「おやこ見習い帖」へのご感想をいただきました!(13)
皆様こんにちは。フィレンツェから戻り引き続きヴェローナに滞在中です。
フィレンツェは素晴らしかったです…!!メディチ家の支配の下、絢爛なる文化芸術が栄えた花の都。イタリアの至宝がこれでもかと街中に溢れています。ヴェネツィアが永遠のナンバーワンのはずなのに、フィレンツェが私の心を華麗に攫いそうな勢いです(ああどちらも選べない)。
駅を出てすぐに街の美しさに目を奪われ感嘆していたら、「感心するのはまだまだ早いよ(ニヤリ)」と夫が言いまして。いやヴェネツィアだって3回訪れているし、ちっとやそっとでは驚かないですから、と余裕で(?)街を眺めていたら…。
向こうに、巨大なすごいものが見えるのだけど…!?
……何だあれは!?
もう開いた口が塞がらない。
精緻で美麗な装飾、白、緑、赤の大理石による華麗な模様。
そして巨大…とてつもなく巨大…。
サンタ·マリア·デル·フィオーレ大聖堂です。
何これ現実ですか。こんな建造物があっていいんですか、と目眩を覚えつつ背後に回り、衝撃に腰が抜けました。
異次元のスケール!!!
クーポラ(丸屋根)、どでかい!!
15世紀に完成を見た大聖堂(ドゥオーモ)。この丸屋根、石材によるクーポラとしては世界最大だそうです。
使用した煉瓦と木材と大理石の量たるや、天文学的数字であったに違いない。
このドゥオーモ、壁を造ったは良いが、前代未聞のサイズと重量の丸屋根を作る技術が当時はなかったらしく。ぽっかり空いた天井を見上げ、関係者一同ハテどうしたものかと途方に暮れたそうな。
まさかのノープラン。
この大事業でノープラン…。
楽天的にもほどがあるぞイタリア人…!!ともはや尊敬(←)
そして、困った彼らがこの屋根を作り上げるアイデアを募ったところ、名乗りを上げたひとりの建築家に白羽の矢が立ったのです。
その名もフィリッポ・ブルネレスキ。
フィレンツェの細工職人兼建築家であったブルネレスキは、螺旋状に煉瓦を積み上げ重量を分散するというアイデアにより、16年あまりの年月をかけてこの丸屋根を完成させたのでした…。
もうね、30センチ四方の屋根を作るのに数ヶ月を要したそうなんですよ。
その情熱と執念に震えます。
人間の知恵と執念は、とてつもないことを成し遂げる…。
お陰で今日、私たちはこの壮麗な大聖堂を見ることができるのですね。
内部を見たかったのですが、何と7月はチケットが完売にて断念。すごい数の観光客でした。ああ入りたかったなぁ…。
デルフィオーレを見るだけで、フィレンツェの破格さを何となく感じ取っていただけるかと。しかし語りだすと長くなるので、米国へ戻ってから改めてまとめることにしまして…。
交流させていただいている長髄彦ファンさまが『おやこ見習い帖』のご感想を記事にしてくださいました!わぁ、まことにありがとうございます☆とても嬉しく光栄です!
長髄彦ファンさま、改稿後の変化をよく汲み取ってくださりありがたい限りです。前半の構成に手を加えてもう少しスピーディに、かつ主人公の内面描写をより豊かにという改稿方針でした。現役の編集者でおられる長髄彦ファンさまの目、さすが…!!と感じ入ります。
また、本作は「貴種流離譚である」とのごご指摘、確かにおっしゃる通りだと思いました!
「貴種流離譚とは「高貴な血筋に生まれた人物が、本来の高い身分から遠ざけられた環境で、さまざまな試練を乗り越え成長していく物語」のことで、日本の物語文学の原型ともいわれます。」とのこと。
あの有名な神話も、民話も、おとぎ話も、ファンタジー小説も、そういえば!と思い当たるものがたくさんあります。日本の物語文学の原型だとは恥ずかしながら存じませんでした。
貴種流離譚と聞いてぱっと頭に浮かぶのは、小説であれば『指輪物語』や上橋菜穂子さんの『精霊の守り人』、アニメでは『風の谷のナウシカ』、『天空の城ラピュタ』、『もののけ姫』であったりします。こう考えるとジブリ作品にも大いに影響を受けているようです…。
貴種流離譚の魅力は、キャラクターの置かれた環境や属性のドラマ性とともに、視点が多層的になるという部分にもある気がします。キャラクターを通して庶民の立場と為政者の立場の両方から物語を描くことができるので、世界観の全体像を提示しやすく、物語と人物造形に奥行きや厚みが生まれるのではなかろうかと。
ただこれは卵が先かニワトリが先かという話でもあって、本作の場合は久弥というキャラクターを造形したら結果的にそうなった、というところなのですが。しかし、形から入っても面白い物語を描けるわけではありませんが、書きたいテーマや人物の魅力を引き出す形式を意識するということは、創作の助けになりそうだと感じました。
たいへん勉強になります!
また、「感想文を書かれた方々の文章がどれも素晴らしいことにも感嘆です。こうした真摯な読者がこぞって高評価を与えていることが、この作品の何よりの価値だと考えます。」とのこと、心より同意いたします…!!この場をお借りして、改めて御礼申し上げます。
長髄彦ファンさま、丁寧に本作をお読みくださったうえ、洞察に満ちたご感想をいただき、ほんとうありがとうございます。
長髄彦ファンさま、邪馬台国などの古代史のご研究をなさっておられるほか、神武東征をテーマにした小説をNovel Daysやアルファポリスなどで発表しておられます。
『東へ征け−神武東征記』は、確かな考証と読みやすく端正な筆致、生き生きとした人物描写、ワクワクするストーリーテリングが見事なご作品です。すごく面白いのでぜひご一読のほど☆
イタリアの当地も連日気温35度、体感気温39度といった夏日が続いております。日本の皆様も酷暑の中たいへんな思いをしておられるかと思いますが、どうぞご体調に気をつけてお過ごしください!