【VRChat】アバターやワールド制作にGitがおすすめって話 活用編
前回のおさらい
Gitとはバージョン管理システムの一種で、変更履歴からいつでも昔のデータに戻ることができるよ。
SourceTreeをインストールするとGitの扱いが楽になるよ。
コミットするところまで勉強したよ。
前回の記事
【VRChat】アバターやワールド制作にGitがおすすめって話 準備編
Gitを活用しよう
1.過去のバージョンを確認したい(チェックアウト)
作業しているうちに
・別の設定ではどうなっていたか確認したい
・いつの間にか予期しない挙動するようになったけど、どの変更で起きたのか確認したい
ということが出てくると思います。
そんな時は戻りたいコミット内容をダブルクリックするだけで該当のコミットまで遡ることができます。
ただし、巻き戻されるファイルが編集中の場合、失敗してしまうので変更内容はすべてコミットしてからチェックアウトするようにしましょう。
最新版に戻りたいときは同じように一番上の内容をダブルクリックすれば戻れます
2.別のバージョンを作りたい(ブランチを切る)
専用衣装が複数リリースされているアバターを利用する場合、一つ一つプロジェクトファイルを作るのは結構面倒ですし、ファイル容量もなかなか馬鹿にできません。
特にたくさんのアバターを使っている方なんかだと、VRChat上でアバターを見つけるのも大変になります。
そこで活躍するのがブランチです。
これを利用すると、一つのリポジトリの中に普段着の世界線と水着の世界線を作ることができ、容易に移動ができるようになります。
作り方は簡単で、基本的には上メニューのブランチをクリックして、ブランチ名を入力するだけです
あとはunityのほうで導入方法に沿って水着を導入し、変更分をコミットすると……
masterブランチからmizugiブランチが枝分かれしたのがわかると思います。
これで、ブランチを切り替えるだけでほかの衣装のアバターの管理ができるようになります。
Unity側でモデルのBlueprint IDをいじることで、VRC上でアバターの表示を分けたり、同じアバターとして登録したり、ということが可能になります。
3.失敗してしまった場合
作業していると、ファイルが破損したり、消してはいけないファイルを消してしまったりということも起きると思います。
落ち着いて直せれば一番いいんですが、どうしようもないこともあります。
例えばアバターのモデルデータを消してしまったりとか……
unityではアンドゥ(元に戻す)ができない操作も結構あるので、ちょっと寝ぼけてただけで取り返しのつかない事態が起きます。
3-A.アセットファイル内の大事なものを削除してしまった場合
この場合は話が簡単で、ミスった部分をコミットせず、変更内容を破棄すればいいだけです。
「コミットされていない変更があります」をクリックか、コミット画面を開いて作業中のツリーを確認しましょう。
消してしまったファイルの変更内容があるので、右クリックメニューから「破棄」を選んで変更内容を破棄しましょう。
これだけでデータが返ってきます
3-B.Sceneで何かやっちゃったんだけど、ミス内容がわからない……
気づかないうちに何か設定してしまって表示がおかしなことになった、なんてこともあるかと思います。
そんな時に取りうる手段が2つあります。
その1:Sceneファイルの変更内容を確認して、原因を探る
ある程度Unityでの作業に慣れた人なら、Sceneファイルの変更内容から自分の意図したものではない変更を見つけられます。
いったんSceneの変更内容を保存すれば、コミット画面の「作業ツリーのファイル」欄の中のSceneファイルから変更内容を見ることができます。
この変更内容の見方ですが、赤く塗られているのが削除された部分で、緑色に塗られた部分が追加された部分です。
画像の場合では、
・Spineという名前のオブジェクトをSpoonと変更してしまっている
・Toe.Lに対して何かコンポーネントを2つ追加している
・追加されたコンポーネントはTilemapRendereとTilemap(画面外)
ということが分かります。
どちらの変更も心当たりがないので削除する場合、右側のHunkを破棄を押すことで変更された内容を削除することができます。
※Hunkを破棄したあと元に戻すことはできないので、本当に変更を取り消して平気か確認しましょう。
その2.変更を破棄する
どうしてもわからない、という場合は諦めてAと同様の方法で変更内容すべて破棄してしまうのがいいです。
直すために悩むよりも、もう一度作業するほうが速いです。
ただし、変更内容が多い場合は破棄はせずにブランチを切ってコミットしておくと、あとでSceneファイルを確認しながら操作しなおすことができます。
4.HDDぶっこわれた
落雷、停電、経年劣化、発火
そんなこんなでHDDぶっこわれたって人も中にはいるのではないかと思います。
バックアップとってたけどまとめてやられるなんてこともありますね。
そんな時でもGitを使っていればリカバリーが効きます。
まずは落ち着いてBitbucketにログインしましょう。
こんな感じで、Recent repositriesに最近使ったリポジトリが出てきます。
(ない場合はView allを押して探してください)
ここでは「new-avatar」を押します
リポジトリへのコミット履歴やファイル一覧が表示されるので、右上の「クローンを作成」ボタンをクリック
後は左側の「Clone in Sourcetree」をクリックして、リポジトリを作成する際と同様に保存場所を指定することで、これまでの変更内容を含めたすべてのファイルを復旧することができます。
Git利用上の注意点
こまめにコミットする
結局のところ、コミットしなければ意味のないものになってしまうので、最低でも1日1回、理想は1つの作業が落ち着いたら1回コミットするようにしましょう。
著作権を侵害する形でアップロードを行わない
必ず、リポジトリはPrivate設定にして作成を行いましょう。
Gitの管理できる変更履歴の上限は2GBまで
実際には4GBまで可能ですが、4GBを超えるとコミットができなくなるので2GBを目安にしましょう。
超えそうな場合は、新たなリポジトリを作るなどの対処をしましょう
よほど大きなワールドを作らない限り大丈夫だとは思いますが……
最後に
ちょっと急ぎ足だったかもしれませんが、2回にわたってGit(というよりSourceTree)の使い方を紹介させていただきました。
Gitの説明はわかりやすさを優先したので事実と異なる部分もありますが、
IT業界の人でもなければ誤解したままでも特に問題ないと思います。
中には「まめにバックアップを取ってればいいんでしょ」と思う方もいらっしゃるかと思いますが、リポジトリさえ作ってしまえばワンクリックでバックアップを取ることができ、しかもローカルに容量の負担がないというのはGitのかなり魅力的なポイントかと思います。
正直、分かりづらい点や、もっと紹介すべき面もあると思うので突っ込み・疑問点がありましたら、気軽に質問してください
Twitter→ @Managarmr_Wol