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じんせい の いちだいじ

3歳長男にまつわる、ある朝に起こったしょうもない一大事の記録です。
※食事中の方はご覧にならないでくださいね。

平和な金曜の朝、それは突然はじまった


5:00 朝活

今日は久しぶりの出社日。会社でやらねばならぬ作業や打ち合わせをみっちり詰め込んでいる。9:30からミーティングがある。雨が降っているし、いつもより10分早く7:20には家を出よう。そんなことを思いながら5時に起床し、朝家事をしてから瞑想ヨガ。金曜なので足も肩も凝っている・・・。

6:00 順調

子ども達を起こして朝食を食べさせる。ここまでは極めて順調。自分の身支度を終え、食べ終わった食器から片づけ、家事などする。

夫出社。

7:00 立てこもり

食後の3歳長男に異変。突然寝室に駆け込み、鍵をかけて立てこもる。
どうやら「大」を催した様子(まだオムツとれていないので)。
よくあることなのでそっとしておき、次男のお世話などする。
出発時間が迫り、時計をチラチラ見ながら声掛け。

7:20 様子がおかしい

出発予定時間経過。ここで、いつもと様子が違うと気づく。
かなり苦戦していて、ウンウンうなっている。
どうやら固すぎて途中でどうにもならなくなっているようだ。

「お母さんが手伝ってあげるから、トイレに行こう」
「ヤダーーー!こっちこないで!ひとりでできるから!」

途中で引っ込めるわけにもいかないよね、わかる。
この時間の出発はあきらめ様子を見ることに。

8:20 手負いのけもの

あれから一時間経過。事態はますます悪化している。
寝室から出てきて、廊下でうずくまったりドアノブにつかまって中腰になってみたり。彼なりに色々工夫していることが伝わってくるが、効果は出ず。

おそらく痛いのだろう、涙が出ている。
手伝いたいが、引き続き手負いのけものモードになっていて近づかせてもらえない。見ているだけのこちらもつらい。

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一方で、仕事のことを考える。
いつ終わるかもわからないし、小児科に連れて行ったほうがいいかもしれないし、今日の出社はあきらめた。
保育園は休ませて、在宅勤務すればなんとかなるか?頭の中で今日の予定を組み替え。

上司に事の次第を説明し、在宅勤務に変更したい旨メール。
ミーティング・・・はそのままリモートで参加するとして、会社でなければならぬ作業はできなくなってしまったので、関係者に謝罪メールを送る。

次男だけでも保育園に預けたいが、長男をひとりで置いていくわけにもいかないし困った。お隣さんに声かけて見守りだけお願いするか?でも挨拶程度の間柄だし、けもの状態の長男をいきなりはきついか?などぐるぐる考える。

なぜこの場に夫がいないのだ!!!!
大人がもう一人いれば済むことなのに。
大変な時にいつもいないんだ、あの人は。

と夫への怒りに繋がる。

8:30 先生のひと言

長男の保育園に電話。ちょうど担任の先生が出てくれたので、事の次第を説明し、本日休ませたい旨伝える。

私「ほんと、しょうもない理由なんですけどかくかくしかじかで。
もう一時間半も苦しんでいて、手伝いたいけれど近づかせてもらえなくて。」

たぶん、私の声には焦りといらだちが含まれていたはず。
そこに、先生からかけられたひと言にハッとさせられた。

先生「それは大変ですね。長男くんにとっては、一大事ですもんね。」

そうだ、その通りだ。

そういえば「こーわーいーー!」と泣いていた。

こんなこと、彼の人生では初めての出来事。
自分に何が起こっているか、どうしたら終わるのか。
痛みと不安と恐怖で頭がいっぱいで、パニックになっているのだろう。

私は、物理的にどうしたら治せるかを考えていたけれど、
長男の心のうちの想像はできていなかった。

また、仕事の段取りや次男をどうやったら保育園まで連れていけるかなどの算段をしていた自分を恥じた。

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今日はもう仕事はあきらめ、次男も保育園お休みさせよう。

8:40 全てをあきらめ

保育園への電話を切り、うずくまる長男のところへ。

私「おかあさん、今日お仕事いかないことにした。君も弟も保育園お休みすることにしたから、いそがずゆっくり治せばいいよ。」

と声をかけ、立ち去る。

上司へ改めてメールを書いていると・・・・

8:50 終止符

長男「ぜんぶ でた!!!」

なんと!
約2時間にわたる苦闘に終止符が打たれた!!!
長男と抱き合って喜びあう。

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手負いのけものから一変、穏やかないつもの長男に戻っていた。

私「人生の一大事だったね、びっくりしたね。全部出てよかったね!」

長男「すごいの でた!」

急いで処理をして、保育園や上司に連絡。

9:10 無事登園

いつもより一時間半遅れで登園。

長男「せんせい、ぼく、じんせい の いちだいじ だったの」

先生と大笑いして、ちょっと泣いた。

振り返り

先生に言われるまで、長男が感じているだろう不安、恐怖に気づけなかったことが一番の反省点です。

事態に進展があったのは、私が仕事と保育園をあきらめ、長期戦にとことん付き合う覚悟を決めてからでした。

時計を気にしながら、早く早くと急かす
どうしたの、お母さん手伝うよ、と声をかける

こんなことが、長男の体を固く委縮させ、余計に事態の悪化を招いていたのかもしれません。

心に寄り添う、想像するってよく耳にするし、大事だとわかってはいますがなかなか難しい。

大人から見たらしょうもないこと。笑い話。
でも、本人にとっては「じんせい の いちだいじ」なんですよね。

そういえば私にもありました。
・エスカレーターに親を置いて自分だけ乗ってしまった
(どんどん親から遠ざかる恐怖)
・木に登ったはいいけど降りられない
など。

この感覚は忘れずにいたいと思います。

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