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アメリカの大学で大統領選挙の日を過ごして

本記事の要約

・自分が選挙前後に見聞きしたことのメモ
・クラスのグループLINE的なものが盛り上がる
・ショックを受けた人がいると思うので、という理由で授業内容が変更


本記事の目的

ご案内のとおり、2024年の米国大統領選挙ではトランプ氏が勝利した。米国の大学に留学中なので、周囲の人たちのリアクションをメモしておこうと思う。
なお、自分が留学している大学は、日本人がビジネスや留学で付き合うような米国人が多い、いわゆるリベラルなところだと思われる。

(大統領選に対する自分のスタンス)

公平性のため?この記事を書いた人の考えを簡単に示しておく。
・米国のことなので、米国民が決めるべきであり、投票権もない自分がとやかく口出しすることではない
・それはそれとして、自分の生活のために、円高になってほしい
ぐらいです。

火曜日夜(選挙当日)

・この日の夕方は、ネイティブの友人と二人で飲んでいた。19時30分ぐらいまで飲んでいたが、その時は、最終結果はまだわからなくて、結果が早めにわかる州の結果(おそらく公式の結果ではなくテレビ局の判断)が出たり、「○○州の投票はあと◇分で締め切り」みたいなアナウンスをしたりしていた。
・ドル円のチャートを見ていて、早い時間からドル高が進んでいたので、トランプ有利なのかなというのは思っていた。
・テレビでは、 "Battleground State" という表現をしていて、これはいわゆる "Swing State" のことを指しているらしく、「全部の州でbattleしてるんじゃないの?」とネイティブの友人に聞いてみたら、「まあそうなんだけどね……」という感じだった。
・彼は「私は投票には行かない、行っても行かなくても、うちの州ではハリスになるから」ということも言っていたので、少し冷めているのかもしれない。トランプ支持だからというより、行っても行かなくても結果は変わらないから行かない、という趣旨だったと思う。どっち支持なのかは確認していない。

・夜は日本人だけで集まって飲んでいた。もちろんニュースはつけていたが、明確にどっちが有利かというのは、当日の夜23時ぐらいまでのニュースを見ているだけではよくわからなかった。州ごとの結果は出ていたが。

・クラスLINEのようなものが動いていた。「やばくね? みんなどんな感じ?」「心配」「ミシガンとかペンシルベニアで勝てばまだいける」「ミシガン州の○○郡は◇%しかないから、まだわからん」などなど。
・ここで、だれもハリスという固有名詞を出さない(けど、みんなハリスのことを話している)のが面白かった。この時間の投稿なら当然大統領選のことだし、みんな支持してるのは当然ハリスだよね、という前提があるみたいだ。(少なくとも発言している人たちは)
・個人的には、「ハリスが○○州で勝てばまたいける」とか言われてるってことは劣勢なんだろうなと思った。

水曜日(選挙翌日)

クラスLINE的なものに熱い長文が投下される。「昨日の選挙結果を受け止めている皆さん、皆さんは一人ではありません。排他的なレトリックに標的にされていると感じたり、この先の展開に恐怖を感じている人たちには、あなた方と共にある味方がいることを知ってください。……云々。」めっちゃハートのリアクションがついてる。
・これを学生が投稿するのが面白いなと思った。機械翻訳のせいかもしれないが、保護者とか、学部長とか、そういう人からのメッセージのような雰囲気だ。
・近所に新聞を買いに行ってみたら、地元紙の見出しが「ELECTION DAY 2024」で、結果が載っていなかった。時間的に間に合わなかったのか。ネット、テレビ等の報道ではすでにトランプ勝ち確出てたと思うので、悲しい時間差だ。
・水曜日は授業がなかったので、特に他のリアクションはない。町中を歩いてみたけど、特に変わった様子はなかった。ジムに行ってランニングと筋トレをしたが、知り合いもいなかったので特に情報はなし。さすがに、ジムの雰囲気が暗い、みたいなことはなかったと思う。

木曜日(選挙翌々日)

・新聞を買った。「トランプが帰ってきた」的な見出し。さすがに結果が載っている。

経済学

・経済学の教授「選挙の結果に衝撃を受けている人もいるかもしれないので、今日の授業の内容を変えます。あと、今週の宿題は提出しなくても減点なしにします」
・「私個人としては、いい結果ではなかった。もちろん、学生の皆さんが同じことを思う必要はないが」
・「経済学的な観点から、今回の選挙に影響を与えたかもしれない点を解説する。(以下、インフレと雇用率の話)」
・授業の内容を変えるとかいうから、何かと思ったら、インフレと雇用率の話だった。別に、メンタルケアをする内容になったわけではなかった。
・それなら、選挙結果云々じゃなくて、元から選挙後のこのコマはそれをやればいいのでは……? 選挙があったからこの内容をやります、ならわかるけど、選挙に負けたからこの内容をやります、というロジックは謎。
・とはいえ、授業中にはトランプになったことに関する質問も多数出ていたので、そういう意味では学生のモヤモヤを口に出させる効果はあったのかもしれない。いい先生か?

統計

・統計の教授は、選挙結果がcomfortable だったかについては特段コメントなし。淡々と授業を進めていた。
・授業は、このコマは元から「選挙結果を読み解く」というものだったので、変更なく実施。政治的な背景というよりは、投票結果が前回や前々回とどう変わったか、また、事前の予想がどれほどあっていたのか、を見ていく内容。さすがに、教授1人でこの短時間で分析する時間はないので、大手メディアの記事を紹介する形が多かった。
・ほとんどの有権者は、情報をあまり持っていない。フィーリングの政治(投票)。ほとんどの投票者は "Pokectbook voter" だ。(自分の経済的利益を優先する、ということ?)
・最後に「みんな、国内を旅しろ」という趣旨のことを言っていた。「アメリカは広い、州ごとにいろんな歴史がある」とも。分断を懸念するが故の発言なのだろう。
・授業の中でいくつか結果を分析したサイトを紹介していて、以下のサイトなどは見やすい表が多かったので、貼っておく。

2020と比較して、多くの属性で共和党への票が増えている。

学生の発言

学生の授業中リアクションの中で印象に残ったものをいくつか。
・「我々はこの大学に入れて、この教室にいられるぐらいスマートだが、そこまでスマートでない人にこの(経済学の授業の)内容をどうやって伝えるのか?」(白人女性)
・「アメリカは女性大統領を受け入れる準備ができていないのではないか? トランプが勝ったのは、クリントンとハリスが相手の2回で、男性であるバイデンには負けている」(黒人男性)
・アジア系はあまり発言がなかった印象。自分も、今回は発言していない。


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