『Liar3+1 ライアースリー・プラスワン』観劇感想(うすくち)

 今回の感想は「うすくち」「こいくち」の2種類にしています。

 「うすくち」は作品自体の感想。「こいくち」は贔屓にしている若林倫香さん中心の感想、私周辺の話をしています。

 作品だけのシンプルな感想は前者まで。ファン目線で他の方にはどうでもいいモノとか含めてでも全然大丈夫。お目汚し全然大丈夫よと言う方は後者までご覧下さいませ。

 なお、ある程度のネタバレを展開していますのでご了承願います。

画像1


序.....................................

 今回観劇した作品ですが、一人芝居です。共演者がなく、ひとりで語り、ひとりで二役も演じたり。1つの公演で出演者3人で、ひとり30分の3部構成のオムニバスみたいな感じになってます。でも、3つが別々の題材じゃなく、一貫したテーマがひとつ。

 テーマは「10年前に起こった一家4人殺害事件」で、その関連すると思われる3人に聴くという内容。元ヤクザの参考人K、水商売のママの参考人R、そして普通の女子?関係者なのか?のB嬢の3人。その3人への尋問、聴取、インタビューを演者さんが役毎にひとりで演じるという作品になってます。と思われます

破.....................................

 今回は2チーム公演で、Aチームが平野勲人さん、椎名亜音さん、若林倫香さん。Bチームが土田卓さん、八坂沙織さん、永吉明日香さん。

 観劇したのが、Aチーム1回と、Bチーム1回と、男性のみ変更のAチーム1回の計3回。脚本の内容は3チームとも一緒。3回観劇したことにはなるんですけど、全然話の繋がりが複雑で難しくてイマイチ呑み込めずに3回が終わったような感じでした。

 だいたいの観劇した作品は出発点と着地点が見えて、その途中が全然把握出来なくても、ある程度の着地点だけで納得し、2回目3回目の観劇は途中のすり合わせになるのかなと。

 でも、今回の作品は着地点が全く分からず。また3人に繋がる部分があると認識出来るけど振り返りをする機会がない。振り返りの部分は2回目3回目の観劇ですり合わせは出来ます。でも、その繋がりも定かとは思えない。そのせいで着地点が見えてこない。

 タイトルにもあるように「Liar」なので、登場人物の証言自体が「ウソ」を言っているかもしれない。真実ではないかもしれない。真実の如く巧いこと言っていることもあるかもしれない、キャラ自身の精神疾患等で誇張や過少表現されて、実は事実でないこともあるかもしれない。

 こんな作品初めてです。謎を深めるだけ深めさせて、あとの解釈は観客の皆さん方でどうぞ。と言う作品。

 歌とかでも「作者の意図は別にあるけど、曲の解釈はリスナーの人に委ねる」というのが多い。あるアーティストさんも「歌が世の中に流れたら、それはリスナーのモノになる」と仰ってる。世の中に流れた歌は聴いてる人の解釈にして良いというある意味許容。それに似ているような。

 だから、着地点の設定はおそらく劇場で観劇したお客さんの数あるんだろうなと。正解の真実が判らない。

 たぶん、全然解釈できてない私は正解が出せていません。なので、こういうお話ですというのが言えきれない気がする。というか、こういうお話ですと言ったことが真実じゃなく虚実になるかも知れない。

 もしかしたら、感想も何パターンもありそうな気がする?個人のスキルや人生を過ごした経験の度合いとか、考え方の処理の速さ遅さで内容が違ってくる?そういうのを望んでいる脚本書いた細川博司さんの意図なのかしら?何百本も並んで同時に飛ばしたロケット花火が勢いよく飛んで色んな方向で飛ぶこともあれば、湿ったり火が付かなかったり、異常行動をして飛ばないモノもあったり。そういう出口の違いを楽しんでるのかな。書いた人が。と思ったり。

 でも、そういうのも嫌いじゃないですよ。いろんな方向性を持つ意見が多いのは面白いことですし。違うモノを感じているその内容を楽しむというお遊び嫌いじゃない。この上演の途中に最終回を迎えた「例のワニ」のお話の最後の解釈もそれに似ているような気がする。見た目の明確なラストがないんですけど、見ている人がラストの真実を勝手に様々な解釈を自分の尺度で展開をしている。

 だからなのか、上演3日目でパンフレットと台本が用意した分全て売り切れたのは・・・。みんな話の内容を気になって買ってしまったのか。私が買おうと思ったら台本がそこ直前で売り切れました。

 舞台の進行自体が純文学小説のような表現を重視した会話で進んでいます。文字も言葉も想像の仕方は一緒。でも、文字で出来ることは気になったことを読み返すことが出来ること。それが言葉では出来ない。しかも、作品中に「え?なんて言った?」なんて聞けない。

 4月以降に郵送で頂くことが出来ますが、おそらく4月が来るまでに気になることが多すぎて、私は不眠症になるか、全然話の内容を忘れているか、コロナウィルスに罹っているか、どちらかだと思います。

急.....................................

 いろいろ考えて、これ全体のお話の着地点を考えるというよりかは、一人芝居を演じたお三方の演技個別を見て感想出した方が良いかも知れない!と思ったりしました。

 というか、演者さんひとりひとりの個性というか見せたい部分を役にして演技を見せてるんじゃないかな。俳優としての技を見せるための機会なのかなと私は感じてしまいました。この舞台上演というのは。もしかしたら、俳優さんの見本市?阿佐ヶ谷アルシェと言う名の東京ビッグサイト?

 男性キャストの参考人Kの役柄。

 平野勲人さんはダンディ。声の低めの辺りがやや軽やかだけど落ち着きがある。栓を抜いた後、中の空気を含ませながらトントンと音を立てながら出るお酒のような落ち着き。シブいオトナ。事前のTwitterでの動画でもいい声だなと感じまくてって私。

 土田卓さんは反面で若干おちゃら気な感じがして兄貴的な感じがする。ちょっとここは笑うとこよというところで何度も言う感じ。署長の謝罪とか、小人の海水パンツのクダリは絶対客席から笑い引き出そうみたいな。落ち着いてる感じはしないかなと言う感じだけど、チャラくはないオトナ。

 この役柄は一番最初に出て場を絞める意味では男性キャストで正解。この物語のスタートの重さを感じさせるためには必要だなと。ここから女性キャスト2人へ繋げるような感じで。

 2番目は女性キャストで、参考人R。

 2人目3人目は女性ですが、ここは前の男性キャストの重さを引き継ぐ感じで、女性としてはある程度経験を重ねた、若干の年齢の層を感じられる。

 椎名亜音さんは水商売のお姉さんという気怠い感じから始まって、途中に古い家族を回想させる部分は子供っぽさを見せたり、相手の母親を感じられるような母性を出している。一人の演技で家族がそこで見えてくる。怠い素から始まり、母性に、子供で「さっくり」、で、最後に素に戻る。

 八坂沙織さんは、椎名さんの芝居と脚本は一緒なんですけど、一貫してほぼ素。今の参考人Rとして演じて、その中で回想を示したり、子供な部分を示したり。一貫性の素からの見え隠れする別のキャラ。椎名さんが回想交えてだったら、八坂さんは対面して話を聞いてる感じ。

 先陣からの、中軸をしっかりと固めての、最後。

 3番目も女性キャストで、B嬢。

 完全にこのキャラで爆発させている。3段爆撃の最後の追い撃ち。今までの2人から出たワードや行動を引き継いでのこのキャラクターで膨らまして、拡張して、異常さを増して爆発させようとしている。最初はめちゃくちゃ可愛いのにね。進むに従っての何このオンナみたいな。可愛い局アナを情報番組で見てるけど、ひな壇番組のトークで幻滅したわこの子。に似ている感じ。

 永吉明日香さんは、もうほんわかな不思議少女ちゃんっぽい感じ。八坂さんに似ているような一貫性のほんわかな感じからの「うざい」とかの毒。感の悪い人だと絶対気付かない毒。この子かわいいねかわいいねと思ってるけど、本人はいろんな表裏を見せてる。でも相手は気付かない。

 若林倫香さんは豹変型ですね。可愛い部分、同調を求める時や同調しているときはめちゃくちゃ優しい笑顔のいい子なんだけど、「うざい」とか言う時は真顔。真顔からの毒の言葉。毒の度合いは直球。間が空いた時に、真の魔を見せると言うような、見た目の心理的な表と裏がキツい女子。

 作品を通して観劇していて、当然役者さん3人いるから三者三様で三人とも見せたいということもあるのは当然の方向性だと思ってますが、私個人の勝手な解釈としては一番最後の「B嬢」の2人の演技を見せたいという並べ方なのかなと勝手に感じたりしてます。

 これはホントに勝手な解釈で申し訳ないところなんですが。脚本の流れと言えばそうなんですけど、でも、B嬢が一番最初と言うのもあり得そうな気はする。そこを一番若い俳優さんを一番最後と言うのはそういう意図もあるんだろうなと。贔屓目除いてもそう感じる。

結.....................................

 最後に作品の話に戻りますが、実は3人とも真犯人ではない。実際殺した人間でもない。とのこと。

 セリフで参考人Rが小人を4匹排除するシーンがあって、ここの4匹と一家四人の殺害と繋がっているので、たぶんRさんが真犯人と思えるけど、あくまでも排除は彼女の妄想で、実際の事件は別、らしい。 

 参考人Kはただ事件現場の近所に居ただけ。Rさんとはママと客の関係。ヤクザなので疑われる立場だけど、殺害をしているわけではない。

 B嬢に至っては、事件は知っている。この2人と繋がりがあるとは言っているけど、誇大表現と妄想を展開してて自分で作品建てしているかも知れない。一番事件をややこしくしている存在。

 で、このお話には4人目の存在が居るんですよね。このお話のフライヤーに書いてるキャッチコピーにそう書いてる。だからもっと謎。

 こういう着地点のない妄想って面白い。でも、私の中ではきっちりした着地点を立てられていない。

 なので、作品として面白いなとまず受けとめて、証拠不十分だけど、その部分の感想はフィックスします。と。

 で、演者さんそれぞれの演技が凄かったね。怖かったね。違う一面が見ることが出来たり、求めている演技が見れて良かったねということで、その部分の感想はフィックス。って言う事にしようかなと。

 たぶん、4月以降に届くパンフレットと台本を見て、また違う妄想や感じ方が出るかもしれないけど、それをここに書いて決着しましたと書くのも必要ないかなと思ってます。とりあえずフィックス。

 あ、これだけ結論書いておこうっと。4人目はお客さんだと思ってます。新型コロナの影響で観客の皆様がマスクを装着してて、より4人目感が増しているなと。思ったり感じたり。(笑)

 4人目の観測者を増殖できますように。。。。またどこかでこの作品を上演してほしいですし、色んな方に観て欲しいと感じてます。

 ということで、「こいくち」に移ります。下のリンク先からどうぞ。いちファンのくどい話を聞きたく無い方はここでサヨウナラです。(^ω^)