規範意識や更生意欲の欠如は著しい」と無期懲役判決。2008年8月11日高松高裁で控訴棄却。
2009年2月23日に上告が棄却された。
【読売08.3.11夕】
⑪神戸市強盗殺人
2008年5月9日に神戸市のマンションに住所不定の中国籍の少年(19)が侵入し包丁で住人の男性を刺殺し通帳やカードを奪い600万円を引き出した。
一度は出国したが防犯カメラから少年を手配し、翌月の21日に再び入国した所を関西空港で検挙した。
少年は拘留中に20歳になったために少年法の規定で起訴時の年齢により裁判が進められた。
2009年3月31日に神戸地裁で無期懲役判決。
その後の報道は見当たらない。
【読売09.4.1】
⑫稲美町タクシー強殺
2008年12月29日に稲美町の公園の駐車場に停車していたタクシーを襲撃しナイフで刺殺し5000円を奪った事件で翌年の2月9日に逮捕されたのは加古川市の派遣社員の少年(19)だった。
友人から度々遊ぶ金の工面を迫られていたが、関係を絶ちたい気持ちと見栄を張りたいという気持ちの狭間で犯行に及んだ。「自分は遺族が望む通りに死刑でいい」と涙を流しながら謝罪し、生育環境などにも触れられたが刑事責任は重いと2009年7月22日に神戸地裁姫路支部で無期懲役の判決が下されて控訴せずに確定した。
【読売09.7.23】
残りの事件は後編に続きます