「おやこ見習い帖」へのご感想をいただきました!(11)
引き続きイタリアはトリエステに滞在中です。街中にはおしゃれなお店も溢れていて、眺めているだけでも楽しいものです。こういうテイラーメイドのお店なんて素敵ですね。
お菓子屋さんも優雅で美しい☆
手前の丸いパンのようなものは、Pinzaと呼ばれる北イタリアのお菓子(のはず)。オレンジで香り付けをしてある、スポンジケーキのようなものです。私は食べたことがないのですが、おそらくパネトーネなどに似ているのではないかと想像。一度食べてみようかな☆
奥にある箱に入った丸いお菓子はコンフェッティというイタリア伝統のお菓子で、アーモンドを糖衣に包んであります。縁起物の祝祭菓子として結婚式などで配られるんですよ。無茶苦茶硬いのですが、美味しいです♪
さて、交流させていただいている伝吉さまが「おやこ見習い帖」のご感想を記事にしてくださいました。
お読みくださりまことにありがとうございます!
本作冒頭から「炭化した木の臭気」を感じてくださったとのこと。全編に渡り香りと音が立ち上ってきたと伺い、嬉しくありがたい思いです。
三味線や長唄はまるで馴染みがなかったため四苦八苦しましたが、子供の時分に琴を習ったことが少しありまして、その時の弦の感触や音色の記憶が意外に頼りになったようにも思います。古典曲よりも民謡などがメインの教室でしたが、先生の模範演奏のキレの良さや抑揚のつけ方など、何となく耳に残っているもので。人生何が役に立つかわからないものです(両親に感謝です)。
伝吉さま、青馬と真澄に「越後獅子」と「鷺娘」を重ねてくださったとのこと、嬉しい限りです(お母上様の押絵がまた素晴らしい…!)。長唄の詞章なんて理解できるだろうか…とはじめは思いましたが、いざ向き合ってみると実に味わい深く趣があり、夢中になりました。そして旋律の美しさにも驚嘆し、どうにか長唄の魅力を物語に活かせないかと考えるうちに、登場人物のテーマ曲のようなものが出来上がったのでした。
これらの曲がなかったら、キャラクターの印象も変わっていたかもしれません。素晴らしい曲を残してくださった先人に感謝するばかりです…。
久弥が傘貼りや提灯作りで糊口を凌ぐ浪人ではなかったがゆえに、身分を横断する立場に身を置けたというご指摘は、まさにおっしゃる通りだと思います。武家も町人も芸事を嗜む機会が多い時代でしたから、久弥の人間関係を形作る上で、三味線師匠の立場は色々とメリットがありました。
それと同時に、彼を不幸な境遇に耐える浪人として登場させたくはなく、三味線弾きとしての確固とした人生を歩む人物として描きたかったということがあります。そうでないと、父親に逆らって市井に暮らす根拠も薄くなってしまうし(普通は貧乏長屋暮らしよりも御殿で暮らす方を選ぶでしょうし)、元の暮らしに戻りたいと願う気持ちも生まれないでしょうし。
ところで、江戸情緒や艶のある人物を描きたいと苦心したので、久弥を慎ましい艶のある人物と評していただきとても嬉しいです…!!
表紙の二人の後ろ姿に覚悟を感じてくださったとのこと、ありがたく伺いました。苦悩し傷つきながらも、かけがえのない誰かのためになすべきことをなす。本作のテーマのひとつは、主人公たちがその覚悟を貫く姿を描くことでもありました。久弥のような剣客であろうと、青馬のような子供であろうと、その覚悟の強さは変わらない。それは愛するということのひとつの形だろうと思います。それが描けていたならば幸いです。
本作を楽しんでくださり、本当にありがとうございます!物語をご自分に引き寄せ、深く堪能していただき作者の冥利に尽きます。
粋で心に響くご感想、心より感謝申し上げます。
また面白かった!と思っていただけるような作品を生み出せるよう、今後とも精進して参ります☆