紛争の正体は宗教対立ではない!
「紛争」
この言葉を聞いたことはあるかな?
「戦争」は他の国をまきこんだ争い、「内戦」は国内の争い。
「紛争」はそれらを含んだ広い意味で争いのこと。言葉の意味は大体そんなところ。
これらはニュースでよく耳にする言葉なんだけれど、
「宗教対立でしょ。怖いよね」
と、わかったようなせりふで片づけてしまう大人も多い。
何度も言うようだけれど、ニュースを聞き流したり、地図を上から眺めるような見方では何も正しいことは見えてはこない。
現地で何が起こっているのか
実際はどうなっているのか
思いをめぐらすことが必要だよ。スマホやパソコンを開けばすぐにたくさんの情報が入ってくる現代だからこそ。
中東・パレスチナ
さて、宗教どうしの対立でないというのはどういうことか。
ぼくの見てきた「パレスチナ問題」を例に説明していこう。
イスラエル人(ユダヤ人という民族)とパレスチナ人(アラブ人という民族)のヨルダン川西岸地区、ガザ地区やその周辺をめぐる問題のこと。
中東問題。イスラム教の人たちのことはなかなか日本人として生きてきたぼくたちにはなじみがない文化で、テロ組織や過激派のニュースの印象が強く、なんとなく怖い人たち、危ない国というイメージをもっている人も多いのではないだろうか。
しかし実際に訪れてみるとなかなか旅がしやすくご飯も美味しい。
親しみやすい人柄と、ほりの深い表情の人たちが見せる笑顔は本当に居心地の良い国が多い。
宗教やパレスチナの問題について知るためにエルサレムを訪れたわけだけれど、
その時のことやそれぞれの宗教についてはまた別の記事で。
さぞ緊張感漂う街なのだろうと思っていたんだけれど、(そういう側面もありますが)ヨーロッパからの団体旅行の皆様がわいわい。
話を聞けば、イスラエル人とパレスチナ人の交流もある。
日本でパレスチナ自治区やガザ地区と呼ばれる地区での空爆の映像を見ていたぼくは正直おどろいた。
宗教
宗教は1人1人が信じるものがあり、それぞれの教えの中でで正しいとされることを頑張る。それで心穏やかに過ごしていくものである。
日本も仏教、神道、儒教の考えに根ざした教育が行われている。
そもそも、生物として考えれば年上を敬う必要なんてないんだ。
カマキリは産卵のために両親とも命を落とすけれど、子どもは親を尊敬したりはしない。
でも、人間は社会を作り、助け合って生きている。その中で秩序を保って生活するために教育をする。
ではなぜ、秩序ある社会を形成している人間が人を殺す紛争をするのか?
僕は
「家族が傷つけられるから」
だと思っている。
自分の家族が傷つけられて黙っている人間はほとんどいない。
大切な人を傷つけられた人たちは、大切な人を守るために戦う。
それが人間だから。秩序を保って、親を敬って生きなさいと教育されたから。
報復に報復を重ね泥沼化していく。
そして報道されるのです。「〇〇教、〇〇派が報復を宣言!」
こうして
紛争=宗教対立
の構図だけがラベリングされてお茶の間に届く。
本当に怖いのは
自分の国の利益のためによその国で紛争の手助けをしている国があることなのに。
(それも自分の国を守るために、自分の国の人たちを守るためにしているという理屈はあるんだけどね。)
「何も信じてないから僕らには関係ない。」
「怖いよねー。宗教って。」
という安易なイメージが広がる。
紛争の正体は宗教対立ではない。
大切な人を守りたい人たちの報復の繰り返しだ。
次からは宗教や戦争についてもう少しきちんと話をしていこう。
⭐️おすすすめ書籍
小難しくなりがちな紛争の問題をマンガでわかりやすく解説しています。
⭐️ムスリム・ムスリマ(イスラム教徒)の文化について理解を深めるにはこちらのマンガもおすすめです。
「サトコとナダ」
若い女性同士の日常が舞台ですのでとてもイメージしやすいです。
異文化に接するときはその人の考えていることをすべて理解しようとすることが、最善とは限りません。
それでも一緒にいきていくことはできるはずです。