3.11後の世界を生きる
80年代後半には「世界の終わりブーム」があった。
五島勉の『ノストラダムスの大予言』が流行り、
前世少女がハルマゲドにそなえて仲間を集めはじめたり、
子供たちの間では暗い噂話が広がっていたりした。
結局、1999年7月に空から恐怖の大魔王は降りてこなかった。
21世紀はちゃんときた。
99年3月30日になくなった南条あや嬢が生きなかった2000年は当たり前かのようにやってきた。
そして2011年3月11日にデカい一発がきてしまった。
信じて疑わなかった安全神話が崩壊してしまった。
知人が言うに
「僕はあの日に大人になった。
当時東京にいて、東京もかなり揺れた。
でも本当に衝撃を受けたのは、揺れからしばらくして、伝えられた悲惨なニュースだよ。
あの時、僕は大人にならないといけないと思った。」
僕らは3.11以降の世界を生きている。
生きなければならない。
たとえ、この世に存在することを両親から押し付けられ、誕生に関して一切の自由意志や意思決定を許されなかった、意識を持つ肉塊であっても、
僕らは3.11以降の世界を、南条あや嬢も二階堂奥歯嬢もいない21世紀を生きていかなければならない。