1st Album 「然れど、季節は巡るのだ。」 ライナーノーツ
こんにちは。沙城さしです。ざっくり言うとロックっぽい曲書いてるボカロPです。使用キャラはIA。
先日、同人即売会「VOC@LOiD M@STER 56」で頒布した1st Albumが、今日配信リリースしました。(↓Tune Coreリンク)
で、実は今日(8/17)実は誕生日なんですよね。てなワケで(?)ライナーノーツもサービスしちゃう。※曲書いたときとテンション違うかもしれないですがご容赦ください。
気に入ったら・応援したくなったら買ってください。
BOOTH(CD・ダウンロード販売。CDにはDL用QRコード付き。)
Bandcamp(ダウンロードのみ。)
アルバムについて(前編)
このアルバムには「季節」に基づいて作った曲が収録されています。除いたものは少ないので実質フルアルバムです。また、コンセプト上2枚に分かれており、巡る季節の順番で曲を入れたDisc1(10曲)と、夏の歌が3曲入ったDisc2(-夏 Another-)という構成で、計13曲(同じ曲のバージョン違いを除くと12曲)が収録されています。構成の意図などについては後編で触れます。
1-1 誇れずとも花は咲き、
春曲です。咲く花にすら卑屈になってるけど、まあなんとかやっていき、みたいな内容です。シューゲイザー(ジャンル)にするつもりだったんですが、なんか浮遊感出ませんでしたね…。まあこれはこれで味。あとしんみり感がありつつギターソロがデカくて良い。
1-2 忍ぶ現、萌黄風
芽吹き~新緑の季節の曲です。これも主張は誇れず~に近い。ちょっと卑屈成分強いけどテンポ244のドカバキビートの軽快さで補っています。ギターソロはコレだけコーラスってエフェクター(なんか音がシュワシュワするやつ)かけてます。
1-3 朝、降る雨と暮らし。
雨(梅雨)曲です。文字通り生活の一コマ。雨の日だいたい体調良くないし、雨に関する思い出も幻想も無い、生活くらいしかやることないよな…と悩んでたらポロっと出てきました。雨曲で悲痛な感じのテーマにするのって、ちょっとカッコいいよね…。音の話をすると、基本的に2つのコードを鳴らすだけの、3ピース構成(GtVo,Ba,Dr)の超絶シンプルな曲です。ギターソロも、だいたい音がデカくなるだけの2コード。
1-4 六畳半、君の夢
夏曲(1)です。つっても「暑苦しい青」しか夏っぽい描写はないです。それも回想パートなので本編時空の季節は分からん。内容は記憶の少女と今の生活の話。ちなみに、一番最初に完成させたフル尺の曲を掘り起こしてアレンジしなおしたモノです。拙い部分は多いけどテーマが気に入ってたので起用しました。
1-5 焦燥、唯灼ける様に。
夏曲(2)です。コレも実は直接「夏」って単語を使ってないです。まあ「焦燥」って夏の季語だし。僕の音楽観、ひいてはオルタナ観全開の曲です。だけど、ギターソロはサクッと終わってちょっとソロ感薄め。その分全体的にうるさめ。
1-6 残夏、茜風
夏曲(3)です。2022秋のボカコレに出したモノを録音しなおしました。演奏技術が多少追いついたので打ち込みだった部分を大幅に置き換え、めちゃくちゃバンドっぽくなったんじゃないかなと思います。夏の暮れで、思い出に浸る現在の歌です。こういうテーマ好きすぎてなんぼでも書いちゃう。歌詞は全体の中でもしんみり寄りですが、それ以外がアチアチです。イントロアウトロとギターソロがカッコいい。
1-7 秋空、流るる雲に。
秋曲(昼間)です。郷愁の歌。というかそれ以外に歌詞が無い。無色透名祭に出してました。コレもシューゲイザー意識でリバーブ(お風呂場の残響みたいなアレ)つよめで作ってます。でもなんか演奏自体はカッコつけてて浮遊感薄めかも。ギターソロは、いつも使ってるファズってエフェクターを他人に貸してたので手元になく、仕方ないので持ってるエフェクター全部オンにしてツマミ全開にして録音しました。
1-8 夜長、揺蕩う月
秋曲(夜)です。これも郷愁の歌。郷愁は秋の季語。だけど実際戻れるかっていうとそうでもないなって思う皆さんは仲間。これだけ音作りが特殊です。(オタク用語エリア:モノラル、マスターにオレンジのアンシミュ)ギターソロ以外は3ピース構成のドリームポップ意識の曲です。ギターソロも珍しくファズを掛けずしんみりめ。
1-9 雪夜、窓辺にて。
冬曲(1)です。めっちゃゆっくり。寒いけどあったかい曲。「雪が降って餞」という一節が気に入っています。曲自体はしんみりだけどギターソロは冬場の憂鬱の強さになっています。
1-10 白む日々、缶珈琲
冬曲(2)です。一番人気。大事にしてもらえて嬉しいです。ミドルテンポで16ビートの、生活と諦念とかの歌です。ドラムのリズミカルさで苦みがマイルドになってるかも。これも再録版です。ギターソロはやっぱファズやね。
2-1 六畳半、君の夢(feat.雨花)
以後季節を省略(夏しかないので)。
別アレンジverです。長めの付き合いのある友人の雨花くんに曲単品のマスタリングまでやってもらいました。ギターの音が歯切れ良くていい。ちなみに雨花くんの曲で絵と動画をやった作品もあります。変拍子だったので苦戦しつつ、ボカコレに間に合うように爆速で仕上げたのは思い出ですね。
2-2 ナツカゼメモリー改メ
でたわね。夏が舞台の、邂逅と記憶をめぐる歌です。今まであんまりストーリー仕掛けの作詞に挑戦してこなかったのですが、春に「MAZEMAZE」ってコンピに参加させてもらって、その時にちょっとやってみたら楽しかったので、ギアをあげたら「事件」を起こしてしまいましたね…。自信作です。ボカロというかIA夏曲史に残ってほしい。
2-3 ヒグラシ
大トリ。夏の暮れの少年少女のほっこりソングです。でも評判的には「切ない」っぽい。冒頭の歌とコードギターだけの部分は高校のまだボカロ投稿する前の時に原案を作ってたりします。なので、そのニュアンスを崩さないように慎重に続きを作りました。言われてみれば(言われていない)、これも曲中で時間が進行するストーリー的な作詞ですね。結局はこういう純なモノへの憧れが根底にあるのかもしれない。人生のエンドロールこれがいいです。ギターソロは「(葛藤の中、過行く時間_。)」みたいなテロップが表示されそうなセリフじゃないセリフ的なつもりで作った覚えがあります。チョーキング(弦を引っ張って音程上げるヤツ)から始まるシブめで熱めの感じ。こういうのでいい。っていうかソロに限らず全部いい。ホントいいよな…。
という感じで、曲については終わりです。
アルバムについて(後編)
曲について一通り触れたので、アルバムの曲順とかそういう話題に触れていきます。
自分の曲に季節にまつわるものが多く、夏曲も多かったというのがコンセプトを決めた発端です。実は最初はそんなアルバムを通した表現とか考えてなかった(コッソリ)。でも、曲を順番に聴いた時の曲調や主張の緩急が思たよりちゃんとアルバムっぽくなっててニッコリ。第一部の締めは絶対缶珈琲だったし、アルバムの最後は絶対にヒグラシだった。コレは前々から考えてました。
あと、僕が普段からそういうことばっか考えてるので、季節ってテーマと別に、「遣る瀬無いけど、生きていくしかないよなぁ」みたいな、諦めなのか悲哀なのか破滅への抗いなのか希望なのか、みたいな空気がフワッとアルバム通してあるような気がしなくもないです。ちなみに僕はそういう空気感のロックが大好きです。
ルーツとしては、ボカロだとOrangestarさん(薄め)、n-bunaさん、石風呂さん、ヘルニアさん、螟上?邨ゅo繧(なつのおわり)さんなど。バンドだとハヌマーン(今ホットだネ…;;)、NUMBER GIRL、時速36㎞など。総合すると、後ろ向きなようなその中で希望を探すような、ギターがデカい感じです。
タイトルは、末尾に句読点付きのやつとそうでないやつが交互になっています。特に意味はないです。途中までそうなってたから、どうせなら貫くか…って感じ。見栄えいいし。
ここからは、個人的な解釈の話をします。僕は皆さんに自分の感想を大事にして欲しいというスタンスなので、話半分で聴いてください。
春エリアはライブ序盤だったし、後半落ち着いてきた後で最後に缶珈琲もライブだった。最高。夏エリア(六畳半~)は春エリアからバチっと切り替わってて夏の急襲っぽくてよかった。あと、Disc2、アンコールっぽくて良くないですか?僕は自分の曲が大好きなので、こういうことをいっぱい言います。
で、これはこじつけなんですが(前置きを重ねる)、ある1曲の存在で、四季の順番とは別にストーリー組めるなって思ったんですよね。なんでこじつけかというと、僕は別にそんなこと考えてなかったからです。マジで繋げる気なかったのに繋がっちゃったの。
その曲、ナツカゼメモリー改メっていうんですけどね。
この曲を境目に、現在の一人称エリア(未来)と過去回想エリアに分けることが出来る……かもしれない。まあ順番はご想像にお任せします。
マジで、あくまでこじつけです。なんでこの人自分の曲にこじつけ解釈してるんだ…?と思うかもしれません、僕も思ってますが思いついちゃったから仕方ないでしょ!
…こじつけにしては綺麗だから最初っから考えてたことにならんかなぁ。
構成とかを語ったのでここからは制作裏話的な話です。
元からアルバムは作る気でいましたが、ボーマス56の募集タイミングで都合よくあと2,3曲(それもすでに手を付けてたのがほとんど)だったので、エイヤッと思い応募しました。ボーマスは思ったより捌けて驚きました。本当にありがとうございました!通販もぼちぼち売れてて嬉しい!
で、ちょっと暗めの話。
私事なのですが(全部そうかもしれない)、人生に所都合があって大学ないしは専門のポジションをリタイアしておりまして、しばらく(3年くらい?)打ち込むことが音楽かTwitterかしかないような生活をしておりました。今もそう。マネはお勧めしません…。まぁ、そういうワケでその時々で全力投球で作って、すごく体重の乗ったというか、そんなことしてる場合じゃないモノに本気になって作ったモノが自然とアルバムに集まっています。乗せる体重は50㎏しかないけど。そんな話はしていない。
いわば卒業制作の代わりみたいなね。再現性の無い熱量を込めた制作物なので、またコレをやりたくはないですが、なんか感じるものがあったなら嬉しい限りです。
感想はいつでも待ってます!一言でいいから!(下心)
その他告知
アルバム配信&販売中(言ったヤツ)に加えて宣伝があるのでいくつか。
①投稿祭を企画しています!
※Discordサーバーのリンクが失効してるかもですがリプライ欄に新しいものを貼っています
大手投稿祭が中止になったので、行き場のない何かしらを製作期間ちょっと設けてぶつけよう!の会です。急ですが、もしタイミング合えばお気軽にご参加ください!
②↑に向けアニメーションmvを鋭意制作中!!
がんばってます。死ぬほど進まない。なんで始めたんだろ…。でも思いついちゃったからには実現したいのが創作人というもの。頑張ります。ちなみにこのアルバムからニコニコ未公開のものを1曲出します。なんだろ~ね、お楽しみに!
ちなみに、さっきも名前を出した螟上?邨ゅo繧さんと、アニメーターの長江春芳さんのコラボ作「轟音、それは青空のように。」という楽曲のmvに影響を受けてアニメーションを描くことを思い立ちました。
↑マジで良い。
「自分もコレやりたい!」と思い2年弱くらい(動画の投稿は2022/10/08)。ちなみにアニメーション練習は今年5月から、制作に手を付けたのは6月からです。ちょっと着手が遅かったやね。まあタイミングってありますよね。
というワケで告知終わり。
終わりに
長々と書きましたがお付き合いくださりありがとうございました。今後何をしていくか、どういう活動をしていくかちょっと迷ってるところではありますが、音楽やそれ以外で(漫画とかも手ぇつけたい)やりたいことはあるので、温かく見守っていただければ幸いです。
また、活動を始めて時間があまり経っていないにもかかわらず、音源をお手に取ってくださったり、サブスクや動画サイトで視聴していただけており、とてもありがたいことだと思っています。本当にありがとうございます。
まだ幼稚さの残るままで年を重ねてしまいましたが、今後ともよろしくお願いいたします。