自社で提供しようとする商品名・サービス名などについて、他者商標のチェックを依頼される場合があります。
商標の類否は、①商標(標章)の類否と、②商品・役務の類否の2つを判断する必要があります。まずは、①商標の類否に関する基本的な考え方をまとめておきます。
基本的な考え方
商標の類否判断は、2つの商標が同一・類似の商品に使用された場合に、出所混同が生じるか否かによって判断する。具体的には、商標の外観・観念・称呼等によって取引者・需要者に与える印象・記憶・連想等を総合して全体的に考察し、具体的な取引状況に基づいて判断する。
需要者・取引者を基準
その商品・役務の取引者・需要者において普通に払われる注意力を基準として判断する。
結合商標の場合
複数の構成を組み合わせてなる結合商標については、基本的には、各構成を分離せず、全体をひとまとまりとして類否を判断する。
ただし、以下の場合には、全体としての類否判断だけでなく、一部のみを取り出した特定部分だけについても類否判断する必要がある。なお、下記の3については、令和5年11月30日判決で新たに示されたものであり、今後の裁判例の動向に注目する必要があろう。
特定の部分が、取引者・需要者に対して、商品・役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与える場合
それ以外の部分から、出所識別標識としての称呼・観念が生じない場合
商標全体としての構成の一体感が希薄で、取引者・需要者が分離して理解し、その一部が略称等と認識され独立した出所識別機能を果たすと考えられる場合
②商品・役務の類否については、こちらをご覧ください。