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書評〜『2030年の世界地図帳 あたらしい経済とSDGs、未来への展望』落合陽一さん〜

今回はかの有名な落合さんの新著について紹介いたします。

目次抜粋:第1章 2030年の未来と4つのデジタル・イデオロギー
 おさえておきたい!世界地図 2020─2050年のテクノロジーの未来年表
 おさえておきたい! 世界地図 世界のユニコーン企業
 落合陽一×安田洋祐対談 [持続可能な経済発展は、そもそも可能か]
第2章 「貧困」「格差」は解決できるのか?──サードウェーブ・デジタルと、個人の可能性
 おさえておきたい! 世界地図 所得の格差(ジニ係数)
 おさえておきたい! 世界地図 子どもの貧困率が高い国
 おさえておきたい! 世界地図 ひとり親世帯の貧困率
 おさえておきたい! 世界地図 男女の格差が大きい国・小さい国
 落合陽一×池上彰対談(1) [アフリカの貧困地域のために何ができるか]
第3章 地球と人間の関係が変わる時代の「環境」問題──GAFAMは「環境」と「資本主義」の対立を越えるか
 おさえておきたい! 世界地図 年間CO2排出量
 おさえておきたい! 世界地図 エコロジカル・フットプリント(どれだけその土地に依存しているのか)
 おさえておきたい! 世界地図 バーチャルウォーター(「見えない水」をどれだけ他国に依存しているのか)
 落合陽一×宇留賀敬一対談[エネルギーと地球温暖化について今世界で起こっていること]
第4章 SDGsとヨーロッパの時代──これからの日本の居場所を考える
 おさえておきたい! 世界地図 SDGsの達成状況
 おさえておきたい! 世界地図 年間の平均賃金
 おさえておきたい! 世界地図 世界のビッグマックの価格
 落合陽一×池上彰対談(2) [なぜ、世界の問題は解決できないのか?]

第1章抜粋 2020年代を牽引する4つのデジタル・イデオロギー

アメリカン
チャイニーズ
ヨーロピアン
サード・ウェーブ

ヨーロピアン・デジタルの紹介が以下のようになされます。

(現代まで各)メーカーが、有力な製品を送り出していました。しかし、アメリカと中国がテクノロジーの覇権を争うようになった今日、ヨーロッパのメーカーはITテクノロジー以外の分野に関する純粋な技術力の勝負で他企業を圧倒しています。そして彼らはまったく違った道に活路を見出しました。それがヨーロッパの伝統と文化を背景にしたブランド力によるエンパワーメントです。スペック上には表れない価値を創造し、顧客との間に強力なエンゲージメントを生み出します。職人技のものづくりやブランド価値のような付加価値を高める方法論は、SDGsの目指すところである働きがいや経済成長と、労働負荷や環境負荷の低減を同時に行なっていく考え方と非常に親和性が高いともいえるのではないでしょうか。

ブランド力によるエンパワーメント。日本もこの方法を模倣できるか?
そしてこの話は第4章で深掘りされます。順番は前後しますが、早速4章へ行ってみましょう。

第4章抜粋 SDGsというヨーロッパ式ゲーム

SDGs裏側、経緯を以下のように説明してくれます。

SDGsの背景にはヨーロッパが主導する2つの大きな動きがあります。1つは2006年の「*3責任投資原則(PRI)」、もう1つは2015年の「パリ協定」です。

そしてPRIの背景と、最も最近の人権GDPRを深掘りします。

2000年、イギリスで改正された年金法では、年金運用に際して環境や社会へ配慮した投資方針があるかを開示することが義務付けられ、2002年に公示された「ロンドン原則」では、持続可能性に向けた7原則が持ち出され、ESG投資の具体的な行動指針が明示されました。ESGとは環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)の頭文字で、これらの3要素を考慮した投資のことです。
このロンドン原則の影響のもとで2006年、国連は「*10責任投資原則(PRI)」を宣言しました。
2018年に施行された「EU一般データ保護規則(GDPR)」です。

そして今、世界には4つの断層があると。もちろん、日本がどう振舞うかはこれを参考に決めると良いでしょう。

法と倫理の層 ヨーロッパ
情報の層   アメリカ・中国
工業の層   中国
資源の層   中東・アフリカ

スイスの例

言及し忘れましたが本書では多様なグラフとMAPが随所にあって最高です。
本章はスイスと比べ、賃金・労働時間の観点から、日本の目指す方向を探ろうという試みです。

スイスでは特許性の高い技術による高付加価値化、量産できないものに文化的価値・機能的価値を付与するなど、商品の価値を上げる。
欧州は大量生産・大量消費から一線を画し、貴金属・装飾品・芸術のような価値の残る、もしくは上がるものを尊ぶ。さらにそれを実現させるセカンダリーマーケットの隆盛。家でも中古は価値はむしろ上がるケースも多いなど、循環社会であり、消費と再生を実現する社会。
日本での工芸品は残滓すら消えるくらいに残っておらず、ブランドの醸成もヨーロッパのようにうまくいっていない。
ただ最近の成功例(環境に良いスーパーコンピューターの製造)にみられるように、新しいルールを作っていくようなアメリカ型・中国型・ヨーロッパ型を視野に入れた、文化×テクノロジーによる価値創造(「デジタル発酵」)が鍵となる。

これからの価値創造に関わる方にはぜひ読んでいただきたい章と思いました。

第2章 「貧困」「格差」

絶対的貧困・相対的貧困
所得の格差(ジニ係数)
男女の格差
大学進学率

相対的貧困という言葉をご存知ですか?以下のように定義づけられます。

相対的貧困。その定義は、全世帯の所得の中央値の半分以下とされています。日本では244万が中央値なので、122万以下が相対的貧困。
OECD加盟国の平均が11.8%に対して、日本では15.7%と高い数値になっています。(日本はOECD(Organization for Economic Cooperation and Development)36か国のうち、9位。)

具体的に問題なシングルマザーの貧困、とそれが招く子供の貧困を紹介します。格差→格差の固定→階級→絶望→ポピュリズム、という流れ。
それを阻止するのは、教育。特に感情教育と言われていますが、そこは次回以降のnote で触れたいと思います。

特に日本で深刻なのがシングルマザーの貧困です。*56OECDの調査によると、日本の場合、親が就業しているひとり親世帯の相対的貧困率は54・6%、シングルマザーの実に半数以上が貧困層となっています。これは先進国の中では飛び抜けて高い数字です。格差社会といわれるアメリカが35・8%である
貧困によって教育の機会が奪われると貧困の再生産に陥る、つまり、世代を超えて格差が固定される懸念が想定されることです。・・・格差が長期間にわたって固定されると階級が生まれ、やがて国民が分断されることも往々にしてあります。一説によれば、アメリカのトランプ大統領の当選や、イギリスのブレグジットの背景には、こういった格差の固定による階級化の進行があると言われております。

第3章 環境問題

CO2排出量:CO2と温暖化の決定的因果関係の説明もこちらで!
エコロジカル・フットプリント:どれだけ自国の土地に依存しているか
→世界の土地への依存を合計すると、地球が1.7個分必要とのこと。
バーチャル・ウォーター:輸入するにおいて、それを自国で生産するとしてどの程度の水が必要になるかを可視化したもの。例えば多くの食糧品を輸入に頼る日本は、実際に水を使用していなくても、使用している量としてカウントされる指数。

3−2 環境とエネルギーの地政学

アメリカンデジタルの誕生:そもそもアメリカン・デジタルの推移、思想的背景を知れます。詳しくは本書にて!

「ガイア仮説」と「プラネタリーバウダリー」

ジェームズ・ラブロックさん:地球は一つの生命。生命と環境の間に発生するフィードバックシステムによる自動調整が【ガイア仮説】。

ヨハン・ロックスストロームさん:上の議論をした時期に、ホメオスタシス(戻ろうとする力)、レジリエンス(回復する力)があると仮定する。ただしその均衡点を超えると新たな秩序に向け急速に進行するとする【プラネタリーバウンダリー】。

以上です。今回も最後までお読みいただきありがとうございました!

真吾

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