月の光
自宅の小さな天窓から、月の光が差し込んでいた。
ダウンライトのような強さはない。陽の光のような暖かさもない。
照明の代わりにはならない明るさだ。
薄暗く、青く澄んだような色で天窓の小さな正方形のまま、床に光を落としている。
触れてみると、青い色に手も染まる。
ふと天窓を見上げる。
天窓の中で丸い月が黄色く控えめに光を放っている。
月は黄色いのに、月光は青い。
月光が照らす雲は、淡く緑や赤色に縁どられ、暑い部分は夜の闇を残し暗い灰色である。
私は月の光が好きだ。
目を眩ませることのない、夜の静寂の、柔らかな青色の澄んだ世界が好きなのである。
月の持つ幽玄な美に魅了されてしまう。
神話の世界では、月を女神として語るものが多いらしい。
だが、日本神話やメソポタミア神話では男の神だ。
私個人はどちらも好きである。
月の魅力はそれぞれの性別の魅力を内包しているのかもしれない。
月明りが照る夜はいい。
こういう時はドビュッシーの「月の光」を聞きながら浸るのがよい。