㉗ 絞首刑は違法と訴訟 松下今朝敏(19)
事件の概要
昭和24年10月1日長野県南安曇郡穂高町にて一家4人が襲撃され日本刀や大工道具で夫婦と子供二人が殺害され時計や衣類などが奪われた事件。
この事件で同年11月1日に検挙された川井春雄(35)は被害者一家とは遠縁で不和から恨みがあり、松下今朝敏(19)と不良少年(17)を「殺して金品を奪おう」と誘い実行されたもの。事件は川井の自供で11月2日に三人の仕業と特定されて解決した。
(川井は殺人ほう助で送検されたが後に強盗殺人で起訴)
【昭和24年11月5日信濃毎日】
【昭和24年11月3日読売長野】
【長野県警察史】
死刑確定まで
強盗殺人4
昭和25年3月31日 長野地裁松本支部 死刑
(川井も死刑、もう一人の少年は懲役12年)
昭和30年12月19日 東京高裁 控訴棄却
昭和33年4月17日 最高裁 上告棄却
昭和33年5月21日 判決訂正申立棄却
【刑集37巻6号】【昭和25年4月1日信濃毎日】
【昭和30年12月20日信濃毎日】
【昭和33年4月17日信濃毎日夕】【集刑125】
【東京地裁昭和33年(行モ)18号】
※共犯者川井春雄の上告趣意書【集刑124】
死刑の執行方法は無効と行政訴訟
松下今朝敏は明治6年2月20日太制官布告65号にある絞首刑は「絞首の具体的な方法は記されていない」「現行の日本国憲法下では無効」と行政訴訟を起こし、『昭和三三年(行)第九六号死刑受執行義務不存在確認請求事件』として受理され判決が出るまでは刑の執行を停止すると東京地裁昭和33年(行モ)18号で決定された。
この訴訟は昭和35年9月28日に死刑は合憲との判決が下り、最高裁でも昭和36年12月5日に棄却された。
【最高裁判所裁判集民事57】
【日本の死刑】【生きている死者:死刑囚は訴える】
その後松下と川井は死刑が執行された(執行日は不明)