進撃の巨人のアニメ最終話を見たはなし。
エレン・イェーガーのめちゃくちゃなアイラブユー
私がこれから書く感想も考察もそれらすべてが持論にすぎないのでただの趣味のひとりごとなんですが、地ならしってエレンの同期に向けた最高のアイラブユーだったの盛り上がりに盛り上がった。私が。
そもそもエレンって粘着質でヤンデレ気質でその上被害妄想の激しい正義感の強い奴じゃないですか。(中傷が過ぎるけども。)でも脆くてそこがまた魅力的だなと感じます。
なんだかんだ弱音を吐く場所を見つけられなかったから不器用な自己犠牲で後に引けなくなってしまったのかなと。まぁでもそんな不器用粘着質ヤンデレ自分よがり主人公が最期に愛した人を瞳に映していたという揺るがない事実がこの作品をハッピーエンドだったって言いたいって思わせてくれるなと…。
そしてエレンのメチャクチャなアイラブユーの矛先は親愛だったり信愛だったり色々形を変えて同期に向けられていましたが唯一「心愛」という寵愛のような恋愛的な感情を向けられていたのがミカサだったわけですが、ここでめっちゃエレミカじゃん!について話していいですか?いいよ!
2000年苦しみ続けてひとりの男を愛してしまった始祖ユミルを救うのはミカサ、共感して味方につけたのはエレンっていう設定すごくエレミカじゃないですか?
まぁエレンは結局女々しいことに少なくとも10年(人の余生で考えれば長い)引きずっててほしいって吐露しちゃったわけですが。
でもこれってつまり始祖が苦しんだ愛の未亡人をミカサにしてほしいってことで、始祖に共感した奴の口から出ると思わない重たいセリフで最高でした。
ミカサがユミルを救えたならそれは愛した人を失う苦しみで共鳴するところがあったからだなって思う。
進撃の巨人って作品そのものがなんだか陰鬱な雰囲気を纏っているように見えるのに結局根幹がでっかい愛の話だったので愛を安売りしない作品の世界観がすごく好き。
諫山先生の描く情けない男がだいすきだ!!
ていうか記憶の中で会いに来てその記憶を遺書代わりにするなんて、なんて、女々しい男なのエレン・イェーガー!!
「俺が死んだらこのマフラーは捨ててくれ」
本当に女々しい男だよ。
「この先もお前は(ミカサ)長いんだからうんたらかんたら………………」
本当に女々しいですね。まぁ乙女の扱いも知らない(アニ曰く)エレンですから。
わたしは原作の最終回で諫山先生がジャンとミカサをくっつけた(というかまぁ示唆程度かもしれませんが)事を一時期すごく根に持っていたんです。というのも、エレンとエレンの愛したミカサとの最後の会話が、エレンが幼稚なあまりに非道な突き放し方をしてしまったせいで「大嫌い」になってしまったので、大嫌いと遺されたままくっつくこともなく誰かのものになるなんてあまりに可哀想だ!って少女漫画脳の私は当時高校生だったのですが憤慨したのを覚えています。同時にすごくショックを受けました。
でも今考えると諫山先生なりの最後までなかなか素直になれなかったエレンへのちょっとしたお仕置きみたいなものなのかも?と思います。
今まで愚直に生きてきたエレンは母親の反対も無視して調査兵団に入って、ジャンに噛み付いて喧嘩したり、四面楚歌な法廷で「いいから黙って俺に全部投資しろ!」とほざいてみたり、とにかくやりたい放題で本当に「愚直」がよく似合う突発的な行動の多いやつだなと。そんな思ってること全部言っちまおう!ってやつがミカサには奥手で。
好意に気づいていながら受け取るのに戸惑っていたようにも思えます。まぁ恋愛的な好意を向けるのも向けられるのもミカサが初めてだし最後まで初恋を引き摺る形でしたし、免疫がなくても無理はないけど、距離が近すぎた分、これがどんな形の愛なのか確かめ方を知らなかったのかもとも思うし、同時に愛し愛されることへの結末に恐れがあったのかもなとも。だからこそ最後、未来を共にできないけど忘れないでいてほしいって等身大のエレンの吐露した感情にもう感情論でどうにかできるような段階でないのにどうにかしてあげたくなってしまう「情けない男」の引力を感じた…訴求力がすごい…。
あぁーーミカサへの愛がこんなにもエレンの輪郭をありありと映し出すんだなって。あのシーンは本当に親友として相棒として仲間として戦線も冒険も夢も共にしたアルミンとじゃないとぶっちゃけられなかったんだろうなー!って友愛を感じます。
エレンが主人公で、ほんとうによかったー!!!
これは何度も言ってしまうことなんですが進撃の巨人の一番好きなところはエレンが主人公なところです。
エレン視点でなければエレンの頭がおかしくなっていくのはすぐわかったし、歯止めをかけることもできた。でもそれは視点の主がエレンの弱音の吐き場所になっていて、本質にある孤立を描くにはエレンじゃなきゃやっぱりダメなんだなと。
エレンは地ならしをしたり、同期を突き放して、幾千の人を殺してしまったりと正しい選択ばかりでは当然無かった。だけどそれを彼は最善だと思ってやっていたわけで。傍から見たら異端者だったし、きっとそんなおかしなやつはぐれ者だった。そうなってたらそいつを善意で救うよくある話でまとまってしまう。でもこの話は、傍から見たら異端者ってやつがホントは呆れるくらいまっすぐで正義感、責任感の強い青年でただ不運にもその肩に担ぐには大き過ぎた莫大な力を持ってしまいそれに伴う責任が乗っかり、運命に翻弄されることになった話なのでエレンを主人公に据えた時点で地ならしは完全悪でなくて、正義と正義のぶつかりあいを最後まで描くために必要な主人公だったと強く思う。