世界最北の街に女子一人旅した話
ノルウェーのスバールバル諸島に一人旅してきた。世界最北の街で、12月の今の時期は極夜(一日中夜)なので、オーロラが見れるチャンスが高いのではと思ったのがきっかけだ。
事前に天気は頻繁にチェックしていたが滞在期間中はほぼ曇りマークでオーロラは見れないのかなと諦め半分で向かった。
着いた初日は雪もパラつき、到底オーロラは見れなそう。極夜のこの時期は島でできるアクティビティは限られている。人口よりホッキョクグマの方が多いこの島では街から外に出るには銃を携帯している人と一緒にいないといけないので、必然的にツアーに参加する必要がある。そのため、天気が悪ければ、アクティビティに参加していない限りできることはカフェやレストランでの食事くらい。初日は街を探索して博物館を訪れた以外は部屋でNetflixを見て過ごし、旅の先行きが不安になった。
2日目の朝、前日の夜にメールで、予約していたツアーが私しか予約者がおらず開催されないので返金する旨の通知が来ていた。この日も1日何もしなければ相当勿体無いと思い、慌てて別会社の同じ内容のツアーを探し出し参加できることになった。2日目は星が何個か見えたので少し希望を感じた。
ツアー内容は氷の洞窟へのハイキング。高尾山くらいしかハイキングはしたことがないが、体力には自信があるので気にせず参加したら、完全に舐めていたことがわかった。滑らないように靴にはめる器具など貸し出してもらったが、それでも新雪のフカフカの雪の山を6時間登るのは全く経験がない大変さだった。ただ、真っ暗で薄ら白い山の形が分かる中、自分たちだけがいる空間、ヘッドライトに照らされてキラキラと輝く雪はとても幻想的で、見たことのない世界、それに加えて、オーロラも無事見ることができた。弱いオーロラだったので肉眼では白い雲とあまり変わらないのだが、実際に見れたのだと言う感動は大きい。はるばる来た甲斐があったと感じた。
ツアーが8人の大所帯で体力もバラバラだったこと、またツアーの後に飛行機のフライトを予定していた人もいたので、かなり時間が押している中でこのまま氷の洞窟まで辿り着けるか危ぶまれた場面もあったが、なんとかギリギリ見ることができた。氷と土が層になっており、地球と年月を深く感じることができた。ツアーの中に日本人が1人おり、何かと助けてもらったので、結局その日の夕飯は一緒に食べた。かなり引っ込み思案な自分だが、旅を通して人と会話できるようになる成長を感じた。
3日目は犬ぞりに参加した。ワンちゃん達は相当人懐っこく、初対面でも会った瞬間から撫でて撫でてと体を擦り付けてきてとても可愛い。犬ぞりは2人一組で片方がソリに座り、片方がソリの後ろに立ち操縦する。操作はブレーキがメインで、緊張したがやってみると難しくはなかった。ソリに乗る準備をしていた時はワンちゃん達が他の人や犬の動きに反応して動き出そうとするのを必死で掴んで止めなくてはならず、これは大変だぞと覚悟したが、いざ走り始めると皆お利口で吠えたりもせず、綺麗に列を成して走ってくれた。両側を雪を被った山に囲まれる中、乗り心地も想像以上に良くて、真っ暗闇の中元気に走るワンちゃん達に連れて行ってもらうのは大層楽しく、ここでも途中オーロラを見ることができた。ここでしかできない新鮮な体験と、あまりにも壮大な景色に、人生最高の経験をしていると感じた。
3日目の夜はキャンプに参加した。雪が降っていたのでオーロラは到底見れなかったが、シチューを食べて、島発見の歴史やオーロラについて解説してもらうのは良い時間だった。ここでは、日本人の若い女性の方が働いていて、聞いたら島には2.5人(1人はハーフとのこと)しか日本人がいないそうなので、そのうちの1人に会うことができて良かった。
1日目は曇りのことが多い極夜のこの街にわざわざくる必要はないのかもしれない、と思っていたが、そんなことは全くなかった。美しく静かで荘厳なこの街で他ではできない体験をできたことは、最良の思い出となった。
アクティビティは高いし、行くのも大変だし、かなりお金を使うことは覚悟しないといけないが、それでも、人生で訪れる価値がある場所だと思った。
最後に、泊まったホテルを紹介すると街の中では外れにあるFunken Lodgeというところに泊まった。街明かりが少ないのでホテルからでもオーロラが見れるチャンスがあると聞いていたからだ。実際最終日の朝6時半ごろ、天気が良かったのでホテルの横で星空を眺めていたらオーロラを見ることができた。昼くらいまで部屋から外を眺め、雲が晴れたら外に見にいくという効率良い観測方法を取れたので選んで正解だった。
サウナとジムもあるとホームページには記載があったが、結局どこにあるのかはよく分からなかった。とても清潔で家具もオシャレなのだが、特筆すべきは食事だった。夕食も一度食べてこれも素晴らしかったが、何より朝食が今まで食べたどのホテルの朝食よりも美味しかった。飲み物1列とパン1列とその他1列なので、決して種類は多くないのだが、どれをとっても、目を見開くくらい美味しかった。ぜひここの朝食、特にフレンチトーストは食べて欲しい。(他の宿泊者も同じ感想のようで、2日目の朝はフレンチトーストが出てくるのが遅かったのだが、皆待って出てきたらわざわざ取りに行っていた)