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好きなもの解説日記⑤〜アムリタ 吉本ばなな〜

座右の銘を「人それぞれ」にしてから調子がいい。

Twitterで、見ず知らずの人に対して強い口調を披露している人を見ても疲れなくなったし、

会うたびに失礼なことを言う後輩にも慣れてきたし、

特筆すべきでもない程度に、わずかにまともではない自分を許すこともできました。

自分のものさしも、人のものさしも気にせずに「人それぞれだからなぁ〜」で解決することができるので乱用しています。

「人それぞれ」以前の自分は、昔のノートで書いたとおり、これが好きっていうものひとつひとつを世界のナンバーワンと信じて疑わず、他の人の好きなものに興味が湧かなかったんだと思います。

そのことに気づいたのは最近で、自分の測量としての感度とかではなく、レンズの狭さに恥ずかしくなりました。

ただ「人それぞれ」を座右の銘にしたことで、レンズを広くした途端に素敵なものがたくさん見えてきた!ってことはあまりなく、結局自分の見たいものをひたすら見る生活が続いてます。

'理解しようとせずに、干渉しない方がいい'
っていうのが僕が思う「人それぞれ」の要約です。

それでいいのかな〜よくないよな〜って思っている時に、今回伝えたい好きなものが自分のレンズに入ってきました!!(レンズって言いたい)

好きなもの⑤
アムリタ
吉本ばなな


あらすじとしては、

妹の自殺、事故によって奇妙に損なわれた自意識、幼い弟がもてあます不思議なちから、妹の恋人との微妙な関係。 「私」は変化していく日々のなかで、”自分自身”を再び掴み取っていく。 今日という日の何もかもが一回しかなくて、そのすべては惜しみなくふりそそいでいることの愛おしさ。

というものです。
要するに複雑な家庭環境や交友関係、状態の中で生活する女性の日常を描いた作品なんですが、その中で出てきた言葉が大好きです。

話し合ったりわかり合わなくていい。そんなことをするとダメになってしまう。大切なものが話しているはしから次々と消えてしまう。なくなってしまう。そして、輪郭しか残ってないのに安心してしまう。そういう気がする。

アムリタ/吉本ばなな

自分はこの言葉を読んだ時に、全ての謎が解けた気がして、今すぐ全員を集めたくなりました。

分かったよ!こういうことだよ!って。

だって、話し合って理解し合うことが良策だと思うじゃないですか。

それが一番だって先生は言ってたし、アンパンマンも友達も、知らない人もそう言ってたから。

でも、それは違くて、それは悪手で、そんなことをするとダメになるよ!って自分の背負っていた固定概念をひっくり返して、荷物を空にして突き返す優しさがこの言葉にありました。

実際に肩の荷が降りた気も、なんとなくしました。

理解し合うことで失うものがあり、言葉にしたところで表現では補えずあふれてしまう大切さがある。

だから外側の輪郭だけが残ってしまうっていうことを言ってる、気がする。

もちろん理解し合うことがダメなんてことは言っていないし、これから理解し合わないなんてことは、この小説はおろか、僕も言っていない。

ただ、そういう大事なものはいつの間にか分かち合っているし、分かち合わない人は勝手にそばにはいなくなってるものだと思います。

この小説の主人公は自身の個性が偏屈なものであることを理解し、素晴らしいものであることも理解している。と、同時に相手のこともまた同じようなものだと理解している、ような気がする。

上手くまとめれない自分の文才が悔しいけど、伝わってたら幸い!!

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