北欧 #アイスランド 旅行記(11日目)〜ケフラビーク〜
いよいよ出発の日を迎えた。長いようで短かった旅路。アイスランドの大自然の厳しさ、慈しみ、美しさで心を根こそぎ揺さぶられた十日間だった。
脳裏に見てきた数々の情景だけ浮んでは消え、まだ心の整理がつかない。
ケフラビーク国際空港から飛行機が離陸する時に、娘が大粒の涙を流しながら、アイスランドの精霊たちと別れを惜しんでいた。
「もう少しの間だけ、アイスランドにいたかった・・・」
そう、娘の涙が語るように、それだけ大自然との濃密な対話があった。
静かに祈り、雲の音に耳を傾け、雨と雪の香りを嗅ぎ分け、風で氷河が刻まれるのを感じながら、敷かれた雪の絨毯に導かれていった。
子供たちが目に見えない存在を、自然通して感じてくれたのが何より嬉しかった。
娘が誕生した際に、先住民ホピ族のおじいちゃんとおばあちゃんからの申し出で、かな親・かな娘の関係になって頂いた。その時の儀式で頂いた名前が「ヌヴァネムシー(ホピ語で雪のブランケット)。」
アイスランドの大地は、どこまでもその雪のじゅうたんに覆われていた。きっと娘の中で、心の故郷に帰ってきた感じだったのかもしれない。
号泣する娘の手を握り、また10年後、高校を卒業する頃に、家族でまた夏のアイスランドに戻ってくる事を、娘と共にスピリットに約束をした。
飛行機が飛び立とうとする時に、優しく小雪が待っていた。離陸すると、機内に太陽の光が差し込んできて、何か私たちの想いを運んできているようだった。
「また10年後に約束が果たされるまでに、このアイスランドの大自然を見習って懸命に生き抜こう。」
そう語ると、娘は涙を拭いながらうなづいてくれた。