見出し画像

実践編 Dwevoでいろいろやってみよう! (前編)

はじめに

この記事は前回の記事で新たに発見した3種も含めた29(+1)種のDwevo(期待値が1のサイコロ)を、自分がDwevoに触れるきっかけとなった記事でもやっているように、Dwevoでなにかゲームやパズル等が出来ないかを考える記事だ。しかし、割と長くなってしまったので今回はゲームに絞った前編とさせて頂く。

Dwevoとはなんぞや、とか新種ってどういうことだ、って思ったら上2つの珍ぬさんが初めてDwevoについて書いた記事と自分が書いた前回の記事を見て頂きたい。

ちなみに、珍ぬさんは私の新種発見を受けて、元記事の修正をすぐに行って頂き、さらに新たに記事を執筆予定している。本当に素早い対応をありがとうございました。

そして、現時点でのDwevoの全29(+1)種のリストをここにも載せておく。

上2つは最初にDwevoを考案した珍ぬさんの記事から拝借した。最後は前回の記事で自分で作成したのを持ってきた。アルファベットに引っ張られ過ぎてドイツ語アルファベットの追加文字から名付けたのだがだんだん顔に見えてくる……
ちなみにÄは「アーウムラウト」、Öは「オーウムラウト」、Üは「ウーウムラウト」、ßは「エスツェット」と読むらしい。

ちなみにßと名付けられたサイコロは全ての面が0の特別なサイコロであり、Dwevoの一種ではない
期待値が0なのでDwevz(Dice with expected value ZERO)の1種と呼ぶべきだろう。(そんな難しい言い方しなくても「全ての面が0のサイコロ」で充分である)
ちなみに「負の数が含まれない」という条件では期待値0のサイコロはこの1つしかない。最初にDwevoについて書かれた珍ぬさんの記事でもDwevoを用いたパズルでしか用いられておらず、ゲームで扱うにはタロットのエクスキューズ(番号が0の「愚者」のこと)のような特別な扱いが必要だろう。今回考案したゲームでは残念ながらそのサイコロは使われない。

タロットは占い用のイメージが強いが、実は元々ゲーム用(特にトリックテイキングゲーム向け)に、トランプのカード構成を「強化」して作られたのだ。そんなわけでタロットを用いたゲームがいくつかあるが、度々「エクスキューズ」は(古いゲームで特に)変わった扱いを受けている。どのように変わった扱いを受けているのかは、その例としてデンマーク・タロットのルールを見て欲しい。

全Dwevoセットの中でそれぞれの目がいくつずつあるのかも数えておこう。ちなみに面の数の合計は6*29=174面だ。

0の目……79面(約45.4%)
1の目……48面(約27.6%)
2の目……27面(約15.5%)
3の目……12面(約6.9%)
4の目……5面(約2.9%)
5の目……2面(約1.1%)
6の目……1面(約0.6%)

隣に割合を百分率で書いておいたが、その値は「ランダムに全てのDwevoから1つ選んでサイコロを振る時、(ランダムに選ぶ前の段階で)それぞれの目が出る確率」に等しい。

Dwevoでダイスゲーム!

とりあえず、ßを含まないDwevo全29種を「Dwevoセット」と呼ぶことにする。何回もサイコロを振るようなゲームを作るには、基本的にDwevoセットは袋に全て入れておき、サイコロを振る動作を行うためには「袋から取り出し、サイコロを振り、出た目に応じて記録・処理を行い、袋に戻す」までが1セットとなりそうだ。(袋に戻さないと袋内のサイコロがいずれ尽きてしまう)

ただし、袋に戻すタイミングはルールによって異なってくるだろう。サイコロを複数個振る可能性がある場合、一個一個振っては戻すのか、複数個一気に、あるいは一回振って、また取り出して振って、では袋の中身が異なってくる。

袋から取り出す時のランダマイザが気になるなら30面ダイス等でサイコロを指定するのも良いだろう。(手間はものすごいかかる)
ただし、袋に戻すことに拘らなくても、例えば2人用ゲームでサイコロを何らかの方法で取り合い、サイコロや出目の数などを競うなど、袋に戻さない、そもそも袋を使わなさそうなゲームも考えられる。

それらを踏まえて、早速Dwevoでゲームを作ってみよう。

ゲーム① 0が出たらバースト!

最初の「袋」を使うゲームの一例として「簡単なバースト系ゲーム」を考えてみる。

必要なもの:Dwevoセット、袋、メモ等得点を記録できるもの
人数:2〜無制限(理論上)
ルール:
①Dwevoセットを全て袋に入れ、勝利点となる点数をあらかじめ決めておく。(30点くらい)
②各プレイヤーは順番を決め、その順番で手番を行う。
③手番を行うプレイヤーは、まず袋からサイコロをランダムに1つ取り出し、それを振る。
出目が0であれば、バーストして無得点となり、手番は強制終了。
出目が1以上であれば、その出目の分だけ得点となり、さらに袋からサイコロを取り出してもう1個振るか、サイコロをこれ以上振らずにその得点を保存し、手番を終えるかを選べる。
④もう1個振ってバーストしてしまった場合、それまで獲得した点数も含めて無得点となってしまう。バーストしてもこれまでに保存した点数はそのまま維持される。
⑤手番を終える時は必ず振ったサイコロを袋に戻す。
⑥バーストしない限りサイコロはいくつ振ってもいいが、29個全て振ってバーストしなかった場合は得点を保存して手番を終える。(滅多に起こらないが)
⑦保存した点数の合計が勝利点を超えたプレイヤーの勝利!

とりあえずざっと草案を書いてみた。

さて、このゲームはDwevoを使用しているが、ゲーム内でのサイコロの期待値がもはや1では無くなってしまっている。0の面が出てしまうと0点どころか、手番で獲得したこれまでの得点も消えてしまうのでむしろマイナスなのである。さらに、冒頭で数えた出目の数を見てみると、その0の面が一番多いのだ。かろうじて半分よりは少ないが、それでも45.7%もある。すぐにボツにするのはもったいないが、このままこのゲームを仕上げるならバーストに何らかの救済措置が必要だろう。

すぐに思いつく救済措置
1.サイコロを複数個振り、全て0の目のときバーストとする。
2.最初に0の目が出てもバーストしないが、2回目(あるいはそれ以降)の0の目でバーストする。
2'.連続で2回(あるいはそれ以上)0の目が出るとバーストする。

1.の方法ではDwevoが29種と素数なので、余ってしまうサイコロが必ず出てしまう。(流石に29個全て同時に振る訳にはいかない)
余ったサイコロに特別な処理を加えれば良いが、個人的にスッキリしないので別の方法で考えてみることにした。
2.の方法では、手番始まってすぐは安全にサイコロを振れるが、その中でも0の目を出さないようにしないと安全に振れる期間が延びない。恐らくほとんどのプレイヤーは安全にサイコロを振れる期間が終わると得点を保存して手番を終えてしまい、ワンパターンな戦略になってしまうだろう。(状況とその人の性格によっては「挑戦」を行う者も居るには居るだろうが……)
2'.のルールでは、2.の亜種のように見えるが、例えば2連続でバーストというルールだと1回0の目が出ても次で出さなければセーフだが、当然次でも0の目が出るとバーストという20mシャトルランのような緊張感が生まれる。

危険を冒して0の目を出さなければさらにサイコロを安全に振れるし、得点も入る。しかし、0の目が出てしまうとこれまでの得点が無くなる。さて、サイコロを振るべきか……

このルールで先ほどのゲームを書き換えてみよう。

必要なもの:Dwevoセット、袋、メモ等得点を記録できるもの
人数:2〜無制限(理論上)
ルール(改):
①Dwevoセットを全て袋に入れ、勝利点となる点数をあらかじめ決めておく。(50点くらい)
②各プレイヤーは順番を決め、その順番で手番を行う。
③手番を行うプレイヤーは、まず袋からサイコロをランダムに1つ取り出し、それを振る。
出目が1以上であれば、その出目の合計の分だけ得点となり、さらに袋からサイコロを取り出してもう1つ振る(③の最初に戻る)。
出目が0であった場合は④に移る。
④出目0が出た場合、次にサイコロを振り、更なる得点を狙うこれまでの得点を保存するかを選ぶ。得点を保存する場合、手番を終える。
さらにサイコロを振る場合、その出目が1以上なら③の出目が1以上の場合と同様に得点を加え、③へ戻る。
再び出目が0であった場合はバーストとなり、手番で獲得した点数を全て失い、手番は強制終了となる。以前の手番で保存した点数は失われない。
⑤手番を終える時は必ず振ったサイコロを袋に戻す。
⑥バーストしない限りサイコロはいくつ振ってもいいが、29個全て振ってバーストしなかった場合は得点を保存して手番を終え、全てのサイコロを袋に戻す。(滅多に起こらないが)
⑦保存した点数の合計が勝利点を超えたプレイヤーの勝利!

さて、あなたはこのゲームを他の3人とプレイしているとしよう。あなたは現在3位で勝利点まであと10点。あなたの次の順番であるトップはあと5点。

とりあえずサイコロを振ると1,2,0,1,0。かなり好調だ。さて、あなたは次のサイコロを振りますか?

自分が振ってみたら0が4面あるサイコロを引いてバーストしてしまった。止めておけば良かった……

そろそろこのゲームに名前を付けよう。

Dwevo Double Null Burst(ドゥエボ ダブルナルバースト)。
ゼロ2回でバーストするからダブルナルバースト、完全に語感だけで選んだ。

nullを「ヌル」って読みたい派の方は「ダブルヌルバースト」って読んでもよい。

略称はDNB、Dwevoも含めるとDDNBか。かっこいい名前をしているが中身はだらだらサイコロ振って出目に遊ばれるゲームだ……

DDNBの細かいブラッシュアップや分析はまた後で……あるいは誰かがやってくれるかも?(勝手にどんどんやっていいぞ!)

それでは次のゲームを作ってみよう。

ゲーム② Dwevoをオークション!

こちらは「サイコロを袋に戻さない」ゲームの例として挙げた「2人でサイコロを取り合う」ゲームを考えてみる。

そもそもどうして「2人でサイコロを取り合う」ゲームを作ろうと思ったのかというと、Dwevoセットが29種と奇数なので、余らせることなく2人で分けると必ず数の差が出ることを利用して勝敗を決めようとしたからだ。

……うーん、難しい。とりあえず「競り」でサイコロを1つ1つ競りを行っていくという形でやってみよう。

必要なもの:Dwevoセット、袋、チップ約60枚
人数:2人
①Dwevoセット全て袋に入れ、チップを均等に2人に分ける。
②スタートプレイヤーを決め、スタートプレイヤーは袋からサイコロを1つ取り出す。
③取り出されたサイコロは直ちに「競り」にかけられる。「競り」では、まずスタートプレイヤーから「そのサイコロを獲得するのに消費していいチップの量」を提示する。次のプレイヤーは相手よりも多い(同じはダメ)消費していいチップ量」を提示するか、「競りから降りる」かを選択しないといけない。
④相手が「競りから降りる」を選択するか、相手の所持チップ以上の「消費していいチップ量」を提示すると提示していたチップの量を消費してサイコロを獲得しなければならない。(相手がこれ以上上乗せできないため)
⑤サイコロが獲得されたらスタートプレイヤーを交代して②へ戻り、袋の中のサイコロが無くなるまで繰り返す。
⑥スタートプレイヤーが提示する最初の「チップの量」は0でも良い。その場合、自動的に相手がチップ消費無しでサイコロを獲得することとなる。
⑦自分のチップが無くなってしまった場合、残りのサイコロは全て相手プレイヤーが獲得することとなる。
⑧全てのサイコロの獲得者が確定したら、「決戦」を行う。「決戦」では、互いに獲得したサイコロを全て振り、出目の合計が多いプレイヤーを最終的な勝利者とする。出目の合計が同じ場合、獲得したサイコロの数が多いプレイヤーを勝利者とする。

サイコロの期待値は全て1なのに、相手の消費チップを増やして予算切れからのサイコロ総獲得を狙うためにあえてチップの提示量を増やしてみたり、そこで降りられて自分が高額でサイコロを買わされたりするかもしれない恐ろしいゲームが出来上がってしまった。
結局そこを読んで「1〜2枚程度の買い取り」で済んでしまうことが多くなりそうだが。しかし、降り続けてはいつまで経ってもサイコロを獲得できず、不利になってしまう。さて、温存したチップはいつ使えばいいのか?
そもそものチップの枚数を変えてもゲーム性が違ってくるだろう。

とりあえずルールの草案を書いてみた。細かいルール調整は必要そうだが、とりあえず一旦置いておく。
名前は Dwevo Duel Auctions(デュエボ デュエルオークションズ)。略称はDDAか。
おや、2つのゲームの略称の最初の2文字が両方「DD」だぞ。

おわりに

というわけでDwevoでダイスゲームを2つ考えてみた。もしその2つのゲームのルールの不備、問題点、改善・改良案等色々あれば自分に送って頂きたい。

一旦前編はここで終わりとさせて頂くが、実はまだゲーム編は終わっていない。次回 「実践編 Dwevoでいろいろやってみよう! (中編)」でまた新しいゲームを作ってみる予定だ。パズル編はもう暫く待って頂きたい。
そして……

みんなもDwevo作ろう!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?