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日記 1月3日

1月3日

寝た時間 :24時半
今日起きた時間:7時半

今日は朝から息子(小2)を空手の稽古に連れて行かなくてはいけないのに、寝坊した。明後日から仕事始めだというのにこんなに毎日寝坊していて大丈夫なのかと心配になる。仕事が始まると早い日では5時半、遅くとも6時半には起きなくてはならない。冬休みに入ってからの生活を振り返ってみると、7時間位は本当は体は寝ておきたいのだとすると、22時とか23時とかに本当は寝なくてはならないのだろう。だけど、そうすると自分の時間なんて全くない状況になってしまうので(子供が22時に寝るので、それからが大人の自由時間だから)、困ったものだ。

昨晩眠りにつく真っ暗な寝室のなかで「新年のお参りいつ行く?」と妻から聞かれた。「今年は(僕が)厄年だから必ずお祓いしてもらわないと」と言われ、いつも通りでいいんでしょ、あれには厄払いも入っているよ、まあ厄年だから何か起きても仕方ないよな、骨折とかしても諦めよう、とか言っていたら、「いやいや、厄年ってその人だけじゃなくて家族に降り注ぐ災難なんだから」と言われ、結局僕は自分のことしか考えが至っていないと少しばかり反省する。それから少し眠れなくて、これからもしかしたらあと60年(100歳まで生きてしまうと考えて)も生きていくとなると、どうやって生きていくのだろうと改めて焦る。暇で退屈で、60年もあと何して生きるのだろう。子供があと20年位で巣立って、自分で好きに自分の時間が使えるようになったとして、僕は何にこれから熱中して、何に没頭して生きていくのか、もしくは何にも楽しみを見出せぬままに餅が伸びるように、細く粘り強く生きていってしまうのだろうか。そんなことを考えながらふと、思い切って実年齢÷2が今の年齢だと思えば良いのではないか、という考えに至った。つまり、今は40歳÷2なので20歳として。100歳まで生きると仮定しても、100÷2で50歳までの人生として考えれば、少しばかり気が楽になった。100歳のイメージが50歳に変われば不思議なことにやりたいこともやりたいことも思い浮かんでくる。ひたすらに歩いてみたり、何かを研究してみたり、子供が巣立ったあとには開いた部屋を思いっきり改造したりしてみたい。そんなことを思いながら昨日は就寝したように思う。ほんの少しばかり、生きるのが楽になった気がした。僕は割かし、比較的直ぐに悲観的に人生を見がちだ、小さな時から。

今、これは息子が空手の稽古をしている高校の駐車場で書いている(恐らく初稽古というもので、息子が空手を習っている先生の母校の高校の新年の練習に参加させてもらっているのだろうと思う)。9時から13時まで時間をつぶさなくてはならず、高校の近くを散歩したが特に時間を潰せるような場所がなく、偶然見つけたマクドナルドでゆっくり朝食を食べて、でも少しばかり混んできたら所在を無くし、再び駐車場に戻ってきて車の中でこれを書いている。なぜか僕の車の運転席の真横で女子高生5人が談笑をしていて、ドアを開けることもできない。それだけならばまだいいが窓の外を見ることもできない。あのおっさんこっちみてる!きもっ!とか思われるのだろうから。そういえば、僕は電車に座っていると妊婦の女性が僕の前に立つ割合が高い気がして、僕は渋々(特に朝の通勤時は)席を譲るんだが、妻になんで僕の前に妊婦さんが立つ割合が高いのだろうか、と聞いてみると(妻は3人の子供をこれまでお腹に宿した経験があるので、経験則として聞いてみた)、「多分背が低くて足も短いから、体が大きい人と比べて(僕の目の前の)スペースが広いせいではないか」と言っていた。僕は、その物理的な説明にとても感心したが、本当はもっと抽象的な理由(なんか席譲ってくれそうだからじゃない、とか、こどもが3人いるから何となく惹きつけられるんじゃない?犬って犬好きの人が和分かる、みたいな感じで、とか)を期待していたから、少し勝手に裏切られた気分にもなった。

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マクドナルドでは図書館で借りた滝口悠生の「やがて忘れる過程の途中」を読んでいた。もう殆ど小説を体が受け付けなくなっているなかで、毎日新聞の2021年の本を紹介する書評で、堀江敏幸が滝口悠生の「長い一日」を取り上げていて、堀江敏幸のことを勝手に「ホリエッティ」と呼んで敬愛している僕は(と言っても堀江敏幸の本を全て読んでいるわけでもないし、仮に目の前に堀江敏幸が歩いていたとしても堀江敏幸とは気が付かない。単純にアリエッティみたいに響きが良いからホリエッティと呼んでいるだけ)、そうか、ホリエッティが薦めるなら読むかあ、と図書館で滝口悠生で借りてきて、それから読み進めている。滝口悠生は、正直なところ、僕がやりたかったことをやっているような気がする。だらだらと、時間ではなく意識と記憶で文章を紡いでいくやり方。あーあー、いいなあ、こんなこと、したかったんだよなあと思う。もはや悔しいとも思わないし、妬んだりもしない。凄すぎて。

10代の頃には詩なんて殆ど読んだこともなかったけど、存在としてのかっこよさに憧れて詩人になろうと勝手に思ったけど、渋谷陽一郎のラジオで流れていたブライトアイズの「パーフェクトソネット」を聴いて激震が走り、後日原宿のHMVでCDを聴いて歌詞カードを見直してみて改めて衝撃を受けて、もう僕は詩人にはなれません、と思ったのだが、今回もその衝撃に近いものを滝口悠生から受けているものの、まあいつか僕も文章で月数千円程度でもお金が稼げるようになったらいいなあ、と文章を書くことは諦めない。マクドナルドで考えていたことは、結局僕はどうなりたいのかなあということで、単純に、少しでも自己表現したことで金銭が生み出せることかなあ、と思っていた。仕事はしつつも、仕事以外の時間で自己表現をして、ほんのちょびっとでいいから、お金を得る。それでいい。

息子が空手の稽古をしている高校のトイレには、「このトイレが吹奏楽部が掃除しているのできれいに使ってください」という張り紙があった。これを見て僕は判然としない気分になっていた。それは、①吹奏楽部ではない部活動が掃除していた場合ならば汚しても良いのだろうか、②なぜ吹奏楽部が掃除するのだろうか、という疑問が浮かんできたからだった。

①については、まあ何というかイチャモンみたいなもんだから別に良いのだ。個人的には卓球部だったらトイレ掃除の動きに近しい気もするので、まあまだいいかなあと勝手に思っていた。問題は②で、なぜ吹奏楽部が掃除するのだろうか。運動部と文化部でのヒエラルキーとか、運動部は手をケガしてはいけないからなのか、なんかこう、旧時代的なマッチョな匂いを勝手に感じてイやな気分になった。勿論、他の場所のトイレはサッカー部とかバスケ部が掃除しているのかもしれないけど。

その高校の空手部の子は、見学に来ていたすべての親に対し、「こんにちは!」と目を合わせて一人一人に言って、挨拶をしてから道場に入っていく。多分親の数は30人くらいいた。初めてきた僕(しかも僕の場合は、ただ全くの部外者で、息子を指導している先生から案内がきただけ)に対しても、「こんにちは!」なんて言ってきてくれるので、僕はどうしていいのか分からない。こんなやり取りが生徒の数分あったのだ。なんでこんな不合理なことするのだろう、「こんにちは」って大声で一言言って、少し頭を下げながら通るだけで十分じゃないかと思っていた。多分、日ごろから「人と会ったら目を見て挨拶をしてお辞儀すること」という指導を受けているのだろう、ただ僕はこれを礼儀正しいというよりも正直なところ気持ち悪いと思っていた。これってきっと「何となくそういうものだから」っていうことなんだろうな。昨日、息子は空手で厳しい指導を受けるとき、「そんな厳しこというけど、同じことをその人ができるのかなって疑問に思う」って言っていた。僕は、今は年をとってできないかもしれないけどかつてはできたと思うし、何より自分ができることと指導することっていうのは同じじゃないんだよ、と説明した。名プレーヤーが名監督になるわけでもない、とも伝えた。ただ、この息子の指摘って結構正しいと感じていて「何となくそういうものだから」という状態に入る前だと、色々と理不尽なことに気が付くのだろう。「何となくそういうものだから」という状態に入る前の子供は、とても自由なんだ。

昨日の夜、AMAZON MUSICで、サインマガジンの2021年ベスト50のなかから気になったものを試聴し、さらにそこから良かったものをダウンロードしてみた。ここから日常的に聴くようになる音楽があるのかは分からないけど。村上春樹が「村上T」で、音楽って真面目に新しいものをチェックしておかないと、出てくる音楽が全部聞こえてきてしまうから、マメにチェックすることが必要、と言っていて、これは僕も本当にそう思っている。最近の音楽は、トラップ寄りのヒップホップか、メロウなインディーソウルみたいにしか聞こえないし、何ならアフリカ系アメリカ人の音楽ばかり流行っている気がするし、ロックも何だか既視感があるメロディばかりな気がしてしまっている。実は本当はそうなのか、僕の感性が退化しているのかは分からない。多分後者なんだろうと思う。だから、一応頑張ってこの手の年間ベストを見て、気になったのを聴くようにはしている。ただ正直に言えば近年、自分に痛烈に届く、現在進行形の音楽は見つけずらくなってきている。昨年最も刺さったのは高井息吹の「きりん座」だったけど、これも結構前のものだし。

一番気に入ったのはpinkpantheressだった。TikTok向けに2分弱という尺の短いドラムンベース。消費されるっていうことを大前提としたキャッチ―さと短さで、それが今の時代、ということなのだろうと思った。


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