#22 感情の変化は一瞬で
夢に向かって頑張る姿を見て、自分も頑張ろうと思った。頑張らなきゃなと思わせてくれた。
12月17日に日向坂46のクリスマスライブ、「ひなくり2019」に行ってきた。個人としては、初めてファンクラブ先行で当たったライブ、2019年3月6日以来の日向坂46のライブということで、チケット当選の日から何日も、今思えばあっという間だったが、とても楽しみにしていた。場所は幕張メッセ国際展示場4〜6ホールで行われ、2階席がない平面の会場で、会場の前方と後方にステージがあった。僕の席は前からA〜Gとなっている中のEブロックと、前でも後ろでもない席で、他のアイドルやバンドのライブのようにアーティストが見えないのかななんて少し落ち込んでいた。しかし、すぐにそんな考えは消えた。なぜなら、近くの柱や、席のブロックごとの通路の隅々までメンバーが登場し、初めてと言っていいくらい近くでメンバーを見れたからだ。
僕が応援しているメンバー、いわゆる"推しメン"も、幸運なことに近くを通り、パフォーマンスをしている姿を自分の目で見ることができた。「可愛い」や「ダンスが上手い」こともさることながら、比喩なしで輝いていた。
踊って歌うメンバーたち。テレビ画面やライブ会場のモニターで見るのとは違う、何かのフィルターを介していないリアルな表情、体の動き、そして何よりそこにいるんだという存在感をもの凄く感じた。
あまり余韻に浸ることがない僕は、ライブ後にハイになることはなく、素の自分に戻る。余韻がないというより現実味を感じなくて、夢だったのかなってライブの後は毎回思ってしまうくらい実感がないのだ。正直、ライブは物体として手元に残らず、心や頭に留めておくものなので、どことなく現実主義者の僕にはライブ後だけでなくライブ中でさえ、純粋にライブだけを考えることは出来ず、色々なこと、本当に色々なことを考えてしまう。
日向坂46は15歳から24歳のメンバーで構成されている。最年少は15歳。本当にすごいと思う。他にも19歳の僕よりも年下のメンバーが何人かいる中で、その年齢の時の僕と重ねたら当然の如く情けなくなった。いやむしろ、彼女たちは芸能人なんだ、アイドルなんだ、だから情けなくなるのも仕方がないと開き直った。ただ分かっていることは彼女たちは「夢を持って行動している」ことだ。「夢を持って行動している」ことに対しての憧れは、羨望や嫉妬とも違う、よく分からない感情を抱いている。
着飾ったような洒落た言葉はいらない。「頑張っていてすごい」と心から思った。誰しもが確固たる夢を持ち、それを叶えるために猛進すべきだなんて僕の口からは言えない。夢を持つことが全てではなく、そもそも夢を持つことの難しさを誰もが見て見ぬふりをしているようで、僕だけ取り残されたような気持ちでいる。いた、の方が正しいかも知れないが。
夢を見なくては生きている価値がないとは思わない。でも、夢がある人生の方が悔しいし、泣きたいし、悲しいし、でも面白いと思う。様々な感情を経験できると思う。より多くの人に出会えると思う。そして最後には「楽しかった」「頑張って良かった」って思える日が来ると思う。
今、僕には#19でも述べたように、夢と言えるものができた(気がしている)。ライブ中のメンバーたちは泣いたり笑ったりすることで、僕たちファンにも感動や笑顔を届けている。でも、僕はそれ以上に「頑張れ!」と応援されている気持ちになった。当たり前かもしれないが、頑張っているから彼女たちはそのステージに立っているし、頑張っているから結果もついてくる。ライブ2日目の12月18日の中では、日向坂46の夢でもある、東京ドームライブも発表された。止まらない快進撃である。忘れてはいけないのは、その裏に僕には計り知れないくらいの「努力」があるということ。
夢のようなライブから2日が経った今日。「頑張れ!」と押された背中には、まだ手の感触と温もりが確かに残っている。