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『ダキョウソウ』洛田二十日

面白かった!

ショートショート集なんだけど、発想の原点が星新一みたいなSF的着想ってよりたぶん「大喜利」に近くて、それ故にいい意味で敷居が低くて読みやすい。
更に発想が違うから、ショート小説特有の「まぁこうなるんだろうな」が通じたり通じなかったりする。

そこが楽しい!

気付いたらびっくりする線路にいたりする感じ。

一編5分程度で読めるショートショートなんだけど、書き出し1行目のぶっ飛び具合ですでに「結構なとこまでワープさせられてる感」があって、食い足りなさは感じない。
だから毎日暇な時に開いて「あー、面白かった。パタン」でも充分楽しめた。
ちょっと食べるだけでもちゃんと満足できる感じ。
まい泉のカツサンド的満足感というか(褒めてます)。

全体的に初手の書き出し1行目で1発食らって、クラクラしながら不条理の霧を通り抜けると「あれ? いつの間にこの路線を走ってたんだ?」ってなるジャンルを飛び越える感じが楽しいです。
辿り着くお話のジャンルも豊富だし、短いお話の中でちゃんと飛躍してくれる。

意地悪やホラーもあったし、淡い空気感の青春話が多かったのも印象的。
個人的な好みを言うなら、もうちょっと「エロい話」があっても良かったんじゃないかなーとは思った。不条理なぶっ飛び設定と意外と相性いいと思うんだけど、どうでしょうか(村上春樹のネタのみのライブをするくらいなのだし)



個人的に一番好きだったお話はラストの『燻された夜に』。
不良でも優等生でもない俺たちの、ヤケクソ気味のスタンド•バイ•マイミー。
他のお話と比べてぶっ飛んでるポイントが「言い方がバカなだけ」というのも、それまでの19編を読んでからだとなんだか味わい深い。

あと天久聖一先生の著作に対しての言葉が格好良かったので勝手にページを貼ってしまおう。

チビチビ読んでも満足感がずっとあるのが本当にいい。

とりあえず自分は大満足でした。

あー、面白かった。

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