映画「カミハテ商店」感想ネタバレ注意⚠️
映画「カミハテ商店」をAmazonプライムで観ました👀 ちなみに2回目観た感想です。
主演は高橋恵子さん。
上終(カミハテ)という小さな港町でコッペパンを焼いて売って細々と生活している初老の女性の千代(高橋恵子)。
その場所には自殺者がコッペパンと牛乳を求めてやって来る。そんなお話。
1回目に観た時は千代が自殺してしまうんじゃ無いかとずっとハラハラしてたんです。
でも2回目に観た時、千代が小さい頃に父親の崖からの自殺を止められなかった自分に、勝手に死んだ父親に、自殺者に対して物凄く怒っているように感じました。
冷やかしに来た若い女の子を追い返した後、残していったコッペパンを食べるシーンがあるんですけど、千代はそれを床から取って食べるんですね。ホットしたし、凄く印象的でした。
食べることは、生きること。
千代は生きようとしている。ただ、怒っているんだと思いました。
でも、その商店にはコッペパンと牛乳を胃に流し込んでから崖から飛び降りる人がいるんですね。
せめて最後に、と言うことなのかな。
食べている間、自殺者は何を思うのか。
それを千代は止めないんですけど、何処かの母親が娘を残して死のうとしているのは止めていました(結果的に残念な事になりますが)
これが最後のスナックのシングルマザーの自殺を止めようとする所と繋がってくるんですね。
ずっと硬い表情だった千代役の高橋恵子さんが柔らかな表情で女性を迎え入れるのが凄くいいです。
やっぱりお芝居が上手いなあと唸りました。
この辺りとか、めちゃくちゃ私、泣きました。
弟役の寺島進さんも事業が上手くいかず自殺してしまいそうになっていましたが。
あの、最後の方の長回しのシーンが非常に印象的でした。
寺島進さんが明るくしているけれど生きる苦しさ、辛さ。そういった複雑な感情を体現されていて。
kentohukaya さんの奥田君役も良かったですね〜。
最後まで「のさりの島」に出ていた方だと気付きませんでした。
ずっと体の中が怒りでいっぱいだった千代が奥田君が崖に行くのを思わず止めるシーンもとても良かった。
千代の
「まいどあり!」は
「生きて!」と叫んでいるように感じましたね。
この辺りから千代の中で少しづつ、父親や周りへの人に心を開き、自分を含めて許したんじゃないのでしょうか。
私はそんな風に感じました。
これからこのカミハテと言う土地で、千代はバスの音がすれば自殺しに来た人を優しく見守り、話を聞いてあげるんだろうな。
監督、この映画は台詞が少ないって自虐的に仰ってましたけど。
表情で人物の考えている事をあれこれ観ている側が考えていくのもいい物なんですよね。余白があって。
音楽も素敵だし、良い映画だった。
多分また観ると思うなぁ。
#山本起也 監督