ダイナジョーカー (Family#1-t)
血統
1983 Dyna Joker
父 1969 Hard to Beat ⁃ IRE
父父 1962 Hardicanute ⁃ GB
父母 1962 Virtuous ⁃ GB
母 1966 Royal Sash ⁃ GB
母父 1951 Princely Gift ⁃ GB
母母 1957 Sash of Honour ⁃ GB
Nearco 4×4
Blandford 5×5
父 Hard to Beat ⁃ IRE
Hard to Beat[ハードツービート]は仏最優秀2歳牡馬に輝いたのち、樫山純三氏の所有馬としてジョッケクルブ賞(仏ダービー)を制した愛国産フランス馬。祖父・父と三代続けて種牡馬として来日した父系を持ちます。
父父 Hard Ridden[ハードリドン]は、アイリッシュ2000ギニーとエプソムダービーを連勝、日本でロングエースやリニアクインを輩出するなどクラシックでの強さを持っていました。
四代父 Ardan は大レースをいくつも勝った名馬でジョッケクルブ賞だけでなく凱旋門賞も勝利しています。その母 Adargatis は La Troienne の半妹という良血の牝系。にもかかわらず種牡馬としてはあまり成功せず、Hard Ridden 以外の後継はほとんど勢力を保てませんでした。
血統表では五代アウトの Hard to Beat ですが、祖父母やそのひとつ先では相似型が多く、本馬の代でお互いに関連性が生まれています。
Blandford 4×6・7
Plucky Liege 5×6
Son-in-Law 7・7×6・6
などなど。
母母 Rose of India
母系で気になるのは Rose of India です。
なんといっても直牝系と父父 Tehran による Mirawala のファミリークロス4×5。Stafaralla は Sind の全妹で、母 Miranda は名牝 Pretty Polly の全妹。Hard to Beat は Admiration 牝系の種牡馬ということになります。
彼女の血統表は〈Solario / Blandford / Mirawala〉を共通項とした《Tulyar ≒ China Maiden》と Grand Duchess 牝系の Gold Bridge で構成され、史上最高賞金を獲得した超名馬を迎えるにあたってこれ以上はないと言えるような Eastern Grandeur の血統に牝系が持つ底力を感じます。* Rose of India の半姉にあたる Star of India はアドマイヤコジーンの五代母です。
加えて Tulyar は Plucky Liege だけでなく、Hardicanute の母母である Hay Fell が5×4のファミリークロスで持っている牝祖 Molly Morgan を自身の牝系かつ名繁殖牝馬の Athasi から引いており、母母父に入った Hard to Beat の段階でも全く存在感を失いません。
Hard to Beat × Royal Sash
Royal Sash と組み合わせた血統をみていくと、Hard to Beat の母父 Above Suspicion と Sylko の関係性が目に止まります。Straight Deal が潜んでいるので Salecraft と絡み、父系は Fairway ですからいつもの。
牝系を含むニアリークロスを軸にしつつも全体的には《Pharos = Fairway》兄弟が全方向包囲しているわけですが、一方で Swynford も豊富にあるというか Blandford ましましになっております。
Blenheim 5×7
Blandford 5*7・8×6・5
Swynford 6・7*8・9×7・6*7
そうですね、はい Canterbury Pilgrim です。
結局定番の流れになってしまった……としても Hard to Beat の牝系を思えば Dictus 的な立ち位置を感じるところもあり、せっかく Royal Sash を組み合わせたのですから Northern Taste とも出会って欲しかったなあ。
Dyna Joker (1983)
早来 社台フアーム
社台レースホース
栗東 須貝彦三
とっくにクラシック戦線が始まっている3歳5月、阪神芝2000未勝利戦でデビューしたダイナジョーカーは大敗。しかし中京芝1800の二戦目では0.4秒差の2着と健闘します。勝利した馬は断然一番人気なので相手が悪かった。ちなみにこのレースでの鞍上は所属厩舎調教師の息子さんである須貝尚介「騎手」で負担重量「52」kg 。
ここで登録が抹消されてしまっているため、この話には続きがありません。遅い立ち上がりで機会が少なくなるのは仕方なしですが見どころが全くなかった感じでもないので……少し残念な結果に終わってしまいました。翌年に産まれるはずだった全弟妹が流産だったことも無念でなりません。
ダイナジョーカーは Royal Sash 最後の仔、この世代の物語もここまでとなります。寄り道を重ねながら次世代への入り口までやってまいりました。