日記 1月11日(火)
1月11日(火)
昨晩寝た時間 24時半
今日起きた時間 6時
朝、目覚ましで起きる。スマートウォッチのタイマーと目覚まし時計のタイマーの時間を一緒にしていたので、目覚まし時計の音が部屋中に鳴り響いた。目覚まし時計の在りかがなかなかわからず、暗闇の中を手探りしても見つからず、終始10秒ほどのピコピコした音を奏で続け、二女が起きてしまい、それに連れて妻も起きてしまった。起こしてしまった。申し訳ない。
朝食はオレンジが練りこまれた食パンとサプリ。朝出すごみを両手に持って外に出ると、暗闇の中に雨が降っていた。マジで、と思わず独り言ちてしまう。いや、だって冬の早朝のゴミ出し時の雨は、ちょっと勘弁願いたい。
電車に乗り、東京駅に行く。今日は新幹線で出張。途中の乗り換えで、自分とは逆の進行方向に、目が見えない、白杖とサングラスの男性が立ち往生している様が見えたが、遅刻したくなかったので声がかけられず。自分は薄情だと思う。その後、東京駅では八重洲口?近辺の、東西線から新幹線口に向かうエスカレーター付近で、必ずいる浮浪者を見かける。僕の知る限り、この3,4か月はそこにいる。恐らくもっと前からそこにいるのではないか。放置しているのか、されているのか、移動してもらおうと誰かが頼んだが拒否されたのか、それとも会話が通じないのか。状況は不明だが、僕が何かを話しかけようとは申し訳ないけど思わない。やっぱり怖いから。昨晩妻が、「新年のお参りって遅くなればなるほど、何か悪いことが起きそうでいやだよね」というので、いや、それは勝手に因果を結びつけるだけで、何も影響なんてないと思うよ、と僕が言っても「それでも何かあったら、『あー、やっぱりお参り行くのが遅れたからだ』って思っちゃうでしょ」というので、まあ確かにそうだよな、とも思う。この東京駅にいる浮浪者が実は神様で、僕からの声掛けを待っているのだとしたら。いや、当然にそんなことは無いのだが、そういうことをやっぱりどこか頭の中で創り出してしまう。
その後、新幹線に乗り、滝口悠生「ジミ・ヘンドリックス・エクスペリエンス」を読む。読みながらスラヴェク・ヤスクウケの「夢の中へ」を聞いていると、寝ていた。この作品は途中に変なスクラッチ音が入っていて、そのとっかかりが逆に緊張感を無くす。冗長な音像のなかに、キリっと立体的なものを本の少しばかり打ち立てる。そのままこの音楽を聴いていると本を読めずに寝て、はっ寝てしまったって思いながら起きて、また寝て、という繰り返しを繰り返しそうだったので、clairoの「Sling」を聴きながらこの本を読むことにした。とても、奇妙に噛み合う。移動する車窓では雪が、雪山や雪畑が走りすぎていく。この時間軸とスピードと、その対比で動かない自分と奇妙な時間軸で動く「ジミ・ヘンドリックス・エクスペリエンス」が良いバランスになり、一気に本を読み終える。ベルクソンを思い出しながら読んでいた。時間は一つの方向に流れているのではない。やっぱり、思い出をつなぐことが生きることなのだろう。
そういえば、日曜日に関JAMで「2021年の年間10曲」というのをやっていて、毎年の恒例のこのプログラムは僕が大好きで、毎回録画して、気になったものを調べたりしながら見てきたので今回も見たのだが、ちょっと残念だった。この企画の良さは大衆音楽の視点から、プロが今日的な作品を照らし出すものだと思っていて、昨年ではテンパレイとかロットバルトバロンとか、音楽的には少し先鋭的かもしれないが大衆音楽として許容できる絶妙なラインでの選出があって、そこにこそ関ジャニ∞という演者がやる大衆性のある番組で紹介される意味や意義があると感じ、興奮していたが、今のところ今年の選出は音楽のプロが自分の好みで選んだ曲みたいになっていて、なんだかただ尖っているだけの選曲に見えてしまった。いしわたり淳二の選曲はバランス良く感じたけど、蔦屋好位置の選曲は敢えて尖っているように見えたし、Yaffleという人は始めから「関JAMというメジャー番組で流して面白いもの」というスタンスだった。ポップス、という感じではない曲がとても多かった。
昨日、関JAMにて幾つかの気になった曲をAMAZON MUSICで探し、ダウンロードして、移動中に聞いてみたけど、正直今のところ、僕にはあまり良くなかった。というか、かっこいい曲とか確かに幾つもあったけど、自分の心が灯されるというか、傍にいてほしい曲という感じではなくて、人生を共にするという感じではなかった。
多分、これは自分の小説の読み方や求めるものと一緒なんだと思うが、僕はそのまま自分がほっぽられるようなものを求めているのではないと思う。音楽や小説と自分がその場所にいて、そこから生まれる心地よいものやそれによってできる磁場に自分がいて、自分の見る世界が少しだけ変化し、変節が齎されるものを望んでいるのだと思う。ハレの日でもなければ異次元でもなく、別世界でもなく、地続きで、少しだけアップリフティングしてくれるものを欲している。そういう音楽ってなかなか出会えなくなってきているけど。
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