珈琲
香ばしくて
深くて
鼻腔をくすぐる魅惑の香り
その香りを嗅ぐだけで
何とも言えない安心感に陥る
なのに
琥珀色の液体を一口含むと
急に現実に引き戻される
私の脳の中で
あの魅惑の香りと
苦い液体はどうにも一致しない
だから珈琲は苦手
それでも大人になったから
全く飲めないわけじゃない
私は日々進化しているのだ
だけど
あの人の中では
私は珈琲を飲めないお子様のままだった
あの人には
私の進化は許されないらしい
人はいくつになっても進化する
だから私は
今では珈琲を飲む
眠気覚ましに
甘いもののお供に
一人静かに珈琲を飲む
苦いな
って思うこともあるけれど
前ほど苦手意識はない
私は日々進化している