hideaki sasaoka -live tour 2023 spring- 東京公演1部 ライブレポート
2023年5月20日(土)、hideaki sasaoka (以下笹岡)初のライブツアーである「hideaki sasaoka -live tour 2023 spring-」の東京公演が幕を開けました。
この日は1部14:30開演、2部18:30開演となり、6月17日に大阪公演が控えています。今回はこのうち1部の主観的ライブレポートとなります。
※ネタバレしてます。大阪まで感動をとっておきたい派の皆様は大阪後に読んでいただけますと!
渋谷TAKE OFF 7
さて今回の会場は渋谷TAKE OFF 7。センター街を神南方面に向かっていくとちょうどBunkamuraの裏手あたり、無限大ホールの正面にある複合ビルの地下にあります。「今回はセンター街を通るのか〜」などと思っていたのですが、抜けてしまえば居酒屋などが散在しているものの周辺環境は閑静です。天下のハチ公口が最短ともあって前回のファンミーティングで渋谷駅西口を求めて彷徨っていた笹プの阿鼻叫喚も若干落ち着き気味…。
ドリンクチケットを手に進んでいくとなんということでしょう。今回は丸椅子が用意してあるではありませんか。オールスタンディングの笹岡のライブは基本的に立ち姿勢がメイン。それでも事あるごとに地べたに座りたがる笹プに配慮してか(後ろの人が見えづらいとかそういう気遣い面であり、治安や平均年齢のせいではございません、念のため)互い違いに椅子が置いてありました。この日の渋谷の日中の最高気温は23℃。なんとなーく蒸し蒸しとしていた中、待ち時間の間に氷の入ったドリンクを片手に歓談に興じる、この素晴らしさ。飲み終わったらドリンクはカウンターに戻しにいくことができ、ライブ中の置き場所を気にすることはありません。女子トイレも個室で踊れるくらい広かったです。
TAKE OFF 7、なんという福利厚生よ。おかげさまで大変快適に過ごすことができ、ライブ開始前のステージ写真とかそういうお決まりのショットを全くもって失念してしまいました。すみません。
そんなこんなで定刻になると照明がスッと落とされ、ステージ上手後方からサポートメンバーの皆さんが入場すると、間をおかずして笹岡が下手前方から入場。そのまま演奏が始まります。紛れもなくほんの2時間前くらいにツイートしていた衣装なので本人には違いないけれど、あまりのオンスケぶりに逆に気持ちの切り替えができない事象が(私の中だけで静かに)発生していました。
それにしても見てください、とっても額が綺麗なんですよネ….(キモ)
01.羽化
オープニングは前回のファンミーティングで初披露となった「羽化」。いやあこの曲、ファンミの時にドラムとベースがすっごい素敵だなと思っていたのですよ。この曲の初めての感想については前回のnoteに詳しく記載があるのですが、いたく感銘を受けたベースラインを生演奏で聴ける日が来るとは…。
今回はバンド編成に近く、ドラムとベースとマニピュレーターのお三方(マニピュレーターという単語をここで初めて知る)。
変幻自在に音を操る演奏隊を後方に従え、笹岡のハリのある歌声が会場に響き渡ります。いや生演奏、素晴らしく音に厚みがありますね。ファンミの時の感動が立体的になって耳と胸に迫ってきます。そんな迫力のあるサウンドに合わせて、照明もぐるんぐるんと派手に回っています。今回も照明は派手派手なんです。ええ。
02.draw
2曲目は「draw」。昨夏のファーストワンマンライブで初めて発表された曲ですね。
この曲で笹プは初めて声出しありのコールアンドレスポンスを体験するのでした。「過ちーもいーまはー」のところと「すこーし落ーち着いてー」のところですね。
「歌えますか??」と聞かれたら、もちろん歌える。歌えるんだけど、こういう曲だったんですね。「draw」には我々が歌ってもいいパートがあったんですねええええ!!!!っていう感動がすごい勢いで私の胸に飛び込んできました。
ここ歌うとほんと気持ちいいんですよ。こんな重大なパートを任せていただいてありがとうございますの気持ち…
自己紹介
「皆さーん、こんにちはー!hideaki sasaokaです!」(かっこいいドラム音)ああー、ドラムの方がいるとこういう自己紹介になるのか…素敵…
「みなさん、今日は楽しむ準備はできていますかー?」
「(まだ遠慮がちな会場)」
「笑 できてんのかぁ?ほんとに?」
(注:文字だとモラハラっぽさがありますが安心してください、大変お茶目な言い方です)
「ではもう一度!楽しむ準備はできてますかあ?」
「(今度は元気に)イエーイ!!」
「オーーーケーーーい!!!! 次の曲は、ユー、エフ、オーーー!!」
03.U.F.O
こちらはライブアレンジバージョンというか、音源とは異なるアレンジでしたね。サビの一部分にアレンジが加えられていました。いやはや新鮮。これからこちらがスタンダードになるのかな。
たまにちょっとした振り付けのように加えられる笹岡のアクションが好きなんですが、今回のUFOでも好きアクションが二つありました。
一つ目は「何度諦めた」のところで、指を数えるように一つ一つ折るんですがこれが小指からなんですよ(あまりにも珍しかったので「こゆびから」ってメモしてしまった、これが全くの見間違いで普通に人差し指だったらすみません)
できます?みなさん。小指から。
多分ですね、手の甲が正面に向けられていたので親指は最初から中に折られてるんだと思うんですがこの状態であっても結構小指から折っていくの難しいんですよ。割とはっきりと意識しないと、なんとなくでは出来ない振り付けではありますね。親指側から数えるよりは儚げな印象になります。かすかな未練とか、過去への執着というのが少しばかり透けて見える素晴らしい振り付けだと思いました(どんな解説なんだ)。
次のアクションは「こぼれた弱さが頬を伝うから」ここで溢れる涙ごと頬を手のひらで覆い、頬を伝ってわずかに下方に流すような仕草を見せます。人差し指と中指との間は多分すこーしだけ空いています。この時、顎は軽く上を向いています。つまり若干見下ろすような視線となる角度です。どうですか?(どうですかとは)
完璧じゃないですかね??
歌声もそうですけどこういう細かな振り付けでオタクを刺しに来るのはほんとやめてほしいですね。いちいち心臓が止まっちゃうんでね…
04.purple
お次は「purple」です。このままだと一生好きアクションの話をするnoteになってしまうんですが、こちらの曲の好きアクションといえばなんと言っても「幸せでも不幸でもない」で左右互い違いに指を刺すところです。
今回の不幸方面はいわゆる「カーモンベイビーアメリカ」の指差し(親指)の方で、不幸なんか吹っ飛ばしちゃおーぜ感があって最高だったんですが、その前に新しい好きポイントができてしまいました。
それは図らずも「幸せでも不幸でもない」の直前でして、「涙雨と共にバイバイ」という歌詞の部分なんですが、そこの涙雨のところで上方を人差し指で指すんですよ。笑顔で歌いながら指すんですが、めっちゃコミカルなんですよ。あー、アイドル笹岡が垣間見れる幸せよ。楽しすぎる、そして可愛すぎる。
この曲は最後の「La, La, La…」のフェイク部分が難易度高く、聴いている側もじりっと緊張してしまうような瞬間があるんですが、今回演奏隊をバックに歌だけに集中できている安心感があるからか、ここのフェイクが本当に素晴らしかったです。
フェイクに限らずとも、さっきから書き殴っている好きアクションもですけれど、やっぱりリラックスしているから出せるものってあるじゃないですか。ここ!というところで最適解をバチコーン!!!と当てに行くのはひたすらの練習、そして心のゆとりあってこそだと思うんですよね。そう言った意味で、今回のライブツアーは随所に皆様のサポートあっての一段階上の笹岡が見られていたような気がしています。
ミラーボールがくるくると回り、曲終わりに「サイコー!!」と思わず口から出る笹岡。いやはや本当に最高でした。
MC.1
曲終わりの挨拶に続けて
「今回が僕にとって初めての声出しありのライブなんですけども、自分の作った曲をファンの方と一緒に歌えるなんて、まさかこんな日が来るとは夢にも思っていませんでした。
こっちは最高なんですけど、皆さんどうですか??」
観客
\\\ サイコー!!! ///
「イイデスネッ」(めっちゃ半角文字っぽい返事をする笹岡)
「僕にとっては、皆さんがこうやってライブに来てくれることや、SNSなどで反応をしてくださったりの応援が、音楽活動を続ける上でのモチベーションになっています。僕は今年23歳になるんですが、周りはそれこそ就職活動をしている友人もいるし、変な話皆さんと出会ってなかったら、僕が音楽活動をしていない世界線もあったかもしれないわけで…」
「僕のこの感謝の気持ちを言葉で伝えてもなかなか伝わりきらないようなもどかしさがありました。僕はやっぱり自分らしく、歌で皆さんにこの気持ちを届けるのが一番かなと思っています。そんな感謝の気持ちを込めて歌うので、聴いてください」
05.大袈裟じゃなくて & 06.I LOVE YOU TOO
2022年9月23日の笹岡の22歳の誕生日にyoutubeにて公開された「大袈裟じゃなくて」と、2021年7月のオーディション番組終了後に、笹岡が初めて発表した自作曲「I LOVE YOU TOO」。どちらも笹岡がどうファンに向き合っているか、ファンからの愛情をどのように感じているかを綴ったかのような歌詞であり、ここで続けて聴けるというのは万感胸に迫るような思いがありました。
特に今回はバンド演奏なんでね…。バンドの皆さんがこの曲をどう捉えてそれを音で表現するかっていうそこの解釈も音色に乗ってくるわけじゃないですか。もう耳が贅沢で。こういうしっとりした曲こそバンド演奏が光りますよね。
前回までのLIVEでは「I LOVE YOU TOO」といえばアンコール曲というのが定番でした。会場のボルテージもMAXの中「今日のこの素晴らしい1日よありがとう!!みんなで歌って締めくくりましょう〜!!」みたいなテンションで演奏されるこの曲と、「大袈裟じゃなくて」の後に続いて笹岡からの日々の応援への感謝を示す曲として演奏されるこの曲とでは受け手の印象が180度くらい変わりますよね。照明ももう西日みたいな感じで、バンド演奏とともにしみじみと笹岡の来し方行く末に思いを巡らせながら聴くんですよ。
2曲終わると「最高ー!ありがとうー!!!」と幸せを噛み締めるような表情で笹岡からのご挨拶。それはもう自然に涙が滲んでくるというものです。私の席はかなり後方だったので客席に目をやると皆さんの様子が窺えるのですが、皆様も概ね同じようなお気持ちなのかなというのが背後からも察することができました。
メンバー紹介
さてここで、今の今まで素敵な演奏で笹岡の曲を彩ってくれたサポートメンバーの皆さんのご紹介が始まりました。
「まずはマニピュレーター、カンタ!」
ププププゥ〜〜ン
何度も耳にする効果音を聞いておおお〜!とどよめく会場
「次はドラムのケント!」
カンタ、ケントってもう名前の並びからして若いような…
「最後にお誕生日ボーイ、ベースのダイキ!」
なんとこの日5月20日がお誕生日というダイキさん。そんな素敵な日にサポートしていただいて本当にありがとうございます。おめでとー!おめでとー!と口々にお祝いを述べる会場。
そしてカンタケントダイキときたらそれはもう笹岡と同世代間違いないねと確信いたしました。メンバー紹介の間もニコニコされていてどことなく可愛らしい雰囲気の漂うサポートメンバーの皆さんです。
オリジナル曲制作のコーナー
「ここで急なんですけど、皆様と一緒にレクリエーションの時間を取りたいと思います。題して!今日のオリジナル曲制作のコーナー!!」
出ました、笹岡のライブ名物レクリエーションコーナー。A3のスケッチブックが譜面台に用意され、サクサクと進行されていきます。それにしても表紙のイラストがまたナゾい。東京1部は下記の本人ツイートの右側の絵が表紙だったんですが、私なんて客席後ろだったからあんまりよく見えなかったのかなと思いきや、前の方で見ていた方々も「カニみたいなドラム」とか「四角い箱が二つ重なってた」とか非常に趣のある感想を述べられていました。レクリエーションコーナーは笹岡の字とか絵の謎加減を楽しむコンテンツとして確固たる地位を築いていますね、もう。
制作コーナーは挙手した人の中から笹岡が指名をしてそのテーマに沿った曲を即興で作るというもので、1曲めと2曲めでは指名人数が異なります。
①お題(一名)
②いつ・どこで・誰が・何を・どうした(五名)
1曲目では「アニメ」というお題をもらった笹岡。しばらくスケッチブックの前で長考しています。「歌い出しだよねまずは…ここで8割決まると言っても過言ではない…」などと言いながらもその間に質問がどんどん飛んでくるので、普通に返答をしています。
「(今期のアニメは何を見てますか?)「推しの子」!「Dr.stone」も見てますね。「地獄楽」も見ているんですが…ちょっと拷問みがあって…1話をもって見るのをやめてしまいました…。あ、「鬼滅」もやってるわ今..」
「(「推しの子」は誰派?)かなちゃん!」
※笹岡は過去の動画配信で「(かなちゃんを含む)負けヒロインが好き」と言っていたことがありました
「話していると筆が止まっちゃうんですよね笑 でもたくさん話したくなっちゃうんですよね〜。」
「あれ?(スケッチブックの角度的に観客から内容が)見えちゃう??
ミナイデ! ミナイデ! マダダメヨ!!(またしても半角)」
そんなこんなでドタバタしながらも、さあできました、と歌詞が完成した様子。ドラムとベースのお二方に4つ打ちで、ビートも明るい感じでと伝え、その通りの演奏が始まります。
「HUNTER×HUNTER」は笹岡が生涯で一番好きと言っている漫画で、冨樫先生が昨年秋に連載を再開された際には喜びのツイートをしていたり、ゲーム配信ではこの作品から数々の名言(「俺でなきゃ見逃しちゃうね」「あいつワシより強くね?」等)を引用するなどでその熱狂ぶりが兼ねてより話題になっていました。そんなHUNTER×HUNTERの名がオリジナル曲でまさかのコーレスになるとは、ジャンプを超える胸熱展開がここにありましたね…。
2曲めは、「3億年後・宇宙で・猫が・歌って・踊った」というお題をもらいました。
「いいですね。これスペースファンタジーチックな内容で。三億年後なら宇宙猫もありえるかもしれない」
「おーし、導入部分が決まったぞ。最初が決まっちゃえばもうこっちのもんなんですよ。へっへっ(漫画みたいな笑い方)」
「これねえ、リハの時一番苦戦したかもしれない、全部の中で」(即興コーナーもリハを…?謎)
出てくる発言の一つ一つに笑いがもれる会場。こちらもリズムとビートを指定して、下記のような一曲になりました(注1)。
「僕も含めて成人している方もいらっしゃると思うんですが、ニャーニャー言わせてごめんなさい」
さも申し訳なさそうにお詫びをされつつ、大爆笑のうちにレクリエーションコーナーは終了しました。
07.夏だね
「さて!話はガラッと変わるんですけど、だんだんと暑くなってきましたね。今日って雨降ってましたか?もう夏が来ますねー?(何かを察し、おお〜とどよめく会場)それでは、この曲を聴いてください」
過去2回のライブでダンス曲となっていた「夏だね」が、バンド演奏と共に戻ってきました。よくよく考えたらこの曲を正式に生歌で聴くのは初めてかもしれないですね。2021年8月に公開されてから約2年後にして初めての生歌バージョン、また一味違った味わいがありました。曲終わりのひぐらしの鳴き声が拍手がスーッと止む頃に入ったりして、ちょっと違った印象がありましたね。
08.Tell me why
お次は「Tell me why」。こちらもしっとり曲、歌声とバンド演奏のバランスがとても良かったですね。体に響いてくる音の厚みが違います。秋の風景を模したようなオレンジと紫色の照明も美しく、夏から秋につながる季節の移り変わりが感じられました。
この曲と「夏だね」の並びで聴いていたら、やはりオーディション番組が終わったあたりのことを思い出しちゃいますね。現在はオーディション番組が乱立しているので、番組が終了してからの参加メンバーの旬は3ヶ月くらいなんて言われています。その期間を大幅に超えて、笹岡のライブが定期的に開催されたり、東京、大阪と少しずつ規模が大きくなってくることがいかに尊い環境であるかを噛み締めてしまいました。
09.羽化 & MC.2
そしてここで本日2回目の「羽化」の披露となりました。たくさん覚えてほしいので、と伝えられてからの2回目はまたさらに盛り上がりましたね。そして2回披露するからには、今一番本人が聴いてほしい曲なんだろうなということも伝わってきました。
2021年秋頃のyoutubeライブの時に、その時は「 I LOVE YOU TOO」「夏だね」に続いて「Tell me why」が発表されたばかりだったので、「(一番どの曲が好きですか?の問いに)『Tell me why』ですかね。新しい曲がその時一番自信を持って出している曲なので、一番好きですねやっぱり」というようなことを言っていた記憶があります。
この日は1部2部で計4回聴く機会があり、愛着もたっぷり湧いてきたこの曲なんですが、現在少しだけ本人のTwitterで聴くことができます。早くfull.verを聴きたいですね〜!!
曲終わりのMCでは「羽化」にかける思いを教えてくれました。
「活動名をhideaki sasaokaに変えて新体制になったんですが、自分で自分を鼓舞するような曲を作りたいなと思ったのがこの曲が生まれたきっかけとなりました。それこそ昆虫が羽化するように、日々少しずつでも進化して、変化していきたいなと。皆さんも何か変わりたい、挑戦したいという思いを持っている人がいたら、そんな方々を勇気づけるような一曲になれればいいなと思っています」
「ああ〜、そうだ、ちょっと待っててくださいね」
ここでそれこそ羽化するかの如く(脱皮というべきか…)、おもむろにシャツを脱ぎ出し白いツアーTシャツ姿になる笹岡とサポートメンバーの皆さん。お揃いのTシャツ姿でちょっぴり照れて微笑み合う姿が学園祭のようでもう、甘酸っぱすぎる。
「ほら、今回はここ(胸)に笹ちゃんマークがついていますね(会場笑い)」
余談ですがこのTシャツ、今回はフリーサイズの1サイズ展開のみだったのですが、ゆったりサイズにも関わらず着丈が短く、また後ろの丈が長めだったり、ざらっとした肌触りが心地よく神すぎるTシャツでした。2部の物販中盤くらいに売り切っていたので大阪では追加生産をたっぷりかけていただけることを祈ります。みんな手にとってほしい。なんなら通販してほしい。ずっと買うからさ…
「あっという間にお時間がすぎ、次の曲が最後の一曲となってしまうんですが」
「今ね、新年度になりましたね」(ここでなかなか「年度」が出てこず、「新学期」「新シーズン」など色々言った挙句にファンの方に教えてもらうという一幕が)
「新しい生活が始まった方も多いかと思うんですが、僕も含めて、ゆっくりでいいから、自分のペースでいいから一歩ずつ歩いて行こうという気持ちを込めました。『これから』」
10.これから
落ち着いたテンポの、1日の最後に今日を振り返って一息つくようなこの曲が、この日最後の一曲であることが今回のライブの象徴であるように思えました。
というのも、今までのライブと今回のライブとでは(というか、前回のファンミーティングからか)披露する曲数は減ったんですね。今回歌わなかった歌の中にはファンとしては馴染みがあり愛着がある歌も、また、ライブで一度聴いたのみでもう一回聴きたいと密かな期待を抱いていた曲も含まれていました。
そういう意味では、番組が終わって一度全てが0地点になった後、徐々にバリエーションが豊かになり拡張をしていたかのように見えた笹岡の2年間の音楽活動が、今回初めて少し落ち着きを見せた、という見方もできます。ちょっと想像していたライブと違った、という思いがゼロではなかったというのが正直なところではあります。
ただし一方で、曲数では測れない、笹岡の音楽に豊かさをもたらす別の変化が確かにありました。
一番大きかったのが、先ほどからも何回も言及しているバンド演奏となったことです。これにより曲演奏をメンバーにお任せできるので、今までより一層歌に集中できているのだろうなと思うことはライブ中何度もありました。また、進行や物販を手助けしていただけるスタッフの皆さんのおかげで、ファンとの交流に専念できるということもあったかと思います。イベント自体を行うことに慣れてきたということもあるかと思いますが、笹岡自身もファンの方との交流を楽しくリラックスして行っているという印象が今回は強かったです。
私たちはまだ、「新体制になった」という笹岡が語るその意味の、芯を捉えてはいないのかもしれない。
目に見えてセンセーショナルだったりスピード感のある「変化」ではなかったとしても、いつか振り返ってみた時に「あの時が笹岡の音楽活動の分水嶺だったよね」と語ることのできるターニングポイントが、今回のライブであるのかもしれません。
そしてそのターニングポイントは、笹岡が音楽活動を続け、そしてファンがそんな笹岡の活動を支え続ける限り、これからも何度だって、形を変えて訪れるのだろうと思います。
(注1)冒頭の3億2023年は聞き逃していたものの、いぬもさんに教えていただきました。いぬもさんは第2部のレポートをお書きになっているので2部の雰囲気も知りたいよ〜という方はぜひ!