『夢の途中、輝く星たちへ』感想
満点でした。満点だったんですが、えむが祖父である楽之助の夢を司に託したのがずっと納得いかなかった。なのでもう一度その前後を丁寧に読み返したら案外すんなり飲み込めたんだけど、最初から普通に不足なく書いてあって横転。どうやら俺は鳳えむに夢の中を生きて欲しすぎて盲目になっていたらしい。
当たり前だけど司とえむの夢は違う。夢を託すということは別離を受け入れることと同義で、それの証左としてのあのシーンだったわけだ。号泣。
いずれ来るだろう別離の未来を飲み下してなお、えむは司の夢へと笑いかける。健気すぎるだろうが!
今イベが満点だったのはえむの成長が前イベから地続きで書かれていたから。『スマイルオブドリーマー』や『POP IN MY HEART!!』では能動的に仲間へ悩みを打ち明けることはしなかった(出来なかった)えむですが、今イベでは自ら心の内を類と寧々へと打ち明ける。
これまで積み上げてきた時間と信頼が感じられる良いシーン。でも見据えているのは別離の未来というギャップがなんとも切ない。今イベで時間の有限性というモラトリアムの凶器に抉られた傷に星空オーケストラの詩が沁みるようです。
俺がプロセカで一番好きなストーリーって結局『ワンダーマジカルショウタイム!』だから、ダショにはどうしたって予定調和というフィクションの引力を力強く引きちぎる夢物語を夢見てしまう。ワンダーランズ×ショウタイムがみんな一緒のままで個人の夢を叶えるウルトラCは実のところ単純で、今のまま世界進出すればいいだけなんだけど、俺はそれが見たいわけ。え、今までコイツらが固めてきた別れの決意はどうなるわけ!?とは自分でも思うけれども、ワンマジに囚われている俺は一点の曇りもない完全無欠な御伽噺を望んでしまう。まあ、どんな形であれ出されたものは食べるけれども、それほど期待していますよという話。先のことを予想しすぎるのも野暮なのでこの辺にしておきます。頼むぞ鳳えむ、俺に夢を見せてくれ。
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