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㉘ 福笑い殺人事件 大久保公文(19)

福笑い殺人事件

昭和30年2月3日八王子市元横山町の飲食店で女将(41)が目隠しをした状態で死亡していた。現場の状況から福笑い遊びをしている最中に背後から麻縄で絞殺され金品を奪われるという強盗殺人事件だった。発見したのは訪ねてきた女将の娘だった。
また同月13日に足立区千住の洋服店に押し入り、棒で殴り殺そうとした強盗未遂事件も同一犯人によるものだった。
【鑑識捜査三十五年】【昭和30年2月4日読売】

少年院で知り合った二人

本件で逮捕されたのは大久保公文(19)と吉井房雄(20)。それぞれ片親で大久保は父親、吉井は母親に育てられ素行不良で共に多摩少年院に収容され、そこで知り合い出所後に一連の犯行を実行した。
足立の事件ではもう一人の少年Sが犯行に加わったが【刑資203】によると同じく多摩少年院で知り合っている。
少年院で知り合い出所後に共謀して重大な犯罪に手を染めるケースは少なくないが、この二人も少年院という更正するための施設で悪い出会いをしてしまった事になる。【昭和30年2月25日読売】

警察の捜査

事件後の警察の聞き込みで2月2日の夕方5時頃に常連の男性が店を訪れた際に靴が二足あり、「今夜は久しぶりに来たこのお客と深夜1時頃まで飲むの」と女将が言ったので、一旦は引き返したが、深夜1時過ぎにもう一度訪れた際に、奥から若い男があわてて出てきて男性を止めて「今晩は僕たちだけで飲みたいからかんべんしてくれ」と言ったので引き返していた事が判明し、また翌日朝9時頃に女将の通帳で現金3万3千円を引き出した男がいたこと、深夜に二人組の男を乗せたというタクシー運転手の証言も得られた。
現場からは大久保の指紋が検出され、共犯はメガネをかけているという目撃証言と少年院時代の友人Mからの吉井の特徴が目撃証言の男に似ていること、などから犯人の目星がついた。
【鑑識捜査三十五年】【警察指紋制度のあゆみ】

両名の逮捕

2月23日に吉井からMに金の都合を頼む電話があったと捜査本部にMからの情報提供があり、約束の場所に現れた所をあっさりと逮捕された。大久保は2月26日にMの妻とばったり会い、「家で休んでいきなさい」という誘いにのり、くつろいでる所を通報され、こちらもあっさりと逮捕された。【鑑識捜査三十五年】
【昭和30年2月27日毎日新聞】

朝日新聞55.9.28夕

裁判

強盗殺人1
昭和30年9月28日 東京地裁八王子支部 死刑
(吉井も死刑判決。足立の件のSは不定期5~10年)
昭和33年9月22日 東京高裁 控訴棄却
昭和34年6月14日 最高裁 上告棄却
【刑集37巻6号】【昭和30年9月28日読売夕】
【昭和33年9月22日読売夕】
【昭和34年6月16日読売夕】

※大久保公文の死刑執行日は不明だか村野氏著書の【日本の死刑】では昭和35年2月3日に宮城刑務所に移送されたと記載がある。



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