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「君が音ぞする」完結しました&雑感

 明けましておめでとうございます。皆様穏やかな新年をお迎えでしょうか。当地は元旦までが休日で、二日から既に平常運転です。風情がない…(涙)
 先ほど少々雪が降っていました。週明けはかなり冷え込み雪となる予報でして、学校は休校になるかもという噂です。暖冬傾向ですがどうなることか。日本は大雪のエリアもあるようですね。どうぞ気をつけてお過ごしください。

 さて、『おやこ見習い帖』番外編2「君が音ぞする」完結しました♪私の書き方が紛らわしかったのですが、連載は3日間ですが公開はずっとしておりますので、どうぞお暇な時にお立ち寄りくださいませ!お忙しい中読みにいらしてくださった方、大変申し訳ありません(汗)ありがとうございます。

 今回は青馬が主人公で、宗靖と礼子姫の現在の状況を織り交ぜた内容となっています。宗靖と久弥の仲良し兄弟、可愛い青馬、お馴染みの近習小姓衆、色んな馬、さらに例の人物も登場したし、書いていて楽しかったです。ついでに久弥の乗馬場面や、山辺家一行の小旅行の場面も書いてみたかったので満足。
 春と共に過ぎ去ろうとする恋と、それを感じ取る青馬の少しの成長も描けていたらいいなと思います。

…が、やはり短編形式だとなかなか話が進まないですね。宗靖の恋は背景が大きいので、それなりの長さがないと描き切れないと悟りました。ここは腹を据えて中−長編を書くしかなさそうです。一応ネタはあるので、うまく行くかわかりませんがゆっくり組み立ててみようかと思います。
 ちなみに、短編の中の大名家や家紋は山辺家を除いて実在でございます(礼子はフィクションですが)。
 家紋は定紋(表紋)や替紋(裏紋、別紋、控紋ともいう)など色々種類があるんですが、正式な紋である定紋があるから藩主は常にそれを使用したかというとそんなこともなく、替紋の方がよく使用されているパターンもあります。女性が替紋を使用するケースもあるようですが、女性の持ち物に定紋と替紋が両方入っていることも珍しくなく、結構曖昧です(専門家の方、認識が誤っていたらごめんなさい←予めお詫びするスタイル)。

 それから大名家が小金井までわざわざ遠乗りして花見をしたのかというと、本当にしていたそうです。文化文政期などは行楽文化も栄えましたから、庶民も武家も色々な場所へ足を伸ばしていたらしい。文政9年(1826)3月には、越前丸岡前藩主の有馬誉純が家臣等を伴い小金井に遠乗りをしたという記録が残っています(小金井市公式Web参照)

 この有馬家一行は、江戸の宇田川町(現港区)の下屋敷を出発、四谷御門を過ぎ、青梅街道の高円寺村から五日市街道に入り、小金井橋に至る道を通ったとのこと。山辺家一行はこのルートを取っています。馬の背に揺られてのんびりと行くのはなかなか趣きがあって気持ちがよさそうです。
 ただ、悲しいかな、旗本や役職に就いている御家人は夜間自邸にいなくてはならない決まりでしたので、泊まりがけの旅行は原則としてできませんでした。だから日帰り旅行一択。また、大名家が花見などに赴く場合は、実際には通過する宿場や目的地に予め知らせが行ったのではないかと思います。何かあったら一大事ですし。思い立ったら馬でひとっ走り…という自由はなかっただろうなと。
 蛇足になりますが、物語の中に登場する左三つ巴紋の有馬家はこの越前丸岡前藩主家とは別の有馬家で、筑後久留米藩主家です。九州には当時有馬という大名家が二つありまして、丸岡藩主家を肥前有馬氏、久留米藩主家を摂津有馬氏と呼びました。同姓ですが出自はまったく別とのこと(家紋もまったく異なります)。ややこしい!

 話は変わって。青馬たちがお昼ご飯に食べているうどん、あれは当時の武蔵野名物でした。武蔵野台地は関東ローム層のせいで稲作に適さず、小麦や大麦、蕎麦をはじめ畑作が盛んだったためにうどん文化が生まれたのだそう(玉川上水などから分水して水を得ていましたが、それでも少なかった)。現在は小麦も蕎麦も生産量は微々たるものです。私は小学校低学年まで調布市で育ったんですが、あの一帯は深大寺そばも有名なので蕎麦のイメージが強いですね(しかし地粉はもう稀です)。
 江戸の当時のうどんはもちもちして美味しかったそうなので、幻のこのうどんを一行に食べさせることにしました。なお、この辺りには古くから「糧(かて)うどん」という農家で食されていた料理(つけうどんに野菜などが添えられている)があります。が、これはたぶん名前がついたのが天保期より後ではないかと思われます。うどん自体は食べられていたはずですが。そのため作中では糧うどんという名はつけていません。こういう話も調べ出すと面白くてきりがないです(笑)。

 などというネタを作中でちまちま登場させております。番外編をお楽しみになる足しになれば♪

 それでは、最後になりますが、本年もどうぞよろしくお願い申し上げます!
 各地に寒波が押し寄せているようですが、どうぞあたたかくして安全な週末をお過ごし下さい。

 (サムネイルはありんこさまよりお借りしました。ありがとうございます)

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