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静謐さが形になったなら ハマスホイとデンマーク絵画展

ハマスホイとデンマーク絵画

静かなる衝撃、再びー。

美術館にすいこまれる人たちは、どこか似ていた。

展示会場はランプが灯るように絵画がポツポツ照らされ、それ以外は薄闇のなか。
照らされながらも、絵も薄闇を抱えていた。
室内、背を向けて立つ女性の姿。モノトーンで薄暗い。けれど、陰鬱ではない。静けさが満ちる。
白が多くても、暗がりに居るような、空間。
不思議とハマスホイが描いた絵には、そんな力がこもっているようで、幾つもの作品が並んでいても、スイッと目がいく。
そして、いつのまにか人が集まっていく。
ハマスホイの描く世界に引き寄せられ、眺める鑑賞者たちも、絵の一部のようだった。
絵と人の後ろから歩いていると、落ち着いた雰囲気の人たちが、絵をそっと見つめる姿ばかりを見つけた。
好みが似ているのは、生き方が似ていることと近しいのかもしれない。

観終わった時には、心のなかにヒタヒタと、水が注がれたように、満ちていた。
図書館や教会や森の中、静かで惜しみなく何かを与えて貰える場所で、自分の時間に没頭した時のようで、私は深く息を吐いた。

静謐さが形になったなら、こんな絵なのかもしれない。

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楽
大切なひと、もの、こと、ときを、大切に出来るようにいかします。そして、いつか文章にしてお返しします。