“行きつけの喫茶店”がほしい。


私はとても欲深い人間であり、常に欲しいものがたくさんあります。
その中でも「いつか欲しいと思っている憧れのもの」にあたるのが、タイトルにある“行きつけの喫茶店”です。

“行きつけの喫茶店”になりうる店を探していくにあたって、色々な条件があります。
チェーン店じゃないこと、店主と客の距離感が近いこと、人気すぎる店じゃないこと、珈琲やら紅茶やらの蘊蓄を店主に教えて貰える店であること、自分が好きな雰囲気が漂っていること、珈琲が美味しいこと、珈琲と一緒に楽しむお茶請けがあること、家から近いこと、のんびりと過ごせることなど、様々な条件が……。

「いつかそんな店が欲しいけど、見つからないだろうな〜」と思っていたのですが、職場のすぐ近くに良さげなお店があったので夜勤明けに行ってみました。そのお店の日記というかレポというか、そんなようなもののnoteです。

本当に小さな個人経営の喫茶店で、珈琲のみ取り扱っており、朝の7時から開店しているようです。店の前には猫の看板が置いてありました。
お店に入ると私以外の客はおらず、店主が客席で珈琲を飲んでいました。カウンターは珈琲豆で埋め尽くされ、店の棚にはたくさんの珈琲カップがインテリアのように飾られています。
店主とおしゃべりをして見たかったのでカウンター席に腰をかけると、「焙煎したばかりのいい豆がある」と言われ、コスタリカという品種の珈琲をおすすめしてもらいました。店主のおすすめなら間違いないだろうと思い、コスタリカを注文。お茶請けを頼もうとしてメニューを確認すると、薄皮饅頭と2種類のプリンが。和菓子に目がないので薄皮饅頭をチョイスしました。

注文を終えた頃に、他のお客さんが来店。私と同世代くらいの女の子で、その子も初めて来たようでした。店主とは既に色々とおしゃべりしていたのですが、その子とはぜんぜんおしゃべり出来なかった……。せっかくなら軽くお話くらいすれば良かったなと。平日の朝っぱらから来店する同世代っぽい女の子……同じ医院の看護師じゃね?と思ってしまいチキりました。情けない。
その女の子と店主のおしゃべりを聞いて初めて知ったのですが、お店の看板とマグカップ(特徴的なネコが描かれている)を作った作家さんが山口マオさんという有名な方だということを知り、更にその作家さんの絵を私は子供の頃に絵本で見たことがあることを知り……芸術の知識の乏しい私の頭の中に新しい風が吹いたような感覚。「このお客さん、お若いのに絵本画家さんに詳しいのかな〜すごいな〜」と勝手にリスペクトしてました。

若い頃に事故で脳出血を起こしたことのある店主が珈琲を入れてくれたのですが、色んな知識を教えてくれて楽しかった……。私は酸味よりも苦味が強い珈琲が好きなのですが、店主が「コスタリカちゃん」と呼ぶその珈琲はドンピシャでした。めーーーーっちゃくちゃおいしい。あと薄皮饅頭を頼んだ私天才すぎる。香ばしい匂いで、しっかりとした苦味があるのにくど過ぎずさっぱり飲める珈琲との相性がとても良かった。

店主に入院経験があるからか、病院の話で盛り上がりました。私といえば、店主の身体の動きを見ては「麻痺はありそうだけど手指の巧緻性がそれなりに保たれていて凄いな……若い人の回復力すごいから、若いうちに事故したこの人は幸運だな……言語と記憶の障害は若干残っている感じがするな……」などと考えてみたりしました。職業病です。店主は本当に気さくな方で、たくさんおしゃべりをしてくれました。お店の人とおしゃべりをする経験がないので、新鮮で楽しかったな。

珈琲は美味しいし、店主とのおしゃべりは面白かったのでしばらく通ってみようかなと考えています。月に3回はある深夜勤明けの朝に……。


行きつけの喫茶店になりうるお店を見つけられて嬉しいな。夜勤は酷いもんだったし貧乏くじ引いたけど、それでもいい日でした。



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