ダイナホツト (Family#1-t)
血統
1982 Dyna Hot
父 1967 Dictus ⁃ FR
父父 1960 Sanctus ⁃ FR
父母 1960 Doronic ⁃ FR
母 1966 Royal Sash ⁃ GB
母父 1951 Princely Gift ⁃ GB
母母 1957 Sash of Honour ⁃ GB
Nearco 4*4
Pharos = Fairway 5×5・5*5
父 Dictus ⁃ FR
牝系関連馬が高確率で脈々と受け継いでしまうディクタスアイの創造主としてお馴染み Dictus[デイクタス]。
血統背景から中距離以上のレースばかり出走していた時期は実力を垣間見せながらもなかなかうまくいかず、マイル戦のエヴリ賞に出走したらコースレコードを記録。ジャックルマロワ賞を差し切って勝利しました。
父 Sanctus はジョッケクルブ賞(仏ダービー)やパリ大賞典などで中長距離適性を証明していますが、父父 Fine Top や三代父 Fine Art を振り返ると短い距離で結果を残しており、 Gainsborough 傍系でスタミナを受け継いではいるのに我慢が利かず、極端な競馬をしてみたら強かった系の特徴は数世代前から発現していた気配がします。
Sanctus はわりと父母相似型。もちろん大人しい気性ではなかったようですがクロスした先祖のスタミナをきちんと示しました。
Blenheim 4×4
Gainsborough 4×5
Bruleur 5×5
Teddy 5×5*5
中長距離血統と気難しさでいえば母系も黙っていません。
母父 Worden は2400m戦で強さをみせ、その父 Wild Risk に至っては5000mを超える障害レースで勝利。St.Simon ~ Rabelais の流れからこちらも仏アウトサイダー血脈、持ち味は豪脚ストライド。子孫や彼のクロス持ちが気性面の問題を表面化させやすいことはよく知られています。
母 Doronic は4戦3勝3着1回と戦績に崩れのない中距離重賞馬で、五代クロスはこんな感じでこちらも相似血脈が出てきます。
Blandford 4×5
Teddy 4×5
Phalaris 4×5
母と父の五代クロスが Dictus で組み合わさると
Blenheim 5*5×5
その父 Blandford 6*6×5*6
Gainsborough 5*6×6
Teddy 6*6・6×5*6
Ksar 5×6
ちょいと辿れば英仏の有力種牡馬大集合。
![画像5](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/61030941/picture_pc_7d4febf59ef56d1adec99ce1de8f2826.png?width=1200)
Rabelais = Simone
もう少し奥まで眺めてみて目に留まるのは《Rabelais = Simone》の全兄妹。父父 / 父母 / 母父 / 母母の全ラインに存在する〈St. Simon × Satirical〉は、五代母が Touchstone 全妹という良血。Satirical の半妹にはマヤノトップガンへと繋がる牝祖 Chaffinch もいたりします。
![画像5](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/61031462/picture_pc_a28faea8b199906f4a819b1502682cee.png?width=1200)
Rabelais は1905年から長期間に渡って多くの活躍馬を輩出し、フランスの種牡馬界に君臨しました。結果として Wild Risk や Ribot の父系ラインへと至り、Tourbillon さらには Nearco の母母父として鎮座することに成功。(つまり Royal Sash にも彼の血が受け継がれています)
ざっと調べただけでは情報がほとんど出てこない Finglas が種牡馬となった理由は「Rabelais の全妹 Simone を二代母に持つ仏産馬」だったからなのかもしれません。おかげで Simone の名は所謂 Fine Top 系産駒たちの血統内に刻まれ、 Dictus を筆頭として Sancy[サンシー]や Topyo[トピオ]など複数のラインで日本に浸透していきました。
* 別系統には Sash of Honour の項で触れた Charlottesville と Sheshoon 兄弟もいます 。(母 Noorani が Simone の曾孫)
彼の血統表は細かく見ていくときりがなくて、気が付くとどんどん遠くまで辿ってしまうので一旦休止。もうひとつの有名な全姉妹クロスについては次回までとっておくことにします。
現役引退後 1972年からフランスで種牡馬となった Dictusは、米最優秀芝馬 Fraise[フレイズ]の母で自身も米芝G1オークツリー招待ステークスを勝った Zalataia などを送り出したのち、遠く離れた日本の地で1980年代を過ごすことになります。
Dictus × Royal Sash
Dictus と Royal Sash の関係をざっくりと見ると、それぞれが持つクロスの Blenheim と Pharos = Fairway を一本だけ補完し合っている関係ですが、Mumtaz Mahal の存在によって Nasrullah の血脈が際立ってきます。
![画像5](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/61033880/picture_pc_802eed78e46c2df3b4f98d6cb8e31c2f.png?width=1200)
Royal Sash からすれば自身が3×3で抱えてしまった Nearco に触れることなく Mumtaz Mahal(The Tetrarch)のスピードを狙って掛け合わせていただける Mahmoud さまさまです。 母系の Dulzetta は Pharos と Blenheim 持ち、こちらも Nearco なしで Chaucer / Swynford の Canterbury Pilgrim 継続を担ってくれています。
好みに偏った領域としては Saint Astra のクロス。先代では静かにお茶を啜っておられた Prince Chevalier の五代母です。Dictus では名馬 Asterus の母母として寄り添い、ダイナホツトの奥底八代目に揃っておられるところがなんだかとてもほっこり素敵。
![画像5](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/61034247/picture_pc_6c1b53ce1675763e47b17854c7d41678.png?width=1200)
Dyna Hot (1982)
早来 社台フアーム
社台レースホース
美浦 松山康久
芝のマイル以下で5勝2着3回3着2回、26戦を走り切って引退レースは花道を飾り、条件馬ながら賞金5000万円以上を稼いでみせたダイナホツト。えらいぞなかなか優秀。ただよく見るとがっつり大敗しているレースも多くて、取り扱い難易度高めのちっちゃな娘だった気配がうっすら漂っております。
そんな彼女が牧場に帰ったあとはひとまず Northern Taste[ノーザンテースト]産駒ラッシュとなりました。初仔は1989年生まれ、サツカーボーイの現役時代が1987-1988年ですからそれはそう。牝馬に偏っていて産駒成績もぼちぼちでしたが、結果として後継繁殖を複数送り出すことになり、現在までラインが拡がったという意味では良かったのかもしれません。
Dictus と Sunday Silence
1993年には一度だけ Sunday Silence[サンデーサイレンス]産駒を授かっています。競走馬現役中に騙馬となってしまったホットブラッドです。やはり気性が……ということは痛いほど想像できます。が、もしもこの配合が何回か試されて次世代に繋がっていたとしたら面白いラインが構築されたかもしれないなあと思うのです。
Northern Taste を経由しない Dictus からの Sunday Silence 産駒には、マルカコマチをはじめとするナショナルフラッグの娘たちがいるからです。アメリカの母系が背景にあるので超欧系のダイナホツトと違う傾向ですが、母母父 Huntercombe[ハンターコム]は Pretty Polly 牝系出身かつ Royal Sash 牝系と関連性が深い血統となっています。
![画像5](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/61035775/picture_pc_7756f69e7cb24b519aa978ff67fbcb13.png?width=1200)
* Royal Sash には Huntercombe 産駒のアグネスハンタがいます。牝系の塊みたいな牡馬で思わずページを追加するなどしてしまいました。
ナショナルフラッグは億単位の賞金を稼いだインターフラッグとダイワジアンの Northern Taste 産駒兄弟も送り出しています。さすがの Pretty Polly 効果。ただ牝馬がいなかったこともあって、この組み合わせから後継は生まれませんでした。こちらも惜しい。
ついないものねだりをしたくなるのは両者ともに牝系が拡がっているから。ナショナルフラッグの子孫にはステイゴールド産駒種牡馬の仔もいます。まだお互いに少しサンデーサイレンスが近い世代。これから先も関係が生まれることを楽しみにしておきます。
Progeny
1989 白老 牡 栗毛 ホットショット
Hotshot by Northern Taste ⁃ CAN
JRA-14[3-2-1-8] 3631.3
1990 白老 牝 栗毛 ジュエルバンダム
Jewel Bandam by Northern Taste ⁃ CAN
JRA-12[3-0-3-6] 3223.2
1991 白老 牝 栗毛 ホットスポット
Hot Spot by Northern Taste ⁃ CAN
JRA-13[1-1-0-11] 665.0
1992 白老 牝 栗毛 ホットプレイ
Hot Play by Northern Taste ⁃ CAN
社台レースホース
JRA-8[0-0-1-7] 130.0
1993 白老 セ 栗毛 ホットブラッド
Hot Blood by Sunday Silence ⁃ USA
社台レースホース
JRA-14[1-0-0-13] NAR-6[0-0-0-6] 819.0
1994 白老 牝 栗毛 ハウリングサクセス
Howling Success by Northern Taste ⁃ CAN
社台レースホース
JRA-8[0-0-0-8] 50.0
1995 白老 牡 黒鹿 アッサンダンス
Ascendance by Real Shadai ⁃ USA
社台レースホース
JRA-1[0-0-0-1] 0.0
1997 門別 牝 栗毛 テーマトーク
Thema Talk by Jade Robbery ⁃ USA
NAR-6[2-0-0-4] 300.0
1998 門別 牡 栗毛 トップボンバー
Top Bomber by Afleet ⁃ CAN
JRA-2[0-0-0-2] NAR-17[5-1-0-11] 363.2
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