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見えない花火

どこからかドーンドーンと

花火が打ちあがる音がする


大きくなりすぎた街の建物で

ぼくの場所からは

その姿を見ることはできない


音だけがやけに大きく

夜の空気を震わせている


ハラハラと

空に舞った火の粉の焼ける音


瞼を閉じると蘇る

まだ君が隣にいたころ

一緒に見上げたあの華やかな夏の夜空


見えない花火の音だけが

一人ぼっちの部屋に響く


君の残像だけを残して




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