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笹岡秀旭とGoosebumps

新たな章の始まり 
飛び込んで 挑むGame 
開幕するのは Brand new world

笹岡秀旭がコンセプト評価で選び、国民プロデューサーにも選ばれた運命の曲「Goosebumps」
歌い出しで笹岡がセンターに出てきた時、彼とチームの勝利を確信した。

これだ。
笹岡が心の底から欲し、笹岡ファンダムが彼に何としても経験して欲しかった勝利が、すぐ目の前にある。パフォーマンスの間中ずっと、文字通りの鳥肌がゾクゾクと立つ思いだった。

運命の曲「Goosebumps」

時は戻って5月6日。第一回順位発表式が終了して間もなく、コンセプト評価のマッチング投票がスタートした。

順位発表式の衝撃を抱えたまま、次のポジション評価もまだ見ていない段階でコンセプト評価の曲を決めなくてはいけない。目眩がするような思いだったが、笹岡にとって何がベストなのか考え抜かなければ、当時33位の笹岡がファイナルに駒を進めるチャンスはない。

個人的な思いを言うと、「SHADOW」「Goosebumps」の二択だと感じていた。笹岡のオンタクト自由曲「感電」で推すことを決めた自分としては、この2曲が笹岡のポテンシャルを引き出すのに相応しいと思った。しかし最終的にはファンダムの推す楽曲に全面的に委ねようと思っていた。これまでの笹岡を最も良く知り、初期から彼の為に奔走する姿に全幅の信頼を寄せていたからだ。

笹岡ファンダムでも当初は「SHADOW」を推す声が優勢だったと思う。しかしSNS上で他ファンダムからのSHADOW人気が全般的に高いと判断した笹プの皆さんから、徐々にGooseを推していく意見が多くみられるようになった。ファンダムでは意見を募るnoteやマシュマロを設置したり、SHADOWかそれ以外に票を集めるのか、SHADOW以外の4曲だったら何を選ぶか、メボ連合やGoose連合等の動きなど昼夜問わずきめ細やかな連携・連絡・共有が図られ、その献身的な働きと思いの強さに、心底尊敬の念が込み上げた。

最初はSHADOW以外だったら、の文脈で語られることの多かったGoosebumpsだが、初期から笹岡を応援していた方の「笹岡くんの土台はHIP-HOPである」との情報から、徐々に笹岡にとっての唯一無二の曲として認識が広まっていたように思う。2月1日の国民投票カウントダウンSPで、笹岡の自己紹介ボードに描かれていた「HIP-HOPのビートメーカーを目指していました」という文言から、笹岡自身もこの曲に惹かれるに違いないと推測できたのであろう。そういう思いでデモ音源を聞いてみると、やはりGoosebumpsが一歩抜きん出ているように感じた。ファンダム内での意思統一が図られ、相互・連合との調整が完了し投票解禁のゴーサインが出ると、SNS上で笹岡をGoosebumpsに!の呼びかけを促す声もどんどん大きくなっていった。

ポジション決定までの紆余曲折

Goosebumpsに集った8人は以下の通りだ。デビュー圏内の田島将吾くん、西洸人くん、西島蓮汰くん。ファイナル圏内の池﨑理人くん、ポジション評価で大きなベネフィットを得た小池俊司くん、中野海帆くんと、笹岡と同じくボーカル志望の上田将人くん。この中で笹岡が前もって交流があると思われたのは、レベル分け評価で「DU Quintet」として共に過ごした小池くん、ポジション評価で絆を深めた上田くん、I NEED U1班2班やポジション評価でお互いのセンターやメボ決めで行き来が見られた中野くん、個人的に丸メガネをもらった池﨑くんだった。しかし笹岡がGoosebumpsの部屋に入室するや否や大きな歓声をあげて迎え入れてくれる様子には、順位などの垣根はほとんど感じられなかった。

リーダーには19歳の池﨑理人くんが立候補した。池﨑くんは8人の中でも18歳の小池くん、西島くんに次いでの年少者だが、「絶対何かこのメンバーで役に立ちたい」と熱い思いを抱えての立候補だった。続いて西洸人くんが他メンバーからの支持を得てセンターに決まる。順当に思われたポジション決めだったが、後に公開されたオリコンインタビューで、最終的にポジションが決まるまでかなりの紆余曲折があったことが本人たちの口から語られる。サブボーカル1、ラッパー1、ラッパー2、サブボーカル3の各ポジションで上田くん、小池くん、田島くん、西くん、中野くんとの間で何度も再調整が図られたことが明らかになっているのだ。

小池くん「将人くんと自分と洸人くんとたじ(田島)くんでサブボーカル1で争って、自分がやらせてもらえることになりました。そうなったからには、ほかの人の分も頑張らないと、と責任を感じていました」

西くん「最初はサブボーカル1に立候補しました。(中略)争いに負けてしまい…。次はラッパー1をやりたかったんですけど、それもダメで。(中略)悔しいけどサブボーカル3をやることになったんです。そして、レッスン中にサブボーカル3と、海帆のポジションのラッパー2を変えた方がいい、とアドバイスされて。そっちの方がいいという話になって、このポジションになりました。」

中野くん「もともとラップ志望で、ラップ2をやらせていただいて、パフォーマンス面でも前に出てくるパートでした。ですけどトレーナーの方から声質などの適正を見てもらい、僕はボーカルの方がいいのではないかという提案をいただいた。それで西くんと変わりました。めちゃくちゃ悔しかったのですが、これも変われるチャンスだとポジティブにとらえて、魅力を発揮しようと思いました」

自らの境遇に対する葛藤はポジションが変わった上記の5人に留まらない。他のメンバーもこのコンセプト評価で爪痕を残したい、デビューを確実なものとしたいとの思いでもがき苦しんだ様子が語られている。

西島くん「僕はコンセプトバトルで最初は違うグループにいて、途中から加わった僕と海帆くんだけ振りを知らない状態でした。そこでは正直、焦りと不安しかなかったんですけど、実際にみんなで協力して頑張りました。(中略)不安との戦いだったんですけど、自分を信じるしかない。たくさん練習して、みんなに追いつけるように努力しました」

笹岡「メインボーカルの難しいパートをできる人がいない状況だったので、サブボーカル1やサブボーカル2の音域が得意なんですが、チームで勝つために僕がなんとかしないと、と思い立候補しました」

前回のポジションバトルで、笹岡はセンター交代を経験した。それは笹岡にとっても、笹岡ファンダムにとっても大きな波紋を残す結果となった。個人での戦いであるポジション評価と、チームバトルであるコンセプト評価ではポジション交代の質やインパクトは異なると思う。

それでも希望するポジションからの移動を余儀なくされてなお、どこまでもチームのために勝利を追求し、真摯に練習を重ねる様子それのみが画面に映し出されるGoosebumpsメンバー8人の姿は、彼らの自分を律する力や芯の強さを雄弁に物語っていた。

個人を超えた先にあるもの

コンセプト評価練習の直前に行われたゲリラ順位発表の衝撃は練習生40人全員の中に澱のように積み重なり、その先の見えない不安に押しつぶされる様子がチーム問わず何度も映し出された。

しかしGoosebumpsチームは表面上は凪のように静かで、途中池﨑くんがリーダーの重圧に体調を崩してしまったこと以外、個々がそれぞれの課題を抱えているにしてもそれが著しく噴出しているようには感じられなかった。その池﨑くんも一晩休んだ次の日には練習場所へ一番に赴き、チームメンバーへの謝罪と感謝を述べている。池﨑くんが休んでいる間に自分たちのチームへの関わりを見つめ直し、いつもにも増して厳しく練習に臨んだが、翌日には何事もなかったように黙って笑顔で迎え入れる7人。

Gooseチームのこの落ち着きは、今までも練習生経験や舞台経験が多いメンバーが主体となっており、くぐってきた修羅場が桁違いに多いことも関係しているだろう。穿った見方をすれば、順位が安定しているからこその落ち着きだとも言える。

しかし順位下位である笹岡や上田くんも、自分の足りない部分を素直に受け入れて練習を重ね、必死に食らい付いている様子が見える。そこには悲壮感は全く感じられない。ここで見えてくるのは自分の順位に関係なく、仲間のスキルや自分の可能性をひたすらに信じ、今この瞬間にのめり込んでいる姿だ。過去どんなに辛い経験があっても諦めずに粘り強く何度も舞台に立ち続けた仲間達の背中は、二人にとって果てしなく大きく見え、頼もしいものに映っていたはずだ。

センターであり構成を考える西くんの手書きのノートにはフォーメーションの書き起こしがびっしりと連なっていた。自分語りになってしまうが、この西くんのノートを見たときに、自分が学生時代にダンスを振り付けていた時も西くんと同じようにチームメンバーの名前を丸で囲んで方眼紙に描き、何十枚もコピーをして配っていたことを思い出した(当時の自分はコマ表と呼んでいた)。大人になった今でも、もう本番も間近なのに1コマも描けてない、皆に配れていないと焦っている夢を何度も見る。苦い思いもあるが、大事な青春の1ページだ。

今はもっと効率的な共有方法もあると思うが、手を動かして描くことで自分の考えも整理されるし、図にすることでメンバーの理解も早まるのだ。時間のない中、あえて手書きをしている西くんの気持ちが痛いほど伝わった。そしてそんな細やかな配慮があるからこそ、ダンス初心者の池﨑くん、上田くん、笹岡が見劣りすることなくチーム全体のダンススキルの底上げに繋がったのだろう。チームとしての統一感は本放送後公開されたダンスプラクティス動画でも明らかである。

8人の熱くてクールな男たち

本番でのステージが始まると、瞬く間にステージ前面に炎が揺らめき始めた。その中に一人立ち尽くす田島くん。その田島くんの周りをチームメンバーが手を広げて取り囲み次々と立ち上がる様は、さながら炎の中から幾度となく再生する不死鳥のようでもあり、障壁をかき分けて進むサバイバーのようにも見える。

低音の池﨑くんのラップが響き、西島くんへと連なる。再び田島くんとその他に別れ、笹岡が中央に位置すると小池くんと池﨑くんの間を割って歌い出しがスタートする。闇を切り裂くレーザービームのような鋭い歌い出しに、今までの笹岡を覆っていた見えない殻がパリンと割れる音が重なって聞こえるようだった。続く中野くんのボーカルも非常にいい。ラップ志望の彼がボーカルに移動したのは本望ではなかったかもしれないが、ラップやダンスで優れた姿を見せ続けた中野くんが新たな境地に達したことを見せつけるには十分だったように感じる。上田くんは今までよりさらにリラックスして伸びやかに歌えているように感じた。長身でがっしりとした体躯を持つ上田くんが中央に来ると陣形がより引き締まって見える。

続く小池くんのパートは多くの人が印象に残ったのではないだろうか。小池くんはこの静かなパートにふさわしい歌声と雰囲気を持ち合わせている。赤く染まるステージに一人浮かび上がる小池くん。その後の力強い西くんのラップラインと笹岡のナイフの切先のような鋭いサビ前のボーカルとの対比が美しい。そして核となるサビの部分では西くんを中心に左から中野くん、田島くん、西島くん、小池くんと確かなダンススキルのあるメンバーを山型に配置することで力強さと統一感を出すことに成功している。

この曲は動と静が何度も繰り返されるが、その間の要所要所に挟まれるのが笹岡の務めるメインボーカルのパートだ。リズムやテンポを常にキープし緩急をつけながらも力強く高音を歌いきる笹岡のパートは、文字通りこの楽曲の要となっている。群舞の部分ではチームの雰囲気をそのままに激しく踊りながらも、自分のパートではしっかりと音を出し切らなくてはいけない。このステージでは先に収録した音源を被せているが、所々聞こえてくるステージで笹岡が出す声は被せを超えて音割れをしている箇所もある。そこにはもう、今までのステージで見せていた線の細い優しそうな男の子の面影はない。ステージに立つ他の7人の男たちと同様にどこまでも熱く激しく、またどこまでも静かでクールだ。自分の流した汗や涙を丸ごと認め、惨めで見苦しくても自分のありのままでいることを辞めない。

汗かきベソかき恥かき
行こう We just go
武装解除
ありのまま魅せてやれ

Doom doom
まだまだほんの序章
Doom doom
見てみな You feel like a frozen
Doom doom
これからシーンはClimax 虜にさせて

戦いの末に掴んだ最後の1ピース

コンセプト評価はGoosebumpsチームが1位を取ることとなり、本放送の翌日から、その余韻に浸る間もなく様々な供給がなされた。勝者になるとこれほどまでも優遇されるのかと身をもって知ることとなった。溢れ出すような供給の波に飲まれそうになりながらも、手のひらから一つもこぼさないように、一つ一つを大事に包み込んで噛み締めた。

とりわけ印象に残ったのが、コンセプト評価1位記念のan・an webインタビューであった。この中で笹岡は自分の過去について語っている。中学生の時に親友の不登校をきっかけに自分も不登校になり、その時に一人でカラオケに出かけたのが歌との出会いであった、つらい時期に色々な曲を聞いて自分の背中を押してもらえたから、自分も歌を歌って生きていきたいと思った、という内容である。

この内容を読んで彼がどこまでも人の痛みに寄り添ってしまうことや、彼の歌う「I NEED U」や「さよなら青春」がどうして胸に迫るのか、その理由が少しだけわかった気がした。彼は消えそうな魂を歌に救ってもらった経験があるのだ。歌を歌うことは彼にとって娯楽を超えた命綱のようなものだったに違いない。彼の歌に今にも消えそうな儚さ、沼の底に鈍く届く一筋の光のようなまばゆさを感じるのはそのためだ。そして今回のコンセプト評価で、力強い仲間と臨んだステージで、ひょっとしたら長い間彼と彼の歌に欠けていた大切な何かをようやく手に入れられた、そんな気がしていた。

今までの笹岡は放送での分量に恵まれなかったことは確かだが、もしかしたらその欠けている何かの故に大きなインパクトを残せなかったのかもしれない。そしてそれは、本人の力だけではどうにもならない、「運」とか「タイミング」などと呼ばれるものだったのだろう。その最後のピースを彼は自分との戦いに勝利し、手に入れたのだ。

Goosebumpsのメンバーは確かに上位ランカーばかりだが、ボーカルを得意とするメンバーは少ない。笹岡が直感で好きだと感じた曲を、時を同じくしてファンダムも選んだ。そこで実力を発揮したのは間違いなく笹岡の努力の結果だ。笹岡が運を味方にし、ひたむきに練習を重ねて掴んだ勝利に、私たちファンダムがほんの少しでも貢献できたことが今はたまらなく嬉しい。

恐らく既に、第二回目の順位発表式が終了しているはずだ。私たちファンは君の名前が21名の中に呼ばれることを祈ることしかできない。

笹岡秀旭、君は今、どんな思いで空を見つめているだろう。

君の思いはいつだって、画面越しの後から知ることになる。それがとてつもなく寂しく切ない。同じ空の下にいるのに、君と私たちの間には大きな時差があるみたいだ。

それでも順位発表式に臨んだ君の心に、少しでも私たちが存在してくれたら嬉しい。どんな結果となっても私たちは常に君のそばにいる。





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