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【読書感想文】君は日本列島に恋をすることができるか(小松左京『日本沈没』)

Audible。

長かった。上下巻全部聴くのに一ヶ月以上かかった。

文体もスタイルも思想も好みではないけれど、労力と筆力と熱量にとにかく圧倒される。

SFというよりも、災害小説、経済小説、政治小説、冒険小説であって、全体小説の風格がある。もちろんエロスとバイオレンスもあって、エンタメに必要なものはすべて含まれている。

映像が安価になった今、小説でこれほどスケールの大きなスペクタクルな群像劇は、もう書かれることはないのではないかと思う。趣味ででもなければ、採算が合わないと思う。

ウィキペディアの記事みたいなことを登場人物が延々としゃべるのには閉口してしまったが、ウィキペディアがなかったころに読んでいたら、きっと勉強になるなあ、と思っただろう。

あと、清張の小説にも感じたことだが、若者文化や資本主義社会への無理解と嫌悪感があって(銀座のホステスを「豺狼の胃」と評したり)、大地震を天罰みたいに描いているのはなじめなかった。

とても本では読めなかっただろうと思うけど、ひと通り聴けて良かった。歴史に残る大作の一つであるのは間違いない。


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