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【二章】死刑を免れた少年 死刑判決破棄

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ここでは戦後昭和の少年犯罪で一審死刑判決が破棄された20事件25人のうち18事件22人を紹介。番号は一審の死刑判決順になります。 ❶Y田❷M本とA井❸U越とT野❹F本❺N村 ❻…
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2021年8月の記事一覧

❼死刑→無期→恩赦→強盗K.K(17)

家郷に帰りたいから昭和23年7月29日に民家に侵入して衣類など23点を奪い逮捕され身柄を滋賀刑務所拘置所にて勾留されていた少年K.K(17)は、同房になった朝鮮人徳久炳浩と日本人N(共に強盗事件で勾留中)らに、「初めて勾留された事による不安から家に帰りたい」と話し、もともと徳久とNは脱走を企てていたためにK.Kもこれに加わり同年8月1日に計画を実行した。 「房内の電球が切れた」あらかじめ徳久が電球の配線を切断して、「電球が切れたから交換してほしい」と看守を呼び出し、扉を開け

⓮現行法で最年少死刑判決のK.H(18)

大月孝行(旧福田)という有名な少年死刑囚がいる。 「戦後最年少の少年死刑囚だ」「現行の少年法で死刑を宣告された最年少だ」 これらはYouTubeや個人ブログに散見されるが、どちらも間違いである。 戦後の最年少少年死刑囚は【少年死刑囚事典】で記事を書いているとおり、鬼頭正一の17歳4ヶ月。 少年法改正後(18歳以上じゃないと死刑に出来ない)に死刑判決を言い渡された少年で大月よりも若い少年がいる。 今回はその少年事件を取り上げる。 茶志内駅前売店で発生した強盗殺人 北海道美唄市

⓰一審死刑の拳銃強盗少年Y.M(18)

戦後の少年犯罪で銃を使った事件はいくつかあるが、死刑が確定したのは平徹雄、片桐操、永山則夫の三人しかいない。 この事件は一審で少年が死刑を宣告されたケースで、片桐操の一審判決にも影響した(?)と思われるので取り上げたいと思う。 大人顔負けの犯行昭和39年8月14日の大阪の八尾市でタクシー運転手Wさんが客に背後から拳銃で撃たれて、その場で車内から降ろされ売上金が車ごと奪われる事件が発生した。 車種と色、ナンバーがすぐに手配され非常警戒網がしかれ、何人かの一般人が目撃して追跡を