それってなんだかおかしくない?
2022年6月5日、地獄のデスツイッターランドに流れてきた、一服の清涼剤のようなツイートがこちら。
・有権者の半分は女性のはず
・なのに日本の国会(議員?)はほとんどが男性
・「それってなんだかおかしくない?」
なるほど、人口の半分が女性なら、国会議員の割合だって女性が半数でもおかしくないはず、でもそうなってないのはなんだかおかしくない?おかしいよね、だからみんな、女性候補者に投票しましょうそうしましょう!
noteにもアカウントがあり、記事を投稿されている。読んでみた。
微笑みながら読んだ後、僕の脳裏に浮かんだ最初の言葉は「正気いや本気でやる気あるのか、こいつら?」だった。
女性候補者にみんなが票を投じれば、女性議員がたくさん生まれる。それはその通りだが、そもそも女性候補者がいなければ女性議員など生まれない。だから、男性候補者の数を圧倒するほどに女性の候補者を擁立することこそが目指すべき道のはずだ。女性候補者の数はどれほどなのか、彼女らはどれだけ票を得ているのか、そもそも、女性候補者らは有権者らに歓迎されているのか、いないのか。
--
参考にしたデータは、2021年の衆院選の小選挙区のものだ。
NHKが公開している選挙結果のcsvデータを基に、当該データにない個々の性別については朝日新聞の候補者一覧を確認し名前と顔写真で推測した。もし各立候補者の性別の認識に齟齬がある場合は全て僕の責任であるので、適時指摘をいただきたい。
自分でも調べてみたいと思う方は、以下のリンクからxlsファイルをダウンロードできる。TkSqlite向けのdbファイルもあるのだが、それはアップロードできなかった。各自好きなdbに落としこんでご利用ください。
--
まずは、候補者の男女それぞれの人数と、男女それぞれがどれだけ得票できたかを見る。
男性候補者が圧倒的に多く、その得票数も女性の7倍近い。票を投じるにあたり誰にするか選ぶのに、男性候補ばかりが並んでいればいきおい、男性への投票が多くなるのも道理だ。そもそも女性候補がいないから、女性議員がなかなか生まれないようだ。
続けて、各選挙区ごとの男女比率も調べてみる。どの選挙区にも女性候補が擁立されていたなら、(女性議員の増加という目的上の)正しい選択肢が有権者らに与えられていたことになる。
全289選挙区のうち、女性候補のいなかった選挙区が179もある。女性候補自体がいなければ女性候補への投票なんてできないのだから、まずは全選挙区で女性候補を立てることを真剣に考えるべきだろう。
ちなみに、上表を少し手直しし、女性候補者が2名以上いた選挙区をピックアップしてみる。
計27の選挙区ではつまり、女性候補同士で議員の席を奪い合うという(女性議員の増加という目的上)馬鹿なことをしたわけだ。
女性候補者は1選挙区につき1名だけ擁立し、選挙活動のリソースを全てその人に注ぎ込む戦術を採るべきだろう。女性候補同士で火花を散らすのは、議員の半数が女性になってからでいいはずだ。
女性議員の増加を阻んでいる要因としては、
女性の候補者が少ない(男性の1/5)
女性候補が全くいない選挙区が多数ある
女性同士で戦った選挙区も若干ある
が挙げられる。上記ツイートで女性候補への投票を呼びかけられても、そもそも投票先が無いのだ。
もし、この現状を改善しないまま、女性候補だから票を投じる、というムーヴメントが発生した場合、それはタレントだから票を投じる意識との違いが無い。贔屓の引き倒しであり、また「民主主義国家においては、国民はその程度に応じた政府しかもちえない(松下幸之助)」という法則からも政治の更なる劣化が進む恐れがある。
単純に安易に、女性候補に票を投じさえすればいい、という話ではない。
以前にもnoteで書いたが、
本当に女性議員を増やしたいなら、まずは女性候補者を増やす運動をすべきだ。
--
さらにデータを調べてみる。
男女それぞれ候補者らの、年齢と得票数の関係を見よう。
男性の場合、40代~60代の候補者が得票数が多く、女性も50代~60代の候補者が得票数が多い。20代の候補に至っては、男女とも一人当たりの得票数は非常に少ない。
よく、国会議員の若返りを!という呼び掛けを耳にするが、実態としては有権者らは、若者ではなく中年以降の候補者に票を投じる傾向があるようだ。いきおい、女性候補も若手ではなく、40代以降の人を擁立するのが無難だろう。
個人的には、男性80代の得票に驚く。僕自身、齢50を超えてめっきりと肉体や思考力の衰えを覚えているので、80代の議員とか役に立つか?いらんだろ?というか辞めて?と思う。国会議員にも、60歳定年制を設けるべきだ。ギリ70歳までか。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?