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【予習】ヘンリー8世とはどのような人物だったのか(ミュージカルSIX⑦)
不在の国王
ミュージカル『Six』で華やかに描かれる6人の王妃たち。彼女たちの物語の陰には、彼女たちの運命を翻弄した男、ヘンリー8世がいます。今回は、そんなヘンリー8世の魅力と複雑な人物像に迫り、彼を取り巻く歴史的な背景もあわせてご紹介します。
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魅力的なカリスマ性と問題視される行動
ヘンリー8世は、カリスマ性あふれる魅力的な人物でした。堂々とした容姿と雄弁な語り口は人々を魅了し、イングランド王としての権威を確立しました。高い教養を持ち、芸術にも造詣が深く、政治手腕も卓越していた彼は、まさにルネサンス期の理想的な君主像を体現していたと言えるでしょう。
しかし、その一方で、現代から見ると問題視される点も少なくありません。6度の結婚と離婚を繰り返し、その中には王妃を処刑するという残虐な行為も含まれていました。男子の後継者を強く望み、そのために王妃たちを利用した彼の行動は、現代の価値観からすれば冷酷で非道なものと映ります。
宗教改革と国際情勢が複雑に絡み合う中での決断
ヘンリー8世の治世は、ヨーロッパ全体が大きく変動していた時代と重なります。マルティン・ルターによる宗教改革が勃発し、イングランドもその影響を大きく受けました。キャサリンとの離婚問題をきっかけに、ヘンリー8世はローマ教皇と対立し、イングランド国教会を設立。これは、イングランドの歴史における大きな転換点となりました。
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また、国際情勢も複雑に絡み合っていました。フランスとハプスブルク家(スペイン)が覇権を争う中、イングランドは両大国の間で微妙なバランスを保つ必要がありました。ヘンリー8世は、自らの政治的な目的のために、これらの国際関係を巧みに利用したと言えるでしょう。
6人の王妃と、永遠に謎に包まれた生涯
ヘンリー8世は、生涯で6人の女性と結婚しました。それぞれの王妃は、ヘンリー8世の政治的な目的や個人的な感情に翻弄され、悲劇的な生涯を送りました。彼らの結婚生活は、当時の女性の地位や権利に関する問題を浮き彫りにし、現代のフェミニズム的な視点から多くの批判を受けています。
ヘンリー8世の遺産と現代への影響
ヘンリー8世が後世に与えた影響は計り知れません。イングランド国教会の設立は、イングランドの宗教、文化、政治に大きな影響を与え、現在もその影響は続いています。しかし、同時に、彼の残虐な行為や宗教改革による混乱は、イングランド社会に深い傷跡を残しました。
まとめ
ヘンリー8世は、魅力的なカリスマ性と冷酷な一面を併せ持つ複雑な人物です。彼の生涯は、権力、宗教、愛、そして人間の業といった様々な要素が複雑に絡み合ったドラマのようであります。
ミュージカル『Six』にはヘンリー8世という役は登場しません。常にヘンリー8世と共に語られ、歴史に翻弄され続けた王妃たちが何を語り合い、何を見つけるのか、来年予定されている作品がとても楽しみです。
補足
山田五郎さんのYoutubeチャンネルにてヘンリー8世の肖像画のファッションの秘密について解説している回があり、とても興味深かったので参考動画として掲載しておきます。