新月
時計が明日になる前に
布団に入るようにしている
平日は朝が早いので特に
夏の間は窓を閉め切ってエアコンをかけっ放しなのだけど
最近、朝夕めっきり秋めいてきて
窓を開けっぱなしで
風でカーテンを揺らしながら
虫の声を子守唄にして眠りにつく
そんな幸せな世界に間もなく落ちようとしていた時
突然
闇夜を切り裂く声に起こされる
猫だ
野良猫のケンカなのか盛りの付いた鳴き声なのかわからないけど
少なくとも2匹以上の高く刺々しい
穏やかではない威嚇しあう鳴き声が響く
時折
間合いをとっているかのように静かになるのだけど
一方が唸り始めると
もう一方がギャっと威嚇すると
時間にして30分くらい続いたろうか
その間
私は微睡みながら「早く寝かせて」と思いながら
何をそんなに怒っているのかと
そんなにいがみ合わなくても
ちょっと落ち着きなさいよ
と、ぼんやりおぼろげに考えていた
そうか
今宵は新月
月の力が猫の何かをざわつかせるのだろうと
納得した
気が付けば目覚ましに起こされて
動き始めた街の音を聞きながら
まだ目覚めきれぬ頭で
今日も仕事に行く準備を始めたのだった