ジェノサイド
「ジェノサイド」という言葉を聞いたことがあるかな?
ある特定の集団の人たちを殺したり、精神的、肉体的に苦しめたりすることをいう。
当然こんなことはしてはいけないよね。
でも、歴史の中ではこういったことは何度も繰り返されてきたんだ。
2時間目「国境と民族、難民」
で少し触れたけど、
迫害(いじめられるようなこと)を受けている人がいると言ったね。
「ジェノサイド」はそのことについてだと思って読んでほしい。
世界で起きたジェノサイド
今までの歴史の中で起きてしまったジェノサイドの例を紹介していこう。
・ナチスのホロコースト
ナチスというドイツの政党がユダヤ人(今のイスラエルに住む民族)を迫害した。
「ジェノサイド」という言葉はこの事件の裁判で使われたんだ。
👉ドイツはこの反省を生かし、現在はアメリカの次に多く移民を受け入れている。
ドイツ人こそが一番だという考えでたくさんの人を苦しめてしまったからこそ、さまざまな国の人と一緒に暮らしていける国を作っているんだろうね。
・ルワンダの虐殺
1994年に同じルワンダ人の争いで起きてしまった事件。約80万人もの人が亡くなった。
👉その後ルワンダ国民は協力し合い、経済を大きく成長させ、「アフリカの奇跡」と呼ばれているよ。
日本で最近は買い物の時のビニール袋が有料になったけれど、ルワンダはビニール袋は禁止!街の中はとてもきれいでゴミ一つない。
ジェノサイド条約
さて、そんな悪いことが起きているのに、「誰も何も言わないの?」と思うのかもしれない。
そんなことはないよ。ジェノサイド条約というものが国連(国際連合:世界の国が協力するための組織。)でにはあるんだ。
ジェノサイドは禁止だよという約束をしている。
でも、この条約に2021年5月現在、日本は批准(「ひじゅん」同意すること)していない。理由は同じような法律が日本にはないから(ジェノサイドの共謀、扇動を罰する法律)。
つまり、国連で新しい約束をするなら、日本の中でもその約束を守るための法律を作ったり、変えたりしないといけない。
「じゃあすればいいじゃん」と思うよね。その通りなんだけど、それには時間がかかる。法律を作ったり、変えたりするには多くの人が賛成するものにしないといけないからね。
条約に参加すれば安心?
中国は条約を批准している。
でも今、アメリカやヨーロッパの国々はウイグル自治区の人々へのジェノサイドがあると言っているんだ。
中国はそんなことはない。と反論してしているけどね。
問題は条約に違反しているとか、ジェノサイドがあるかないか。とかとそういうことじゃないよね。
『そこに苦しんでいる人がいるかどうか。』
確かに証拠がないと誰も「あの国の人たちが悪いことをしている!」とは言えないけれど、
このことをよく考えてニュースを見てほしいんだ。
まずは日本がジェノサイド条約を批准するのか。
「法律を作ったり変えたりするには、時間がかかる」なんて言ってないで、一刻も早く苦しんでいる人たちを助けるために動き始められるか。
大人たちがそういう話し合いをしているのかをよく見つめていてほしい。
子どもたちにもできることはあるんだよ。